新宿小田急での北海道展の会期は21日(月)までだ。日曜日はさぞかし混むだろうと思ったのだが、やはり食べておかないといかんなと思い、行ってきた!
実は富良野に行った時に食べたカレーは、マスターではなく店の若い衆が作ったものである。その時D黒さんは、
「やはりマスターが作るのとは少し違うような気がします」
と言っていた。やはりその日使うルーを伸ばす時の加減、気象条件等で変わる人間の味覚に対応するための微調整は人により差が出てくるはずだ。
で、はっきり言って今回の唯我独尊の出店ブースでのカレーは、富良野で食べたものよりも完成度が高く、文句なしの旨さだった!
「ただ、小田急の環境や水で作っていますから、同じ味にはどうしたってなりません。米も数回は私が研ぎましたから、その辺の差もでてくるでしょう。ですから、富良野でマスターが作ったのを食べるのがベストなのですが。」
とD黒さんが言う。確かにホームグラウンド富良野で食べるのが一番だろうなあ。けど、D黒さんは謙遜するが、学生時代から唯我独尊でバイトをし、20年近く付き合いを続けているD黒さんの塩梅加減は俺は信用するぞ。
「はいよぉお やまけんさん仕様のカレー!」
と出てきたのはこれだ!
「豆カレーをかけたからねっ!」
おお、マスターの大得意、豆カレーがかかったソーセージカレーである!こいつぁ素晴らしい!ちなみに今回、ソーセージと豆カレーの組み合わせはメニューになかったのだが、マスターが気を利かせて作ってくれたらしい。
前のエントリのコメントにも「人によって出すものが違う、、、」という人がいたが、誠に申し訳ない。けどこればっかりはどうしようもない。僕はこのblogで書くことについて、どの店からも何らの見返りも求めないから、マスターとしてはこういうところでお返しをしてくれているのだろう。ご勘弁を。
ちなみにマスターの豆好きは徹底している。富良野で収穫されたウズラ豆、大正金時、白インゲン、小豆、大豆、虎豆などなどなど6~7種類は入っている。水煮缶などは一切使わない!
「この豆ってのが手がかかるんだよぉ!水を吸わせすぎると割れちまうしな、一つ一つに癖があるから、それに合わせて煮てやらないといけないんだよ!」
えっ マスターこの豆類、全部べつべつに煮上げてるわけ?よく考えてみたら粒の大きさが違うからそれが当然なのかもしれないけど、すんげぇ手間だ、、、そこまでこだわり抜いているのである!この豆カレー、豆類が実に主役を張っているのだ。スカスカの豆ではなく、適度な澱粉質、味と香りの豊かな豆類であった!
そして、僕のblogにトラックバックをくれている、すでにこの会期中に訪れた人たちも一様に書いているように、今回は唯我独尊のソーセージの旨さが際だっていた!併設されている販売コーナーで売られている燻製類が、サラミのようにしわしわになっているのをみて「なんだなんだ」と思った人も多いだろう。
唯我独尊の燻製肉類は、かなりの長時間燻される。最後のタイミングで温度を強めにかけ、脱水と燻煙香をつけているので、冷めるとしわしわになるのだ。しかしそれを湯煎でじっくりと戻すと、ガシッとした歯応え、ブワッと立ち上る燻煙香と肉の強い香りがたちまち蘇ってくるのだ!今回は本当にマジックを観た思いだ。
もちろんルー追加の荒技「ルールールールー」をやって、一通り食って大満足!三日間きてよかったぁ!
「8時頃に上がるからさぁ、飲みに行こう!」
やった!そうしましょう!
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時間を潰して小田急の下で待ち合わせ、一行と合流。とはいっても、実は今回富良野から来ているのは宮田マスター、唯我独尊の若衆、そしてラーメン富川の富川マスター、その従兄弟のショウタ君だけである。そう、その他の人たちはなんと首都圏にちらばる、唯我独尊門下生達!学生時代に富良野でバイトをしていたり、そういう人たちが駆けつけて手伝っていたと言うことなのだ!これも一重に、マスターの人徳だろう。
「よしっ じゃあ歌舞伎町の面白い中華料理の店に行こう!」
と入った店は「北京」という店で、日暮里のラーメン「馬賊」のように手打ちというか手延ばし麺を供する店だ。
「ここの麺延ばしが凄いんだよ!お、今奥から出てきた姉ちゃんが伸ばすんだよ!」
と宮田マスターが言うと、富川マスターが「俺、勉強してきますよ!」とダッシュで厨房前に。明るくデカイ声で「こんにちわ!」と叫んで、女麺点師の手元を凝視する。
いや、この二人のバイタリティー、そして向学心には本当に驚いた!素晴らしい!
ちなみに富川のマスターは、もとフェザー級のプロボクサーだ。
「いやぁ、2ヶ月に一回しか試合が無くて、ファイトマネーが3万8千円くらいだから、人生ってなんなんだろうって思ってましたよぉ。だから、料理の世界に入ったら、皿洗いでも何でも、キツイはきついけど10数万もらえて、なんか凄いな社会って、って思いましたよ!」
実はこの富川さんの話がすげぇ面白かった。
「俺はね、旨いラーメンが食べたいな、家族にも食べさせてやりてぇな、って思ってね。それだったら俺がつくりゃいいじゃんかってラーメン屋始めたんですよ。最初の頃はヒドイの作ってましたよぉ、、、」
「けどね、どうせ作るなら仕事しようって思ったんですよ。人が作った麺を茹でたんじゃ、そりゃ仕事量としては半分じゃないですか。だったら俺が麺も作ってみようってね。人から教わって石臼も買って、色々試行錯誤してるんですよ。まだ極めたなんて全っ然思ってないですよ!まだまだですよ、、、どんどん旨いの作っていきたいんですよ!」
富川マスター、死ぬほど熱い!
これは確かに極陽性のほとばしるパワーだ!眉間が完全に開いている感じで、周りの人たちを強制的に陽に変換してしまうパワーを持っている!
そして、宮田マスターも同じくらい熱いのだ!
「いやぁ、 時間をみつけて百貨店を廻ってるんだけどさ、今、和菓子が凄いんだよなぁ!ハス粉を練ったプルンプルンの皮で黒蜜を挟んだのをクマザサで包んで300円とかだよ。俺だったらさぁ、豆でなんかやりたいね!俺が使ってる富良野の沢山ある豆をぜーんぶつかってさぁ!」
こっから先のアイデアは宮田マスターのものだからマル秘にしておくけど、もう口からアイデアが滾々と湧き出続けるのだ。本当にこの二人には脱帽した。
、、、そして、、、まあどんな会のなんばん粕漬けに続く第二の食い倒れプロデュース品の計画が、始動したのである!
「よし、じゃあやまけんちゃん、○○○○○○○創ろうよ!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
それは欲しいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
なるほど、あれをカレーで創るのか!そいつぁ絶対に旨いし、嫌いな人は居ないはずだ!
決まった! 今年中に、唯我独尊&食い倒れ日記のコラボ商品を世に出すぞ!期待していて欲しい!
最初からそんなことを考えていたのではなく、まあどんな会のことを宮田さんに話をしたら、その商品のアイデアの話がふっと出てきたのだ。
「それ、絶対にやりましょう!」
うーむ このままだと僕は商品プランナーになるのかもしれない、、、ま、それもいいな。俺は旨いもんが食べられればそれでいいんダ。
ビールをグビグビ、紹興酒をカパカパと空け、店を後にする。両マスターのとてつもない熱気に押されて、僕も頭がボーっとするほどに熱い。
いいじゃないか。人間、つきつめれば熱だ!人が熱を発しなくなった時、それを死と呼ぶのだ!このほとばしる熱にしばらく頭を灼かれていよう、と、そう思いながら歩く、新宿の夜だった。
宮田さん、富川さん、D黒さん、そしてスタッフの皆さん。本当にお疲れ様でした!