正月明けで、しばらく出張の食い倒れネタがないので、これまでの膨大なアーカイブから、ぜひとも紹介しておきたいものを小出しにしていきたい。そう、「食い倒れクラシックス」である。
第一弾として紹介したいのは、愛媛県が誇る激烈旨うどん屋である 「踊るうどん 永木」だ。
先ず言っておきたいのだが、僕は愛媛の今治市で産湯を浸かった。愛媛県は、隣の香川県(讃岐)と同じく、圧倒的なうどん文化である。旨い蕎麦屋はほぼ皆無。しかも、瀬戸内といえば、極上品のいりこやうるめ干しが産出され、魚系の出汁には事欠かない。うどんがまずい条件がほとんど無いのである。
ま、讃岐のうどん文化にはひけをとるのであるが、そんな愛媛にも劇ウマなうどんがある。讃岐うどんがはやる一歩前くらいに、高知の親友と車で名店を回り、1時間半で13玉のうどんを食べたこの僕がみても「こいつは、讃岐より旨いかも、、、」と思ううどんだ。それが、「踊るうどん永木」なのだ。
ここは、愛媛の企画会社の女社長さんに「やまけんちゃん、愛媛の旨いうどんを教えてあげる!」と連れて行ってもらったのだ。松山市内から少し車で郊外に出たあたりにあり、わかりにくい立地。でも、この辺でこの店を知らぬ者はない。
「踊るうどん 永木」
愛媛県松山市須賀町2-1 リバーサイドナカオ
089-953-5162
営業時間10:30~午後2:30
金曜のみ午後7:00~9:00
定休日 毎週日曜・月曜
ここにきたら、先ずはとにかく生醤油うどんを頼むのが良い。お約束の、セルフサービス大根おろしセットが来るので、おろしを擂る。その内にゆであがったうどん玉を水でキュッと〆て水切りをしたものが運ばれてくる。これを、テーブルのおろしと生醤油でいただくのだ。
この一発で、ノックアウトされた。讃岐の、麺の角が立った感覚とも違う。とても柔らかく、はんなりふるりんとした感触なのだが、むっちりとしたコシがあるのだ。讃岐では、大体さいしょからブルリンというコシが目立つのだが、ここのうどんはムッチンとした官能的な腰使いだ。
むろんこれだけでは足りない。同時に頼んでおいたごぼう天ぷらうどんが運ばれてくる。かけスタイルのこちらは、牛蒡を薄切りにしたものを天ぷらにしている。ここでは油に細心の注意を払っており、酸化の形跡はほぼゼロだ。香り高く揚げてある。かけ出汁も旨味が濃く、うどんをすするにふさわしい強さを持っている。
瞬く間にたいらげてしまい、まだまだまだ腹が減っていたので、釜揚げを所望する。店の人もさすがに苦笑していた。手持ち無沙汰で店内を見渡す。小さな店だが、客足は全く絶えない。
天ぷらケースを覗いてみると、大好きなちくわ天とゆで卵天を発見。すぐにひっさらう。
それをつついていると釜揚げが出てきた。通常、釜揚げでは、どうしても麺の腰が決まらずふわふわした食感になりがちだ。讃岐の名店「わら家」や、満濃町の「長田」のように、釜でも腰がのり、歯をはじき返す麺が食べたい。しかし、この「踊る」釜揚げは実に素晴らしかった。うどんというもの、弾力だけではないのだなぁ、、、おいらの讃岐紀行、偏りがあったかも、、、
いやそんなことは無いと思うが、踊るうどん、最高に旨い。
ここのHPをつぶさに見ていただくとわかると思うが、店長の永木さんは若い。そして、なんだか顔が仏様のようだ。そして言動やモットーも宗教的ビジョンが色濃く出ている。そんな踊るうどん永木が大好きだ!
愛媛県人とくに松山在住者が羨ましい、、、
足を運ばれる人は、ぜひいっていただきたい。うどん一杯400円程度で大満足間違いなしである。