うーむ まだ終わっていない報告書の仕事があるので自粛していたけど、本日は書かざるを得ない、、、マジックが3連発花開いてしまったのだから!
すでにパスクワリーノが来日して無二路にいるということは先日書いたとおりだが、本日の夕飯は僕が接待申し上げることになっているのであった。
「いつも、それほど日本滞在中にアクティブに動くわけではないので喜びますよ!とにかく集合場所に送り出しますから、、、」
と無二路のオーナーの大塚さんが言う。そう、2週間くらいずっと無二路のそばの家に滞在するので、ずーっとその相手をしなければならない大塚さんも大変なのだ。なんつってもパスクワリーノ級の台風である。一日、それも夜くらい僕が日本を案内して差し上げないといけないのである。
何を食べに行こうかといろいろ考えたのだが、パスクワリーノはカルネ(肉)が大好きである。というか、野菜と魚はほとんど食べない。唯一彼が好きなフィノッキオ(和名ウイキョウ)以外は、殆ど野菜を食べていなかった。肉、、、だとしたら何がいいかなぁと思ったのだが、バードコートの繊細な焼き鳥よりは、もっとグワッと味の濃いのがいいだろうと思った。ということで必然的に安定的火力を誇る関東有数の居酒屋・森下の「山利喜」に行くことにしたのである。
キーコ(重シェフの愛称)に連絡をすると、
「なんかパスクワリーノが、早めにいって散歩するって。『ノンチャ・プロブレーマ(問題ないよ!)』って言ってるよ」
という。そういわれると逆に嫌な予感、、、森下で彼が迷子になって彷徨っていたらどうしよう、、、と思って、早めに仕事を切り上げ森下に向かう。A4出口を出ると、まず先に今回の協力な助っ人である加納さんが現れる。
「どーもぉ!」
なんとこの加納さんは、10年間イタリアで仕事をしてきたスペシャルイタリアーノジャッポネーゼなんである!この後、自由人・加賀谷も登場。しかし肝心のパスクワリーノが来ない!案の定である。大塚さんに連絡をすると「パスクワリーノが、駅にいるのにケンズィが来ていない!って連絡を寄越してきたんですよ、、、」と言うではないか。うーむ、、、
この後 すったもんだ色々歩き回った末、加納さんが地上、道の向こう側でぽつんと後ろを向くパスクワリーノを発見!僕が「パスクワリーノ!」と叫ぶと、やれやれという顔でこちらに向かってきた。会えてよかった、、、
「エイ、ケンズィ!」
握手をして抱き合った後、4分くらい「なんでいなかったんだよ!」という文句たらたらにつかまってしまったが、すぐに山利喜に入店。無事、ギネスの樽生にありつくことができた。
そう、山利喜は樽生が飲める、素晴らしい店である。焼きトン串に甘辛タレとマスタードをつけてかぶりつき、肉の濃い旨味と甘辛酸が充満したところでギネスの黒い奔流を流し込むと、これはもうコタエラレナイ快楽である。
さてこの山利喜の煮込みと、焼きトンをパスクワリーノがなんと言うかに関心があった。イタリア歴10年の加納さんに通訳してもらいながら食べてもらう。
「煮込みは、、、ん、まあまあだね。油が浮きすぎているのがあまり好みじゃない。だけどこの茹で玉子はモルト・ヴォーノだね。」
「(焼きトンをみてすぐさま一言)これは豚だな! んー タレが甘すぎるな!マスタードつける?どれどれ、、、うおっ 辛い!鼻にくるぞ!こいつぁいただけない」
という感じでかなり辛口である。うーーー 当てがはずれた、、、
ただし、山利喜の必殺スペアリブが運ばれてくると、「モルト・ヴォーノ!」(すっげえ旨い)というのが出た!
その後も鶏レバーのテリーヌに「これもモルト・ヴォーノ!」とお気に入りになった。んーなるほど、やはり微妙な味付けがされているものは、料理人としてのデリケートな味覚に合うんだな。
さてそんな中、彼の視線がある一点に吸い込まれていく、、、
「ケンズィ、あの絵を見せてくれ!」
彼が言うのは、二階の座敷席の端にかけられていた、色紙に筆で書かれた馬の絵だ。
「これは素晴らしい!アーティスティックだ!」
というやいなや、「店の人を呼べ」という。いやーな予感がしたがそれが的中!
「パスクワリーノが、『俺が持ってきたイタリアの絵二枚とこれを交換してくれないかって店の人に訊いてくれ』っていってますよ!」
しかも「訊くだけならタダなんだからとにかく訊いてくれ!」と言っているらしい。うおおおパスクワリーノ節炸裂である。で、若い衆に訊いてみたら、「うーんどうなんでしょうねぇ、上の者に訊いてみますね」と、若旦那に訊きに行ってくれた。しかしまあ、無理だろう、、、
ほどなくしてソムリエでもある若旦那がやってきて、なんとここでマジックが起こってしまった!
「あの、これは常連さんが書いて下さっているもので、おそらくそういう事情であれば彼も喜ぶと思うので、差し上げますよ」
ええええええええええええええええええええええええええええええええ
まじですか!?
パスクワリーノ、喜びまくり。そして、若旦那に、
「実は俺は、国際的に有名なシチリアのシェフで、故ローマ法王パウロ二世に3回飯を作り(←これはホントらしい)、日本のモルト・インポルタンテ(最重要な)リストランテに料理を教えた偉大なシェフなんだ」
と自分で解説をする。いやー これがパスクワリーノだ!若旦那、お付き合い下さってありがとうございました!
さて2発目のマジック。ヒラメのカルパッチョが出てきて一口食べた瞬間に顔をしかめ、店員君に「塩とオリーブオイルとパセリとリモーネ(レモン)をくれ!」と言う。店員君、「あ、大丈夫ですよ」と言ってとりに行ってくれたが、まさか、、、
そう、まさかであった。空いている鉢にヒラメの切り身をすべてぶち込み、塩、オイルを振ってリモーネを絞り、パセリを刻み入れて掻き混ぜる。シチリアのアンティパストじゃんか!
店員君にも勧めると
「いや、勤務中ですから怒られちゃうんですよ!」
というのを無理矢理食わせると、「おおおおおおおおお」と派手に喜んでくれた。
いやー 合わせてくれてどうもありがとうね!これがマジック第二弾。
いや本当にテンションが落ちない。こっちは疲れるけど、面白いからそれもまたよしである。
さて山利喜を出て門前仲町のバー・オーパに向かう。その道すがらパスクワリーノが「ドルチェが食べたいぞ、ジェラッテリアはないのか?」という。うーむジェラートはないなぁと思いながら門前仲町のサーティワンアイスクリームに入る。まああまり気に入らないだろうと思いながらみていたら、マンゴタンゴとピーチとカフェの3段重ねを頼んでいるではないか!そんなに食うのか?
そしてびっくりしたことに「この店のレベルは高い。素材の味がよく引き出されているぞ」と真顔で言うのである。そうなのかぁあああああああああ
とりあえずシチリアーノはサーティワンアイスクリームに連れて行くとイイかもしれない。
店を出て深川不動尊の参道にさしかかると、出ていた焼き鳥の屋台に吸い込まれるように入っていく。地元のおっちゃん達が親切に相手をしてくれる。
焼き鳥食いたいのかと思ったらそうではなくて、単に写真を撮りたかっただけらしい(笑)
そんなこんなでオーパ到着。本日もこの店は静かにシックに決まっている。しかしその雰囲気はパスクワリーノによって数分でズタズタに(笑)
「パスクワリーノ、彼は日本のバーテンダーのカンピオーネ(チャンピオン)なんだよ」
「おお!そうか、それじゃ俺のオリジナルカクテルを教えてやろう!」
と、なんとパスクワリーノのカクテル「ロッソ・ロッシーニ」のレシピをメモに書き、水澤君に創れと言う。水リンはプロである。「喜んで」と作り始めるが、その前のお客さんの間ににぬっと立ち、じーっと作業を見つめるパスクワリーノ。しかもフラッシュを焚いて写真を撮っている。あー フラッシュはやめておこうね。
さてこうしてできた「ロッソ・ロッシーニ」は、非常に旨いカクテルであった!パスクワリーノも「プロフェッショナルの仕事だ」と褒めまくり。
いやそれにしてもミラクル3連発。パスクワリーノ節大炸裂である。こんなに素晴らしいキャラクターはどこにもいないだろう。
オフ会当選の皆様お楽しみに!
そして惜しくも落選された方々は、ぜひ彼が滞在中に無二路に連絡して行ってみて下さいね。さて、仕事仕事、、、