やまけんの出張食い倒れ日記

名古屋の駅弁 「ひつまぶし弁当」はなかなかのものである。

 岐阜出張である。11時過ぎに新幹線で出たため、昼飯の時間を車中で過ごし、1時過ぎに名古屋駅に着く。乗り換え時間が10分しかないので、矢場とんのみそカツを食べに行くわけにも行かない。喫茶コンパルの海老フライサンドも時間がかかるので無理だなぁ 断腸の思いである。
 仕方なく駅弁売り場をみる。みそカツ弁当などがある中で、ひつまぶし弁当に目がいった。ちょうど昨日、友人が名古屋にいるので旨いひつまぶし屋を教えてくれと言われたので、栄の松坂屋に入っている熱田蓬莱軒の支店を教えておいた。そのせいか、鰻が食いたいと僕の胃袋が言っているのだ。

 僕は鰻は、関西風のものが断然好きだ。東京にいてあまり鰻を食いに行かないのは、江戸前の鰻に飽き足らないからだ。釈迦に説法かもしれないが、関東風は白焼きにした後に蒸して、脂を落としてトロトロにする。この柔らかく脂の落ちた上品なのを好きな人もいるわけだが、僕には物足りない。ひるがえって関西では蒸さずに皮目をバリッと焼くため、脂ののりが極めてしつこく(笑)、これが俺様好みなのである。それに、タレも心持ち関西の方が濃く感じられる。ギトギトしている。その中でも一番好きなのは、宮崎県にある名店「入船」だ。知ってる人は知ってるだろうが、国内のウナギの養殖の多くは、宮崎や鹿児島の河川で行われている。だから南方のウナギもおかしい話ではない。事実、鹿児島の寿司屋ではウナギをネタに使うのをよくみかける。

 と、弁当をみながらそこまで考えたところで時間が来たので、とりあえず買うことにする。ひつまぶし弁当1100円也。メーカーは「だるま屋」というところだ。パッケージには「日本一弁当」と書かれている。よくよくみると、パッケージが面白い。

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日本一のうなぎ生産地三河一式の蒲焼、、、日本一の抹茶生産地、西尾のてん茶、、、日本一長い守口大根を添えた、、、日本一、名古屋の抹茶ひつまぶし

 巧妙に「日本一」が誇大表示にならないような手を使っているわけだ(笑)
 何が何でも日本一って言葉を使ったるぞぉ!という気概に満ちたネーミングなのだ。ていうか、上記説明が箱の上部に書いてあるのだよ。この箱もなんだかいい紙使ってるし、意味もなく中身が2重になってるし、豪華すぎる。

 箱を開けてみると、膨大なつき物群が。お手ふきに箸、うなぎのタレと山椒、そしてワサビの小袋ともみ海苔。そう、ひつまぶしにはワサビだもんね。これらのギミック類を除いた後をみると、結構にウナギの分量が多く、豪勢な見た目である。
 ひつまぶしのご飯にはあらかじめタレが絡められているので、すでに味が付いているのだけど、そこから更にタレをかけるというところが名古屋だな。

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 山椒、タレ、ワサビ、もみ海苔を載せて、いただきます。これが、予想外に旨い!ウナギの皮は期待を裏切らずにストロングもっちんもっちんで噛み切れないくらいだ。やっぱり味も濃い!量的にも、おやつにはちょうどよい(笑)というのは冗談だが、まずまずの満足度なのだ。

 食べていてはっと気づいた。包装の豪華さ、日本一にこだわるネーミング、そして中身のギミックの多さは、すべて名古屋人気質といえば説明が付く。嫁入りの豪華さのみならず、名古屋を通過する全国の旅人に対して、

「日本一やゾぉ」

とにたりとしながら微笑む名古屋人。そう思えば、1100円という価格帯でここまで豪華にするのも気質から無理を通した結果と思える。うーむ 素晴らしいではないか!

と堪能しているうちに、大垣に着いたのであった。望外の満足度なのであった。