2004年11月16日 from 首都圏
「よし、カニだぞ、カニ!」
と言ってしんのすけが大技を繰り出してきた!北海道の花咲ガニをダッチにぶち込み、大根の短冊切りと共に煮込んでのみそ汁だ。
カニの実ではなく徹底的にエキスを絞りだして旨いみそ汁を作るという戦法。
鮒の甘露煮もできて、飯のおかずセットが湯気を立てて完成したのであった。
本城しんのすけ、、、こいつはいつも十分な実弾を繰り出してくる。間違いなくダッチ巧者である。
僕も負けてはいられない。こちらは静岡県の銘柄豚で「浜名湖そだち」という、全国食味品評会で一等を獲った豚肉の肩ロース1.5Kgをダッチでローストにし、僕のスペシャルである「パイナップルクリームマスタードソース」にて食べるという算段だ。十分にプレヒートした10インチディープのダッチに、前夜から塩をしておいた肉の脂の側を下に落とすと、ジュワッという音が立つ。カネコが写真を撮ってくれようとした瞬間にしんのすけが身をかがめる。なんだよまるで俺じゃなくてしんのすけが料理してるみたいじゃんか!
その隣では、ついに登場!秋田が誇る米農家、ひろっきいが、発芽玄米と白米を混ぜて、長島家の2升炊き羽釜にて炊きあげるのである!
ここの羽釜を使うのが初めてのため、水加減に手間取るが、シットリ柔らかい発芽玄米入りご飯が炊きあがる!そのムワッと立ち上る水蒸気に歓声があがる!
この発芽玄米ご飯と花咲ガニ汁の取り合わせは最高!ひろっきいの秋田の実家からは、あの茄子がっこ(漬け物)と梅干しが送られてきている!あのおばちゃんがつくった最高の茄子がっこだ。もう言うことはない。
発芽玄米はプッチリと歯切れ良い食感。それにムッチンとした白米がからみ、面白い食感だ。
「僕は米農家だからこれしか作れないからさぁ、、、」
これだけあれば十分なんだよひろっきぃ!
さて
その横で、事態は進展していた。
奥久慈シャモの卵黄を泡立てマヨネーズを作り、、、
ブロックを使ってのアウトドア焼き台で、鉄串に指したもも肉にタレをつけ焼きし、、、
肉を一口サイズに切り分け、店で使っているタレに漬け込む。
そして、、、
特製のバンズの中心部にマイユのマスタードを一塗りし、
タレをまぶした肉を数きれバンズに乗せて、、、
水に漬けてパリッとさせた後に、しっかりと水切りしたレタスと長島農園で獲れた極上ネギ「ホワイトスター」の白髪ネギを乗せ、地鶏卵黄マヨネーズをとろりとかける!
これを、これまた業務用のハンバーガーペーパーに包めば、、、
できた!これがバードコート特製、奥久慈シャモ照り焼きバーガーである!
この素晴らしきプレゼンテーションに一同大歓声である!プロが作った照り焼きチキンバーガー、しかも奥久慈シャモを使っているのだぞ!こんな最高な野外料理があっていいものだろうか?
満足そうに微笑むバードコート軍団。なんとこのバーガーを作るため、店の営業が終わってから数回試作を重ねてあーでもないこーでもないと議論を交わしたそうだ。
一同ハンバーガーにかぶりつく。奥久慈シャモは肉質がしっかりしているので、噛みきりにくい。それを見越して一片一片小さく切られているので、バンズ、レタス、肉一片を口に送り込む。照り焼きの香ばしいタレの風味と、ところどころにできた適度なコゲの香、それにマヨネーズの酸味と旨味、レタスのシャクシャク感が合わさって実に見事だ!
それもそのはずで、実は野島さんはドトールコーヒー、モスバーガーの本部を歴任した人なのである。
「バーガーは得意なんですよぉ、、、今日はバンズを焼ければもっと美味しかったと思いますけどね、残念。」
いやこんなに旨いバーガー初めてっすよ!
読者の皆様にお断りしておくが、これは店では作ってもらえないからね!とてもじゃないけど大変な手間なんだからね!ていうことは、今のところ俺たちしか食べてないんだもんね~ ふふふ、すっごく嬉しいのであった!
店でいつも料理をしているのに、休日まで料理して、実はみんな嫌なんじゃないの?と菊ちゃんに訊くと、
「いや俺たち料理大好きっすから!皆さんがこれをみて『おおっ』と言ってくれる瞬間に鳥肌が立つんですよぉ、、、」
根っからの料理人とはこういう人たちを言うのだ。写真の後列右側が菊ちゃん、左側がリキちゃん、二人は真面目に恋人募集中である。人柄と腕と楽しさは俺が保証するぞ!
さらに宴は続く。
勝美君が朝の4時に漁港の朝市で買ってきてくれたメバルは、ナンプラーを注いで、大量のレモングラスとパクチーと共にスキレット(ダッチオーブンのフライパン)で蒸し焼きに。
これを庭に生えている芭蕉の葉に乗せ、農園で獲れる青レモンの串切りを添えると、正にここはタイ!タイ人農業研修生を毎年受け入れている彼ならではの一作だ!
これがまたひろっきい米にかけて食べると絶妙の味だったのだ!
遅ればせながら僕も豚を切り分ける。みんなの料理が沢山出てきたので少しおきすぎて、中に火が入りすぎてしまったが、、、
パインクリームマスタードソースは、ニンニクと玉ねぎをオイルでゆっくり炒め煮し、パインジュースを鍋半分注いで水分を飛ばし、生クリームを加えてやはり煮詰め、最後に粒入りマスタードをどかんと一本分入れて火を停める。
豚には甘い果汁に酸味、そしてコッテリとしたクリームを合わせるのが吉なのだ。さすがにみんな満腹になっていたので、蛇足的な料理になってしまった。次回は最初に完成させるぞぉ!
さんざん食べ、歓声を上げ続けて、だいぶん腹も気持ちも落ち着いた。でも10時から開始したこの会、まだ4時である!
豆炭の火を囲み、僕が持参した島根の銘酒「扶桑鶴」の純米吟醸と、野島さんが持ってきてくれた神亀酒蔵の「ひこ孫」を鍋で瓶燗につける。純米酒は燗に限る。
いい時間が流れる。薄闇となるここからが、実はメインといってもいい。
長島君がとつとつと農業の現状や生産者の気持ちを話し出す。畑を実際に観たみんなの胸には実感が灯ったことだろう。
なぜか熾き火を囲むと、皆が寡黙になるのだが、沈黙が気持ちいい。静寂の中、だれかがぼそっと話し出す。それを皆、ゆったりとした気持ちで聞き、反芻していく。
冬の日暮れは早い。17時にはとっぷりと暮れた。薄寒くなってきたこともあり、これにて〆とする。
「皆さん、どうもお疲れ様でしたぁ~~~」
これだけ大人数で集まって、あんなにハイレベルな料理が出て、なんという素晴らしき会だろうか。まずは場所提供をしてくれた長島農園に感謝。三浦・横須賀に近い人は、ぜひ長沢にある長島農園の直売所を訪れて欲しい。YRPの通研を下ったあたりにあるはずだ。忙しいので農園見学は遠慮していただきたいのだが、直売所に本人が居ることもたまにあるはずだ。
参加者皆様、本当にありがとうございました!主催者としては何もしませんでしたが、、、また集まりましょう!
そうそう今回の写真はデジタル漫画家であるカネコが撮影してくれたのが半分入っている。リコーのカプリオは綺麗に発色されるデジカメだな、気に入った。
そしてモロイ車に乗って帰った加賀谷、竹、華、僕は、反省会と称してまたもや月島「魚仁」にて痛飲したのであった、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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