とある会社のD氏の訪問を受けた。実に丁寧な方で、しばらく仕事関係のいろんなことについて話をしたが、ふと食い倒れの話になった。彼は北海道の富良野にかなり長期間滞在し、バイトをしていた時期があったという。そのバイト先がカレーと燻製で有名な「唯我独尊」という店だったそうだ。
実はこの店の名前、訊いたことがある。夕張のメロン農家にして、僕の人生至上最高の蕎麦
を食べさせてくれた岩崎農場の亜紀さんが、札幌のデパートの物産展で
「これこれ この唯我独尊のカレーが美味しいのよぉ」
と言っていたのだ。その時は「ふうん」と素通りしてしまった。まだ店舗で食べたことがないから、実感がわかなかったのだ。
しかしこれで二回目である。人生に二回、向こうの方からやってきた。僕の人生哲学なんだが、 『向こうから来るものはとりあえず乗っておけ』 というのがある。来社されたDさんも「本当に美味しいカレーなんです」とおっしゃる。
「バイトをしていたときずっとオヤジさんとサシでやってましたから、いまだに親交があります。本当に美味しい。しかもルーだけ販売しているので、買うことができるんですよ!」
なるほど、バイトしていた人が店の陰口をたたくことはよくあるが、このように褒めそやすということは、本当に旨いに違いない!しかも味にうるさい岩崎農場の若女将ご推薦である。これはそのルーを買いに行かなければならないだろう!
、、、と思っていたら、、、その後別件で外出し、席に戻ると、なんと僕が留守中にD氏がルーを持ってきてくださっていた!
「北海道のアンテナショップが銀座にありますので、そこで買ってきました!ぜひお食べ下さい!」
この方、社会人の鑑である。いつか何らかの形で報いることができたらと思う。
これは早速食してみなければなるまい!ということで、退社後、夜10時半からカレーを作ったのであった。
ルーの写真がこれ↓だ。
説明書きには、3倍に溶かすと書いてある。
この漆黒のカタマリがルーなのであった。固さは買ったばかりの紙粘土くらいで、しっとりとしている。よく練り込まれたルーだ。なかなかソソル外観である。ホームページなどをみると「黒いカレー」という言葉がよく出てくる。タマネギ炒めでこの黒さを出すらしいが、相当な苦労をしているだろうな。
このルー自体の味をみたいので、タマネギ・ジャガイモ・ニンジン・牛肉で、ルー以外の調味料を何も入れないという、極めてオーソドックスなカレーにしてみた。やってみると難しいもので、ついついいろんなものを投下してしまいそうになるのである。うーむ
具を煮ている間にそのスープでルーを伸ばす。漆黒の闇色が、だんだんと茶色くカレー色になっていく。
具に火が通ったところでルーを投入した。あとは少し火を通して味を落ち着かせるだけだ。
と思っていたら、高校以来の親友から電話。結構重い話で1時間以上話し込んでしまう。
うおっもう1時ではないか! 腹は死にそうに空いている。大急ぎでカレーを温め、ご飯を盛りつける。急いでいたため、大阪で会得したはずのしゃもじ技を実践しそびれた!
、、、急いで食べたいがため、きったない盛りつけである。写真を載せるのがハズカシイ、、、
※ちなみにこの木のスプーンは、blog仲間のreitaroさんからオフ会時に頂いたものだ。ありがとうございました!
ちなみにこのカレールー、絶品な香りがする。インドカレーではないのだが、スパイス類と野菜が溶け合った旨味たっぷりの香りがするのダ!匙で一口いただく。
「うーむ これは予想以上に旨い!」
ホンネである。まったく予想していたより旨い!他に何も調味料を入れていないのに旨い。
野菜をソフリット化するまでとことん炒めた甘み、かなり刺激的な辛さ(汗がぽたぽたになる)、しかしどこか漂う優しい味。塩気もかなりきっちりしており、北国らしさを感じる。このルー、いくらなんだろう? これ食べちゃったらもう他の固形ルーは買えない、、、
これに対抗できるのは、インドカレー「デリー」の具の入っていないレトルトソースくらいなものであろう。
北海道のカレーと言えば帯広「インデアン」しか眼中になかった。
しかも、「北の国から」の舞台・富良野という、ある種ミーハーな土地柄。
関係ないけど、北の国からの順君役の吉岡秀隆は僕の高校時代の同期生だ。
ということであまり富良野にいいイメージはなかった(←何でじゃ)
しかーし! 考え方を180度改めました! 富良野はスゴイ!こんなカレーを生み出した店がある。 よし、いずれ富良野を攻めよう。ラベンダーなんか食べられないからどうでもいい。このカレーのためだけに行こうではないか。
北海道は広い!そしてなぜかしら旨いカレーにことかかない土地柄のようだ。スープカレーでもなんでもいいが、このように旨いカレーがまだまだ点在している気がする。改めて気持ちを引き締めるのであった。
Dさん、本当にありがとうございました。いつか富良野ガイドしてください!