ちょっと間が空いてしまったが披露宴ネタを続けさせていただきます。
今回の披露宴のフードでは、前菜をシチリア料理の無二路とトルコ料理のイズミルにお願いしていた。イズミルは、阿佐ヶ谷にある超絶品トルコ料理店で、はっきり言ってこの店に出会うまではトルコ料理になんの魅力も感じていなかった。食い倒れ仲間のおうさるさんに連れて行って頂いた日、世の中にこんなに旨いものがあるのか!と驚いたことを忘れられない。しかも、見た目鮮やかで、本当に美味しそうな写真に仕上がっていたので、食い倒れ日記の中でも最もビジュアルに訴えるエントリになったように思う。数週間後にイズミルに足を運ぶと、女主人のエリフが僕を抱きすくめるのだ。
「スゴイよ!一日に5組くらいやまけんのWebを観てきたっていうお客さんが来るの!」
そして皆一様に「美味しい!」と舌鼓を打って帰ってゆくのだという。よかった。食い倒れ冥利に尽きるとはこのことだ。以来、エリフは僕のことを「おとうと」と呼んでくれている。厨房の中では寡黙なスレイマンが静かに微笑み、スペシャルなドネルケバブを削いで僕に出してくれる。
3月にこのイズミルの一周年記念パーティがあって、おうさるさん経由で僕と華子を招いてくれたので足を運んだ。結婚のことを伝えると、しばらくエリフが思案をしていたかと思うと、
「お願いですから、私たちにも何か出させて下さい」
と言ってくれた。日々客が大回転するこの店にお願いするのは大変だろうと思って控えていたのだが、有り難いことだ。喜んでお願いすることにした。ただし、披露宴が行われる日曜日はイズミルもランチがある。「私たちは行けないけど、おうさるが手伝ってくれると思うから、料理は出させて!」と言ってくれたのだ。おうさるさんとの検討の結果、あの極上トルコパンであるエキメッキ、そして3種類くらいの前菜カルシュク・メゼをお願いしたのだ。
当日、朝からおうさるさんと、トルコ大使館に勤めるアスルちゃんが駆けつけてきてくれ、テーブルには僕も食べたことがない前菜が並んだ!
当日、エキメッキを温めるホットプレートのようなものがある、ないでちょっとすったもんだしてしまったようだが、おうさるさんにはご迷惑をおかけしました。
もちろんこれらの見目麗しき前菜群はまたたくまに売り切れてしまったようだ!ちなみに僕の口には一口も入っていない。あーあ。
ということで、この御礼も兼ねて先日、イズミルに行って来た!
「あ~ 本当におめでとうねぇ!」
と言ってエリフはシャンパンを開けてくれた!
シャンパンをグラスに注いでくれているイケメンは、シェフであるスレイマンのおとうと君だ。
しかしこの店の料理は本当に旨い!トルコ料理であるとかそういうジャンルを超えて旨いと感じさせる料理なのだ。そして一つ言えるのは、野菜の使い方が無茶苦茶に旨い!この前菜盛り合わせの色とりどり感を観よ!食欲大喚起状態になってしまうのである!
この各種ディップ類を、超絶絶品のパンであるエキメッキにのせて食べる!
これがもう最高なんである。前菜の旨い店に駄店ナシ。イズミルはその筆頭であろう。
ちなみにこのエフェスというビールが、苦み少なく薫り高く、ほんとうにマジ旨である。ラキというアニス酒もあるのだが、個性が強すぎるので、料理に合わせるなら僕はこちらの方が好きである。
コクがあって、それほど臭みのないあっさりした羊のチーズがタップリはいったサラダを突いていると、スレイマンの必殺ドネルケバブが上がってきた!
正直、このドネルケバブを超えた旨いトルコ料理を僕は知らない!
薄く削がれた各種香辛料の染みこんだ肉片に、ローストされトロトロになったトマトと、薄切りタマネギにトルコ特有のスパイス(何かの種だそうだ)がまぶされたマリネをのせ、バターライスと一緒に口に入れる。
ドネルケバブマシーンには、羊の脂身を上に載せ、熱でタラタラと流れ落ちるようにしてあるので、薄く削がれた肉にも羊の芳香が薫る。もうこの一品で決まった!という感じなのだ。
そして最近のお気に入りはこのトルコ風ピッツァともいうべき「ラフマージュン」だ。
←最初、名前間違えてました。コメントでのご指摘ありがとうございました!
このキョフテ、そのまま食べるのではなく、添えられたトマトをのせてレモンを搾り、くるくると巻いていただくのだ。
かぶりつくと、「バリっ」という強い食感。そう、イタリアのピッツァのような生地ではなく、超クリスピーな強い生地なのだ。
薄さをみればピッツァとの違いは一目瞭然だ。バリバリの生地に、トマトと挽肉とチリの混ざり合ったソース、そしてレモンの酸味が絶妙に絡む。もうこいつにはノックアウトである!
と、スレイマンがメニューに載っていない特別の料理を作ってくれた。
カジキマグロのクリーム煮である。クリームソースにトマトがチラされて、何とも言えぬコクがあって旨い!
それと、白インゲン豆と羊肉の煮込み。
これは家庭料理って感じで、インゲン豆のトロトロになった粒状感のある汁がなんともしみじみ旨いのであった!
「あのねやまけん、トルコではこれをかじりながら食べるのよ!」
とエリフが開けてくれたのは、青唐辛子のピクルスの瓶詰めだった。
これが全然辛くなくて、風味があって、甘めのピックル液と相まってとても美味しいのである。
これ、手にはいらんかなぁ。家に常備してもいいと思う味だった。
さて食卓は佳境である。羊の串焼きシシ・ケバブが焼き上がってきた!
なんで肉を焼いただけなのにこんなに旨いのか、、、と思うのは間違いで、トルコ料理の香辛料の使い方は絶品である。魔法のような抑制された味付けで、肉の旨味が最大限に引き出されるのだ!
腹一杯! あとはライスプティングを頂いてのんびりする。
「今日も忙しかった!全部の席が3回転したよ、、、」
そう、イズミルもまた、予約が必要不可欠の店になりつつある。それはそうだろう、この店の魅力は先ず料理であるが、それ以上にスバラシイのがエリフやスレイマン、そして店員一人一人から発せられる絶妙なホスピタリティだ。エリフにあって話をすれば、誰だって彼女のことを好きに鳴らずには居られないだろう。本当に暖かい、一回会っただけでもう他人ではないと感じさせる、そんな人なのだ。ちなみにこの翌日は、なんとエリフの誕生日であったことを後で知る。エリフ、本当におめでとう!
実はもうすでに次なる本の執筆が始まろうとしているのだけど、今から予告しておこう。イズミルのことはぎっちりと書くつもりだ。だって、それだけの価値がある店なのだもの。
ああ、またあのドネルケバブが食いたい、、、