2016年1月27日 from 首都圏
ここのところ本当にツイてる! 先日は偶然にも浅草の喫茶アロマにて極上のオニオンサンドという、全日本タマネギがあれば他に何も要らない協会員である俺にしてみれば最上のご馳走に出会うことができたわけだが、間をおかずしてこんな極上路麺に出会えるとは。
路傍の麺屋、つまり立ち食い蕎麦が大好きである。本音を漏らすと、いわゆる通常のそば屋よりも好きだ。幼い頃、埼玉県上尾市にあるキリスト教会の日曜礼拝に連れられていくとき、その礼拝の内容はぜんっぜん興味なかったが、何かしら食べられるのが子供心に嬉しかった。
当時、上尾駅の上り線前の方に立ち食いそば屋があった。滅多になかったことだけれども、母がかき揚げ天の乗ったうどん(当時は愛媛出身の母の影響で、蕎麦はほとんど食べなかった)を食べて、電流が走った。
「世の中にこんなにうまいものがあるとは、、、」
醤油の濃い熱いつゆに薬味の葱の香りが溶け出し、天ぷらの油っぽいうまさとともにすすりこむうどん。それは自宅でたべるうどんとはまったく違う次元のたべものだった。以来、小遣いのかなりを立ち食いうどん・そばにつかってきた。
社会人になった今も、である。もしまだ未踏の、つまり入ったことのない立ち食いそば屋またはチェーンをみかけると、メシを食う前であろうと、また喰った後であろうとも、入ってしまう。それが本当の路麺好きなのである。
さて、事務所のある日本橋小舟町かいわいには、あまり良質な路麺がない。小諸そばが近くにあって、ここはサラリーマンが多いため回転が速く、標準以上の麺質で食べることが出来る。でもまあ、小諸そばの味である。小伝馬町の裏には、ノスタルジックな古い路麺屋がある。しかしここは本当に古いだけの店で、天ぷらはべちゃっと揚がり、つゆも並み以下の味だ。
ということで失望してたのだが、つい先日、普通はそこまで足を伸ばさない日本橋本町を歩いていて「あれっ?こんなところにあったっけ?」という店が。
ん、、、
匂う、、、
なにか、美味しそうな佇まいである、、、
もう、こういうときは入っちゃうしかないのである。入ると二台の券売機が並ぶ。古い店ではないはずなのに二台も券売機があるということは、人気があって混むと言うことだ。魅力的なセットメニューが並ぶ中、路麺マニアとして最初のオーダーは「温かいかき揚げ天ぷらそば」という不文律に習う。けど、期するところがあって、シュンギク天もオーダー。
この時点で異様なのだ。かき揚げ天の上に乗っているシュンギク天、一枚一枚の葉が開いた状態で揚げられている。ていうか、その辺で売ってる中葉シュンギクの葉じゃないよな!?
はやる心を落ち着かせてつゆをすすってまず「おおおおおおおおおおおおおっ」と唸る。
美味しい、、、
うま味十分、昆布と鰹の風味もほどよい、醤油のバランスもよし。とてもキリッとして辛くも甘くもないバランス重視の味だ。
そして蕎麦麺が! そう、ここ、オーダーしてから「これから蕎麦を茹でますのでね~」と2、3分待たせる方式だ。軽井沢駅おぎのやの立ち食い蕎麦のような感じね。その生そばから茹でた麺が実にハッキリとコシとカドを主張し、なおかつ旨い!
天ぷらの旨さと相まって、一気呵成にズルズルズルとすすり込んでしまった、、、
しばし茫然としながら、俺はある決意をしていた。
「盛りも食べよう、、、」
一食一会。 もしかしたら明日死ぬかもしれないんだ。ここで食べずしてどーする!?
麺の旨さを感じたくて、オプションなしのもりそばをオーダー!
iPhoneのちょっと広角気味のレンズなのでわかりにくいだろうが、通常のそば屋の盛り一枚よりちょっと多い気がするくらいのよい盛り方!
つゆにつけてズッとすすり込む。キンと冷やしたことで、ただでさえカドの立った麺がビシビシとその鋭角を主張する。しかもつゆが、江戸前の辛づゆではなくて、どぼっと麺全体をつけて調度美味しくなる贅沢スタイルな味バランスだ!
旨いっ! 蕎麦の香りが、、、とかそういう麺じゃないけど、実に十分、いや十八分くらいまで旨い!
しかもですね、、、
なんとこの盛りそばがたったの360円!
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
断言するがこの半径1キロ圏内でここ以上のコストパフォーマンスの盛りそばはないだろう!最近、なんもわかってないやつが「コスパが悪い」とかヌカしやがるのは、単にお前「高い」って言ってるだけだろ。パフォーマンスの部分を正確に評価できてないだろ。あのな、コスパがいいってのはここの盛りそばのことだよ!と言ってやりたい。(←言ってる)
とにかくビックリした。事務所に戻って調べてみたら、どうやら以前は春日にあった名店らしい。そうですかそうですか、識らなくて佳かった。識らなかったおかげでこの感動を味わうことが出来たよ!
本日、客観的に判断させるために、料理雑誌記者歴●年の部下を連れて再訪。
京は冷やしかき揚げ大盛りを所望。
この店が「わかってる」のはかき揚げの仕立て方だ。 簡単に言えば2Dなのである。3Dではいけないのだ。
最近、円筒状にうずたかく積み上げていくような分厚いかき揚げを売りにしている店が多い。JR系列のNREがJR各駅に出してる駅そばもそういう店がある。けど、本当に不味い。とくにNREは最悪。お前らが東日本の駅そば文化を壊した張本人だ、俺は許さん。それはさておき、、、
立ち食いそばにおけるかき揚げは調味料なんです(byゴリ君)。
つゆにフワッと溶けて、風味になってくれる。焦げ目の付いたタマネギの甘さがうま味を倍化させる。それがいいのだ。分厚すぎると溶けないんだよっ
その点、このおか田のかき揚げはいい。ほぼタマネギニンジン長ネギだけの具材で、柔らかに揚げられている。2Dつまり二次元、つまり面なのである。これが美味しいかき揚げの法則だ。
そば麺、やはり旨し。つゆは、冷やしてもきちんと旨さが分かる適切な濃度である。
いやー もう開店してからしばらく経つのだろうけど、見つけられて本当に幸せだ。ありがとう「おか田」よ!これからせっせと通います。
立食蕎麦処 おか田
東京都中央区日本橋本町4丁目15-10
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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