常夏の楽園・沖縄を食べ尽くす! 第2日目 名護の夜は居酒屋から山羊汁へと漂う。

2004年9月11日 from 常夏の楽園・沖縄を食べ尽くす

 うーん まだこのblog、2日目までしかかけてないんだなぁ、、、ちょっと飛ばし気味に行こう。

 「てーげー」(←分からない人は一つ前のエントリを読むこと)な店、コッコ食堂でそばとオムレツ丼をやっつけた夜は、名護市内で飲むことに。

「やまけん、ひーとぅー食べようね。」

ん?なんだそれ?

「ひーとぅーはね、イルカだよイルカ。」

なんとシュールなことだろうね。今まで僕らは、水族館で愛らしいイルカショーを観ていたのだ。でも、イルカっていうのは実は鯨類だし、鯨肉と思えばどうってことはない。

 そういえばいまだに捕鯨に関しては世界的に反対の動きがある。僕はこのblogで政治的なことを書くことは控えているのだが、ことメシに関することだけは声をあげておかねばならないな。僕は捕鯨には賛成。鯨が多くなりすぎて、その内に世界の水産資源が枯渇するぞ。鰯の不漁の遠因もそこにあるのではないだろうか。
 ということで、食い倒ラーは日本の文化的料理、鯨肉を積極的に味わおうね。

さて
 今夜の一軒目、居酒屋「春海」の前に、チカシが待っていてくれた。

チカシは、やはり卓とキッペイとの高校時代の親友で、名護市役所に勤めるナイスガイだ。

「よくきたねー、blog読んでるよ! こんどオーパに連れて行ってくれ!」

こんなにも遠いところで僕のblogを読み、オーパのカクテルを飲みたいという人にあって、嬉しくなる。やっててよかった、と思う瞬間だ。

店に入り座敷に座り、早速オリオンビールの生で乾杯する。

軽いテイストのオリオンは、沖縄のムワッとくる暑さ、ゆるさの中で飲むと最高である。

「ひーとぅー食べようね、ひーとぅー」

と、メニューに載ってる料理類をあらかた舐めるように頼んでいく。

■ヒートゥー炒め(時価、といっても安い)

ヒートゥーは大量のニンニク、ニラ、モヤシと炒められてくる。脂身であるコロの薄切りと肉の薄切りが双方等量に炒められてくる。味は濃厚、独特の鯨臭があるが、これが旨い。オリオンとはバカに合う。

■マグロの酢みそ和え

この辺では、刺身には酢みそをかけることが多い。マグロのブツにも酢みそで和えるのがよくやる料理法なのだそうだ。これががっちりマッチして旨い!よく考えてみたら「ぬた」そのものなんだが、沖縄のそれは少し違う。しーくわーさーが付いてきたのでこれを絞ると、鮮烈な香気と酸味が湧き出し、食が進むことこの上ない。

■魚(名前ワスレタ!)のバター焼き


ケースにドンドンと並べられていた鮮度の高そうな魚から、バター焼きをしてもらう。衣を薄く着けてカリッと焼かれ、ニンニクが利いたバター焼きは実に美味。やはりその土地なりの調理法が確立されているのだな、と強く感じる。

もうこの辺で相当にいい気分。チカシとはダチである。また、この日は粟国(あわぐに)というキッペイの仲間が来ており、彼が農業改良普及員であることから、相当に専門的な話に入った。翌朝は彼の手引で北部の農場をいくつか見学させて頂けることになって、非常に楽しみなのであった。

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「よし、じゃあ山羊汁食べに行くよー!」

名護市役所のチカシが先頭に立ち、僕らを誘ってくれる。山羊についてはこの北部の名護市周辺でかなり名物となっているらしい。ここに来る前に乗ったタクシーの運ちゃんも、

「この辺だったら名物は山羊だね。勝山っていう地域のが旨いよ。山羊の睾丸はね、言ってみればトロだね。旨いよ。あと、スープが最高なんだけど、飲むと血圧が異様に上がるから、病気の人は呑まない方がいいね。」

など、かなり凄まじいパワーを予感させるようなセリフを連打してきたのだ。すんげぇ楽しみなのであった。

春海から歩くこと10分くらいの間に、チカシは自分の街・名護市礼賛を続けていた。

「名護はね、田舎的な要素と都会的な要素が両方あっていい街なんだよ!もっとここを愛する人を増やしていきたい!」

と厚く語るのであった。卓の友人達は皆、沖縄をよくしていくための最前線の仕事をしている。無論、県職員や市の職員である以上、本音と建て前があるはずだし、うまく自分の意が通せない局面も多いだろう。しかし、自分のクニを語るその口調は例外なく熱い。僕のような、あまり根がない人間にはとてもうらやましくなる瞬間だ。でも僕はこういう「人」が好きだ。沖縄がいいところなのだ、と言うよりは、こいつらが居るから沖縄はいいところなのだと思う。
「さあ、この店だよぉ!」

いやぁ びっくりした!このストレート極まりない店名を観て欲しい。

「名護山羊料理店」

である。ほんと、こういう名前の店があったら、他の店は成り立たないね。

入店すると、いい感じにタガのはずれた感じのおばちゃんが座敷に通してくれる。

「どこで飲んでたの?春海?あそこは鮮度いいから美味しかったでしょ?じゃあ、山羊刺しつまんで、山羊汁飲むかい? 泡盛は?」

と我々につけいるスキを与えずにコトが進む。泡盛の水割りを飲みながら店内を見回すと、シュールなことに山羊の頭部分だけの剥製が我々をつぶらな瞳で見下ろしている。うーむ 食欲減退の気味あり。

 大体、この山羊屋に入店したときから、獣臭が凄まじいのだ。なんというか、、、獣の匂いである。しかし、チカシやキッペイは全く動じていない。やはり沖縄の人にとってはこれがソウルフードなのだろう。

と、山羊刺しが運ばれてきた。

「これはね、ショウガを溶かした酢醤油で食べるんだよ。皮の部分と肉の部分があるから、交互に食ったり、一緒に食べてみて。」

と、酢醤油に漬けて皮と肉を頬張ってみる。

コリコリとした皮の部分。思ったより匂いはきつくない。僕にはこれは美味しいな。ただし量はあんまり食べられない。
 なぜなら、厨房からこの後に運ばれて来るであろう山羊汁の匂いが辺りに充満し、獣香が鼻孔を攻撃してくるのである。

 果たして、おばちゃんによって運ばれてきた山羊汁は、もう見た瞬間にグロッキーになるような盛りであった。

 皮身の部分と肉の部分、スペアリブ的な骨付き部分が入っている。汁はドロリと白濁していて、獣臭はかなり漂ってくる。フーチバー(ヨモギ)が入っているが、この香りがかなり獣香を中和してくれている。思い切って肉を口に運んでみる。


、、、ん? 肉自体はあまり臭くないし、味もまろやかだぞ? 脂身はトロトロ。肉自体にはそれほどむかつく獣臭はないような気がする。皮の部分もトロリとしていて、嫌な食感は全く無い。

「あれれ、旨いじゃないの、山羊汁!」

汁を飲むと、ドロリと脂・ゼラチン質が溶け出した中に山羊のエキスが詰まっていて、超濃厚である。これで明日の朝は大変なことに、、、って、男4人の雑魚寝部屋なのだが、、、どうしよう。

山羊汁をガンガン食っていく。肉は全部たいらげた。ただ、汁はちと飲みきれん。飲みきったら大変なことになりそうな予感がする。

「やまけん、この店の山羊汁には、なぜか内臓が入ってないね。本当は内臓が一番旨いんだよ、、、今度は、ホンモノの内臓入りの汁を食べに行こうねぇ」
とキッペイが教えてくれた。そうか、そうなのか、内臓、かなり強烈そうだがぜひ行きたいゾ!

さて実はこの翌日、チカシは誕生日なのであった。なので、この山羊料理店で0時を越すまで飲む。0時になり、チカシを皆で祝福する。嫁さんのさつきちゃんもかなりいい感じに飲み、みんなとワイワイやっている。

嬉しいなあ、、、こういうの。日々、いい仲間が一杯出来ていく。今日はコッコ食堂で驚きのドンブリも食ったし、イルカも食ったし山羊も食った。イイ一日だった。明日は何が食べられるだろう?と思いながら、ホテルに帰還。皆より先にバタンQのやまけんであった。