東京から2時間程度でこられる北関東の地にて、こんなにも素晴らしいキャンプができるところがあるとは!しかも銘柄地鶏である奥久慈地鶏をイヤと言うほど楽しめる!そんなスポットを満喫してしまった。茨城の北部に位置する奥久慈にて、キャンプである!先日のエントリで下見の報告をしたように、北千住の地鶏焼鳥店「バードコート」のご一行と共に、茨城県久慈郡大子町(大子は「だいご」と読む)にオートキャンプなのであった。
当日は残念ながら東京は雨。超絶晴れ男の僕なのだが、一向に止む気配がない。んー困ったな、と思っていたが、きっと現地に着くまでに晴れるだろうと思うことにした。
北千住のバードコートに行くと、野島さんや店の従業員のみんなが準備をしていた。
「おはようございまーす!」
この日一緒に行く従業員さんは、菊ちゃん、リキちゃん、ショウちゃん、そしてジョウコウさんご一家である。これに、バードコートの常連ヘビーユーザである毛塚夫妻、車三台である。残念なことにバードコートの名物女将であるチーさんは、息子のカイ君の運動会準備のため、参加できなかったのであった。
さて
本日行く大子町のキャンプ場は、常磐自動車道の那珂インターから国道118号を上っていくと、約1時間で到着する距離にある。つまり、東京から乗れば、空いていれば2時間強で着くという、絶好のロケーションなのだ。
しかしそれだけではない。このルート沿いに、素晴らしき地場食材が点在しているのだ。それを寄り道して購入していけば、キャンプで食べる食材はほぼ全て揃ってしまう。更に、終着点であるオートキャンプ場では、BBQ用の屋根付きファイヤープレイスが完備されておき、炭からダッチオーブンまで全て借りられる。そう、まさに週末手ぶらキャンプが可能なところなのだ!
まずひとつ目のスポット。常磐道の岩間インターをおりて10分ほど車を走らせると、茨城県の農協組織が運営する直売所「ポケットファーム”どきどき”」がある。農協直売所のブームが続いているが、この「どきどき」は大きな規模で、新鮮な野菜や肉が手に入ることで有名だ。昼時には、バイキング方式のレストランが無茶混みになっている。台風直後なのに、特大の白菜が一玉丸ごとで300円と破格の値段で買えるのも、農協直営だからだ。
更に、ここは肉がすごい。常陸(ひたち)牛や、茨城ローズポークなどの銘柄肉が買えるのだ。今回もここで野菜類を購入。写真は撮るのを忘れたのでゴメン。
その後、岩間インターに戻るか友部インターに乗り、更に北上。那珂インターから国道118号に乗る。この道をしばらく行くと、あの「舟納豆」の看板が見えてくる。
キャンプ場での朝飯に納豆を食べたい人は購入していくといいだろう。茨城はやはり納豆の美学が強いのだ。
更に15分ほど上っていくと、左側に奥久慈シャモ組合の事務所が見えてくるはずだ。直前に左カーブがあって見通しが悪いので、要注意。行き過ぎてしまったらどこかでUターンして戻ろう。
川の横にある事務所で、河原におりていくとシャモの鶏舎がある。ただし、ウイルスの外部からの流入を予防するため、関係者以外は立ち入り厳禁なので、あしからず。
事務所に入ると、生産者組合の高安さんが待っていてくれた。
「いやーようこそいらっしゃいました。あいにくの天気だけど、キャンプ場はもう雨はあがっているようですから、大丈夫でしょう。」
そう、道すがら天を見上げると、雨が止んでいるのだ!やったぜこれが晴れ男の実力である。
「鶏は生のを2羽、冷凍を1羽、先発隊の方々に渡していますから。」
そう、このキャンプの主役はもちろん奥久慈シャモである。栄えある地鶏界のコンクールでぶっちぎりの金賞を獲ったこのシャモを入手したい人は沢山いるだろう。
「宅配などは承ってます。ただし、冷凍物になってしまいますが、、、冷凍でも味は遜色がありませんから、お試し下さい。」
そう、丸のまま、もしくは半身、部位ごとの切り身など、何種類かの冷凍シャモの形態で販売が可能だ。しかし、このblog読者には、冷凍ではないフレッシュを食べたいというニーズが強いことだろう。しかしそれは、いくつかの理由があって難しいのだ。
「実はシャモは、食肉処理場で解体処理をしてもらうのえすが、この辺の処理場では面倒だということで引き受けてもらえないんです。毎日100羽程度の量だと、処理効率が悪いんです。しかも、他のブロイラーとは全く違う肉質なので、処理の仕方が変わるんです。100羽程度にそんな手間はかけていられないということなんですね。」
うーむむなんと、地元の食鳥処理場では引き受けてもらえないと言うことなのだ。
「で、県をまたがるんですが、福島の食鳥処理場がこれを引き受けてくれまして、今はそこに毎日持ち込んでいます。ただし遠方ですから、フレッシュ品をご要望の料理屋さんなどには、処理場で即刻荷造りして全国に配送するんです。それ以外の分は、瞬間冷凍にかけて保管しておくわけです。」
なるほど!そういうフローなんだな。でも、それならフレッシュ品の個人向け宅配も可能なのではないですか?
「うーーん、、、絶対にやらないと言うことではないんですけど、、、キャンプする時にとりに行くから、と注文されたのに、当日に来なかったりされると、生ものなのでなんともしようがないんですよね、、、」
と、苦しそうに仰る高安さん。合点がいった。悪いヤツが過去にいたのだろう。事情をわかっていない消費者はすぐにキャンセルをする。雨が降ったからキャンプ中止!でも、鶏は遠方の処理場から組合に届いてしまっている。ひっきりなしに個人客が訪れるような立地ならいいが、まだ知るひとぞ知るという存在ゆえ、その日中に売りさばけるかどうかはわからない。そういうことだ。
このblogを観て、掲載した物を食べたいという人が沢山いらっしゃるようでありがたいのだが、購入を検討する場合は、こうしたことをきちんと考えてやっていただきたい!少なくとも、注文したものは確実に買い、お金を払うように!
「でも、冷凍品はイメージが悪いですけど、僕らが食べても、フレッシュ品と遜色ないんですよ。それをぜひお試しいただきたくて、、、」
そう、このキャンプの主眼はまさにそれなのだ。冷凍物とフレッシュのシャモを食べ比べし、冷凍物を如何にして美味しく食べるかという方法を探るということ。それが上手くいけば、このキャンプコースをきっかけに、シャモのすばらしさをもっと手軽に楽しんでもらえるはずだ。
「やまけんさん、ぜひこのコースや組合のことを書いてください。本当に世の中にもっと知って欲しいんですよ、、、」
と野島さんが言う。彼は本当に心を痛めているのだ。鶏インフルエンザ騒動後、やはり風評被害で売れなくなり、シャモの飼育羽数が相当に下がったという。密度の高い劣悪な環境の鶏舎で飼っているブロイラーと違い、いわゆる地鶏といわれる品種は免疫力が高く、インフルエンザ耐性も強いという。だから全く関係ないのだが、、、
「都心から近いキャンプのコースがあって、そこにいくルートで美味しい食材が買えて、キャンプ場には料理道具もあるので、手ぶらで楽しめる。そういうことを知って、都会からもっとシャモを食べに来て欲しいんですよね。そうすれば、組合の皆さんもすごく助かる。だってね、やまけんさん、この組合の人たちの中でも、シャモ専業でやれている人はいないんです。みな、他の品目と兼業です。シャモだけを育てて生計を立てられるようにならないと、もっと拡がっていかないでしょう?」
この話にはとても考えさせられた、、、この銘柄品種である奥久慈シャモでさえ、専業でやっていくのが難しいということなのだ。肥育日数がブロイラーの倍以上かかるので現金化のタイミングが遅くなり、飼料代もかかるのでコストはかさむ。
そうしてまで育てているのに、インフルエンザなどの風評でダメージを喰らう。そんな状況が続くと、この日本からホンモノの食材は消えてしまうだろう。そうさせないために消費者ができることは一つしかない。みんなで買い支えることだ。
しかし美味しいものでないと買う気にはならない。当然だ。安心されたい。この後、冷凍だろうがなんだろうがシャモはうまい!ということが激烈に立証されることとなる。
「じゃあ、行きましょうか」
高安さんと後ほど合流することにし、キャンプ場に向かう。
そうそう、丸鶏2羽に冷凍の丸鶏1羽、各種切り身類を買おうとしたら、高安さんは代金を受け取ってくれなかった。笑って首を振るばかりだったのだ、、、胸を熱くしながら、僕らはキャンプ場に向かった。
空は、少しだけ青空が見えるような状態になっていた。
(文字数が多くてスマン。でも読んでおいて欲しい内容なんだ、、、後編は爆発的バーベキュー編である)