静岡県には、素晴らしい食い道楽人がいる。岩澤さんという県の職員さんなのだが、この人は静岡県内の全酒造に顔が利く方で、相当な飲んべえ&食い道楽。現在は、先日もベーコンを作りに行った中小家畜試験場にて、駿河若シャモという地鶏の育種をしています。この若シャモはおそらく現在最も旨い地鶏である。それはまた今度書くが、今回は岩澤さんにまた素晴らしい食材を紹介してもらったので、そちらを採り上げたい。
先日のハム・ベーコン講習会で知り合ったのが、静岡県の浅羽町というところの商工会の方だった。この浅羽町の地域食材の動きはとても活発で、目玉は豆腐。原料の大豆は町内の農家さんが自家生産し、その大豆を使って豆乳と豆腐を作り販売をしているのである。メーカーさんはその名も「どんどこあさば」。
特筆すべきなのはその技術。超微粉化という技術を使っていて、大豆をミクロレベルの粉にし、呉汁にするという方式をしているのだ。その粉を湯に溶いて呉汁にする。つまりおからを出さない、大豆成分を丸ごと汁にしてしまうという方式なのだ。実はこの技術自体は結構広まっていて、事例も多いのですが、肝心の旨い豆腐が少ない。粒状感が残って、舌にざらついた食感になったり、くどい甘みが残ったりというように、あまりいい評判を聞かない。元々、微粉にしてしまうことでおからが出ない=産業廃棄物が出ない、という発想で機械メーカが作ったようなものだからかもしれない。
しかし!
この浅羽町の豆腐は、旨い。製法上、絹ごししかできないが、マジで旨い。
まず地域の農家が地域の豆腐屋向けに生産している訳だから、手抜きナシの良質の大豆を原料にできる。原料大豆の品種も色々あるが、フクユタカがメインだ。この品種、旨く栽培するととにかく濃厚なタンパクが採れる。それを微粉加工し丸ごと使っている。ちなみに通常の方法で豆乳とオカラを分ければ、豆のエッセンスだけが豆乳に残るので、滑らかだし雑味が入らない。オカラは滓(かす)なので、それ自体の味はじゃまになるわけだ。しかし、良質な大豆を使えば、オカラ部分が入っても味がまったく濁らない!それどころか濃厚さが増し、独特の滑らかさを醸している。味は甘みが強く、豆乳味が濃い。香りも立っている。
ちなみに豆腐も旨いが豆乳がまたメチャ濃厚で旨いのだ!スーパーで売っている豆乳は調整豆乳といって、加工しているものだ。あれをコップ一杯飲んで「まずーい」というイメージを持っている人に試して欲しい。ここの豆乳は、おちょこ一杯分くらいで十分と思ってしまうほどに濃い。そして、なんとも上品。濃くて上品ってすごいことですよ!そのまま飲んでも旨いが、醤油を少し垂らすと、超絶に旨い。これをホワイトソース代わりにしてグラタンにすると、もったいないけど最高である。無論、この豆乳を鍋で熱してニガリを混ぜれば、おぼろ豆腐になる。ちなみに豆乳を買うとパックのニガリが付いてくる。もう言うことないのである。
この浅羽町の豆腐、ネットで購入が可能だ。しかも価格が無茶安で、豆腐が1丁150円、豆乳は500mlで380円~480円。原料大豆にはなんと黒豆もあり、この黒豆豆腐はまた違った風味で楽しい。これからの季節、1週間程度は冷蔵庫で持つので、一度に沢山買い込んでも送料分は惜しくないだろう。
ちなみに今の季節だけ、黒豆の枝豆が収穫できる。ぼくはきっちりいただいた。
黒豆の枝豆は最近ブームだが、味が濃く、茶豆とは違った風味があって素晴らしい。そうそう、知らない人が結構多いようだから言っておこう。
「枝豆とは、未成熟な大豆のことである。」
これ、知らない人けっこういるんだよね、、、
ともあれ、旨くて安くて環境にもよい。関心の有る方はぜひ一度取り寄せて頂きたい。スーパーで買う物とは段違いである。