やまけんの出張食い倒れ日記

レタス巻きの元祖は宮崎にあるのを知ってますか!? 宮崎市「一平」

 コンビニや持ち帰り寿司で必ずみかける「サラダ巻き」とか「レタス巻き」。海苔巻き寿司の中身に、エビやレタス、そしてマヨネーズという組み合わせで食べさせるものだ。子供でも食べられるので、かなり昔からスタンダード化している。しかしこの原型・ルーツが宮崎にあるというのをご存じだろうか?宮崎市内にある寿司「一平」が、その元祖を名乗っているのである。

 その話はずいぶん昔からきいてはいたのだが、足を運ぶチャンスは無かった。出張で行った際に店の前まで行って、定休日で地団駄を踏んだこともある。そして4年ほど前、宮崎の農協への出張の折、初めて一平に足を踏み入れた時の衝撃は忘れられない。

「これが元祖レタス巻きかぁ、、、」

レタス巻き用に最適なチューニングをされた自家製マヨネーズは、酸味が抑えられ非常にクリーミー、そして和のテイスト。念入りに下処理された茹でエビ、そしてレタスを酢飯できっちりと巻き込んである。軽く醤油を漬けていただくと、酢飯の酸味と特製マヨネーズ、そしてエビの香り甘みが渾然一体となる。レタスのパリ感とエビのホックリ感も楽しく、5人前くらい食べたくなってしまって困ったものである。以来、宮崎に足を運ぶ際は、できるだけ「一平」のある宮崎観光ホテル近辺に足を運ぶのだ。


 そんなわけで今回の宮崎滞在の夜。

「アニキ、宮崎市内で飯を食べましょう!」

僕の九州の弟分、沼ちゃんが車を走らせシーガイアに迎えに来てくれる。彼はとある農協の職員で、残留農薬などの成分分析のエキスパートだ。仕事上の相談にも多々乗ってもらっていて、頼りがいのあるヤツなのだが、なぜか僕のことをアニキと呼んでくれる。身長190センチの体躯で極真空手をやっていた猛者だが、性格温厚、情に厚く農家からの信用も厚い、ナイスな野郎なのである。ちなみに彼が農薬残留分析の修行先からぶんどってしまった奥方はこれまた美人である。

「沼!やっぱ一平だよな」

「そうでしょアニキ、一平でレタス巻き食べましょう!」

シーガイアから車で20分程度走らせ宮崎市街へ。メインストリートである橘通りの一番街を横目に、大淀川沿いの名スポットである宮崎観光ホテル近くに、一平はある。

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■元祖 レタス巻き 「一平寿司」
宮崎市松山1-8-8
0985-25-2215

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このちょっとチープな風情の看板が溜まらないのだが、、、のれんをくぐるとカウンター、テーブル、座敷とかなり客席数は多い。

「いらっしゃいませぇ!」

テーブルに着席しとにかくすぐに

「レタス巻き2人前とサバ寿司!」

と注文を入れる。そう、実はここのサバの握り寿司も絶品なのだ。青魚マニアの僕としてははずせないチョイスである。

一平の品書きに、レタス巻きの誕生秘話が掲載されている。こんな感じだ。

友人の作曲家の野菜嫌いを治すために考案されたのがこのレタス巻きだという。なんだか僕は違うエピソード(野球選手が野菜を寿司で食べたいと言ったので考案した)で覚えていたので「あれ、そうだったっけ」と思ってしまったのだが、店が書いているんだからこちらが真実なのだろう。

ちなみにレタス巻きは950円。宮崎の物価指数からすれば高い方かも知れないが、絶対的確実に旨い!のだから迷ってはいけない。

ほどなく

「はい、おまちどおさま」

と、運ばれてきた これが元祖レタス巻きである!

均等の圧力でスパッと米が割れている切り口。エビの美しい断面とレタスの巻き。レタスの細胞組織を崩さないように全体を巻いているはずだが、ご飯はしっかりと圧力がかかった巻き加減となっている。この辺、かなり奥深い技術が隠されているはずだ。

片面を醤油につけていただく。醤油はやはり若干の甘みがある。その甘みの後、しっかりと巻かれたご飯の中心からプチというレタスとエビの歯触りがする。そして一気に海苔巻きの世界に凝縮されたマヨネーズ香りとエビの旨味が解き放たれ鼻孔に抜ける!

「うおぉおおお 旨いぃ! やっぱ他の店じゃこの味が出ないんだよなぁ、、、」

過去、一平の定休日に他の寿司屋にてレタス巻きを作ってもらったことがあるのだが、やはり非なるものなのだ。この絶妙のバランス感覚は一平にしかない味わいだ。

レタス巻きをほどいてみる。レタスは一枚の大葉を巻き込んで成形している。こうすることで細胞の断面を少なくして、歯触り確保しているのだろう。

「やっぱ旨いですねぇ」

宮崎に住む沼も和歌山出身の奥さんも、旨い旨いと手を伸ばす。

同行の木島ちゃんも「初めて食べましたけど、美味しいですね」と止まらない。思わずもう一人前追加してしまう。

そう、もう一つこのの店ではサバのにぎり寿司が欠かせない。

適度に酢じめしたサバの切り身を握っていて、こういう形の寿司は宮崎は結構あるのだが、特筆すべきはこのサバの分厚さである。

どうだこのド迫力!渋く鋼のように光るサバの背部が実にソソる。青身好きにはこたえられない醍醐味がここにある!こいつを甘い醤油に少し浸して口に放り込むと、〆酢の酸とサバの香り、酢飯の甘みが口を満たす!

いやもう、お手上げである。

本日はこの後、一番街に行き地鶏の腿焼きを食べ、帰りにチキン南蛮を食べる予定なのでこの辺で「一平」を出る。しかしいずれ、ここで5人前くらい食べに来たいなぁ。

宮崎観光ホテル周辺には、昔書いた釜揚げうどん「しげのい」もあり、名スポットであることに間違いない。今後出張で宮崎に行かれる際は、少しフンパツして宮観ホテルにいくことをお奨めする。 絶対に後悔はしないはずだ、、、