本日は午前中は勝手にお休みなのである。なぜかというと、網走から鮭が一本届くのである!
先日、奈良漬けを仕込んだ訳だが(まだ1週間しか経ってないけど)、台風の影響で奈良漬け用の野菜が入手できず、粕が余っている。それならばと思い立ち、先日イクラを送って下さった、網走の美人キャリアウーマンSさんに「鮭を粕漬けにするから送ってくれ~」とお願いしたのである。
「おやすいご用!うちじゃ10本以上山漬けにしたばかりだから」
と、送って頂けることになった!ちなみに山漬けとは、鮭に強めに塩を抱かせて重しを載せて漬ける、いわゆる塩鮭の仕込みのことだ。
包丁を研ぎながら待っていたら、宅配が来た!竹鶴の石川杜氏からの西条柿とともに、テーブルの上に3箱も積まれてしまった。
さて、これが鮭一本だ!
おもわず釣りキチ三平のごとく、ポーズをとってしまった。でかい!
さすがに鮭を一本さばくのは初めてだ。半身だったら買うこともあったが、一本ちゅうのはかなりなボリュームである。とうてい僕一人で食べきれる量ではないが、鮭の素晴らしいところは、冷凍できるということだろう。さばいて半分を粕漬けにして、半分は冷凍するつもりである。
まず、ウロコとりである。僕は魚の皮が大好きで、パリパリに焼いて食べるのは堪えられない。この時ウロコがついていると興ざめしてしまう。Sさんも、
「さばくまえにウロコを綺麗にとらないと!」
と言われたので、まずはなまくらの包丁でウロコをこそいで取る。
ものすごい量のウロコ片がビシビシと台所を飛び交う。結局工程の中で最も時間がかかったのはこのウロコ取りだ。
さてウロコをふき取った後、包丁を入れて2枚におろす。鮭は骨がついていたままの方が好きなので、2枚おろしにするのだ。僕の持っている中でも一番でかい牛刀を背中からいれて割っていく。
中からはきれいなサーモンピンク(これこそ!)の身が覗く。鮭の身は割れやすいので注意が必要だ。
二枚におろして、頭部を切り離し、頭を二つに割る。包丁をよく研いでおけば、力をほとんど入れずに断ち割ることが可能だ。頭部からはカマの部分を切り離しておく。ここが一番ご馳走だもんね。
あ、書きながら思いだしたけど、ハラスの部分をとっとくのワスレタ、、、
二枚におろした身のほうは、あとはもう切り身にするだけだ。
しかし、静かに興奮する。いつもそうなのだが、店に売っている、人の手の入った食品をこの手で作るということは、何とも言えない醍醐味がある。魚屋やスーパー店頭で並んでいる鮭の切り身を、自分で作り出すというのはオツなものだ。
自分でさばいた切り身が、片方で10切とることができた。これが、今回の鮭の全容である。切り身に頭部、カマなども見えるだろう。大きなバット一杯になってしまった。
次ぎに、いよいよ粕漬けである。Sさんからはいつものごとく、詳細な説明メールが届いている。
==================================鮭は身を食べるのはオスの方が美味しいといわれています。と言う事で、
「粕にして食べるならオンタ送るか?」 と父が言うので
「そうしてよ」 と言っておきましたので送ったのはオンタ(オス)です。実家から聞いてきたレシピです。(料理さんのレシピと違って漁師レシピですからあてになるかな?参考程度にしてね)
①魚は山漬けを使う。
②粕は少し酒でのばす。
注)魚が甘口の場合は粕に少し塩を混ぜる。
③切り身にした鮭にぬったくる
④2,3日冷蔵庫でなじましてから焼いて食べる。
注)山漬け:ガッチリと塩し更に重石をかって少し
水分を抜いた漬け方なーんだ、簡単じゃん。でも、失敗するのは鮭の本来の塩加減によるようですよ。こりゃ難しいですね。それで、失敗しないコツを教わってきたので、面倒でなければチャレンジしてみてください。
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母が言うには、
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「粕にする時は、一度さばいた鮭をそのまま一切れ焼いて食べて、塩加減見てからじゃないとダメ」
だそうです。
でも、この塩加減が難しいですよね?漁師は長い間のカンで解っていますからね。目安としては、焼いて食べてみて
「こりゃ、甘口だな、このまま食べた方が美味しいな」と思ったら少し粕に塩を混ぜるそうです。
「結構しょっぱいな」と思ったらそのまま粕にするのだそうです。
でも、甘口が好きで、粕にザラメを混ぜるところもあるそうです。
※どちらにしても、鮭が甘いと失敗するそうです。
なるほど つまりここで一切れ焼いて食べて塩加減を計らないといけない。ま、そう思って朝飯を食わずにいたのである。飯を炊き、一緒に送ってきて下さった布海苔(ふのり)を洗い、みそ汁を作り、そして鮭を焼く。
鮭は、焼き初めからジュウジュウと油が滲み出て、派手な音を立てている。裏面も、皮目もバリッと焼き、食卓へ。
うおおおおおおおおおおおお
たまらん!実に旨そうである。この立ち上る強い香気を皆さんにも届けたい!堪らず口に運ぶと、鮭独特の香りと、甘さを含んだ塩気が弾ける!急いでメシをかきこみ頬張り噛みしめる。白米の甘みと鮭の風味と塩気が混ざって、気が遠くなる旨さだ!
そしてこの皮目の旨そうな色を観よ!身から外してバリバリのそれをご飯に載せて食う!本当に最高である。この皮だけ2平方メートル分食べたいぜ俺は!
あんまり旨いので続けてカマの部分も焼いてしまう。
カマには塩が強く、結果これだけでメシをもう一杯食べてしまった!んー
しかし、いっしょに食べた布海苔のみそ汁はこれがまた絶品だ!
乾燥ものではなく生だからか、磯の香りが強い!でも、それがすえたような香りではなく、爽やかなのだ!
このみそ汁、鮭、白米の三点セットで俺は生きていけると、力強く思った。和食って本当に素晴らしい!
で、結論として鮭の塩加減は、焼いて食べるのにちょうどよい。つまり粕漬けにするには少し甘いということがわかったので、酒粕に塩を加え、砂糖も混ぜ、この粕衣で鮭の切り身を漬け込む。いくつかに分けて漬け込み、冷蔵庫でしばらく寝かせるのである。
いや
本当に楽しみだ、、、
今回さばいて実感したが、鮭は捨てるところがない。頭も汁にすれば旨いし、軟骨はナマスにして食べることができる。長いこと日本の食卓に上り続ける理由がよく分かる。このblog読んでいる一人暮らしの皆さんもぜひチャレンジして欲しい。
というのも、
新潟の地震を観ていると、ライフラインが確保できない時に、どのようにしてメシを食べるかが問われるような気がするのだ。そのためには料理の技術が絶対不可欠だろう。魚をさばくというのはそれほど難しいことではない。料理人のようにやる必要はないからだ。どんな形でも切りさえすれば食えるんだから。
保存食を作るということは、コンビニやスーパーでしか食料を買わないライフスタイルへのテーゼだ。スローライフなんていいながらカフェに行くんじゃなくて、まずは鮭!と心に刻む昼餉であった。
Sさんどうもありがとうございました!またよろしくですぅ、、、