明日は台風らしいけど、オフ会は決行するのダ!みなさん心して来てください。きれいなカッコでこなくていいからね。雨風にやられても大丈夫な恰好で来ましょうね。
さて先日の来店の際には、重シェフと30分くらい話し込むことができた。
「最近、お客さんが多すぎです。手加減してください(笑) でも、若い人間にはとても勉強になってます(注:厨房にはシェフの他に若い人2名います)。僕はイタリアで、半端じゃないくらいのスピードを求められるランチとかディナーを経験しているから、一皿を仕上げるのに短時間で集中して、また切り替えてというのを連続してやっていけるんですが、これは練習というか、経験を積むしかないですからね。」
重さんはシチリアに渡りで約三年修行をしてきた人だ。
「シチリアのシラクーサっていう地方都市で、まあ田舎なんです。けど、そこの料理や食材が旨いんですよ、、、野菜の味も濃くて旨い。旨いって言うのはシチリアの感覚で、ってことなので、そのまま日本に持ってきてもダメだとは思うんですけど、、、でも野菜はオイルで炒めて、シチリアの塩をふっただけで旨い。それ以上、何をやるの?ってかんじなんですよ。」
そう、この無二路ではシチリア産の塩を使っている。先日僕の連載の担当編集者産である神吉さんをお連れした際にも彼女はめざとく塩の違いを感じ分けていた。「強い塩加減なんだけど、すっと後を引かないで消えていく潔さ」だそうだ。
「シラクーサでは、ある兄弟が経営する2つのトラットリアを行ったり来たりしながら、修行をしてました。すんごい個性の強い、ヘンなおじさんだったので苦労しましたけど、、、師匠ってノリじゃあなかったですね。レストラン内を尋常じゃないほどカラフルに彩るんですけど、絶対にあれはオカシイ。他のシチリア人はどうかというと、全然違っていたので、やっぱり彼だけ特別な感性があったらしい。」
ちなみにこれがそのドンである。絵はがきにいろんな書き込みやコラージュがしてあって、色はすべてマーカーで丹念に書き込まれている。
「2年前に来日してうちでフェアをしたときも、朝早くに起きて何かやってると思ったら、せっせと日本での日々をシチリアの人たちに絵はがき書いてるんですよ(笑) シラクーサのトラットリアですから、田舎町の飯って感じなんですけど、でも旨いんですよね。」
僕はイタリアについてはほとんど知らなかったのだが、シチリアってすごい処らしい。
「島っていっても、大きさは四国より少し小さいくらいですよね。一周するのは大変です。シラクーサは食材も恵まれてるんですよ。近くにはトマトで有名なパキーノもあるし。シチリアの食材に欠かせないのが、ケイパーの塩漬けなんですけど、日本で出回っているような小さい実ではなくて、大粒のものが主流です。ケイパーは花芽なんですけど、そこら中の岸壁とかに生えているんで、全然めずらしくない。そんな豊かなところなんですよ。」
そう、この店のパスタにはケイパーが多用されている。オリーブオイルたっぷりにトマト、そしてケイパーの大粒の塩漬けをパンっ!とつぶしたものが入ると、いきなり独特の日なたっぽい味と薫りがするのだ。しかしこの塩漬け大粒ケイパーが、今、輸入できなくなっているそうだ。
「小さな代理店が、シチリアから輸入してたんですけど、あまりにニッチすぎてつぶれちゃったんですよ。だから、山本さんがお好きなスパッカレッラ(ショートパスタ)も入らないんです。なんとかならないですかねぇ、、、」
なんとかならないだろうか?このWebの読者の方で、輸入関係の方、ぜひお知恵を拝借したい。
「あと、リコッタもやりたいんですよ。羊の乳にレモンを搾り入れて加熱するだけで出来ますからね。シチリアで食べてたリコッタはそれはもうおいしくて、、、臭みもありますから好き嫌いはあると思いますけど、行ける人にははまっちゃう味ですね。国内では羊や山羊の乳が入りにくいんですけど、山本さん、調達できませんか?」
このWebを見ている羊飼い、山羊飼いの皆さん、ご連絡ください。私、さすがに酪農しかカバーしていません、、、
こんな話をしてまたたくまに時間が過ぎていった。実は今後、無二路のWebをリニューアルするお手伝いをすることにした。その中で、この重シェフの貴重なシチリア料理レシピを書かせてもらえることになった!
「ぼくは秘密にするの好きじゃないんで、いろいろ教えますよ。ぜひやりましょう!」
第一回目は、超絶のペスカトーレの秘密に迫りたいと思っている。まだ先の話だけど。
そんな店だ。ほら、台風の中でも来たくなるでしょう?