2016年1月21日 from 首都圏
ありがたいことに「激安食品の落とし穴」が重版になった。なんと、とある生協さんが「えっ!?」という部数をまとめて買ってくれることとなったらしいのだ。買い切り(返品なし)なので、出版社としては安心して刷ることができる。ありがとうございます、、、みなさま、まとめ買いしていただければお安く出しますので!
さて僕の大好きな編集者Aちゃんとさてそのお祝いをば。どこにしようかと思いつつ、僕はあまり話題の店を食べ歩く人間ではないので、うちの部下に店選びをお願いした。
昨年からうちで働いてくれているカキモト女史は、某大学の哲学科出身にして、なぜか料理雑誌のライターをながく務めてきた(現在も)。新聞の記名連載もあり、国産ワインにも精通している。じゃあ、俺もAちゃんも満足しそうな店を教えてよ、というオーダーに帰ってきたのが「オルランド」だ。
オルランドの店主の小串さんはアッカ出身。前店のフォルナーチェ@駒場では、今飛ぶ鳥を落とす勢いの「メゼババ」高山シェフとコンビを組んでいました。
元サービスマンですが、キャリアは料理人からで、イタリア・マルケ州などで修業してきた経験もあるそうです。私は以前、雑誌の取材に小串さんにアンチョビの作り方を教えていただいたことがありますが、食材選びの繊細さや、自家製できるものはするという姿勢が印象的でした。三浦半島の佐島まで魚の買い付けに行っているお店で、魚料理もおすすめです。
お店への行き方は、渋谷駅から三軒茶屋方面のバスに乗り、「大阪上」停留所で降りるのが最も便利です。
http://www.orlando.tokyo/
とのこと! さて渋谷駅前のバス亭から、「大坂上」を通る路線はたくさんあるので、そのどれかを選べば3分もまたずに出発することができるだろう。そして、5分以内には「大坂上」に到着できる。従って渋谷駅から10分で到着だ。
バス亭を降りてすぐ左の小径を曲がると、、、
なんともひっそりした通りに入るのだが、そこで輝いている看板がオルランドの目印。
これがまた、中を覗き込みたくても絶妙な目線高さまで曇りガラスでみえないのがもどかしい(笑)
カウンター5席程度と4テーブルくらい、店内は満員です。後できいたら、お客さんのほとんどが食関連のメディアか料理関係者! そういう人が集うお店なのでした。
小串シェフ、これまでの店では料理を担当する立場ではなかったらしいのだけれども、カキモト女史によれば「とうとう、鍋を振る側に廻ったという感じなんです。それがもう絶妙な味加減で、、、」とのこと!
「今日は長井漁港のテナガエビがあります。後から来るお客さんの分もあるのでお一人様一本ずつしか召し上がっていただけませんけど。ほんとうは生のと温かいのと二通りたべていただければいいんですけどね。半生っぽくゆるく火を入れたのが美味しいと思います。」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
ぬるく半ナマに火が入ったスカンピの身肉のあまっぽさ、いっさい生臭みのないエビの香り、そして味噌の部分のうまさ!
この一本をあますところなく殻までチュウチュウしバリバリとかみ砕いてジュースを漉しとり愉しんでしまった! 絶品!
これも三浦のトマトとブッラータのカプレーゼ。なんともこのざっくりした佇まいがイイ。変な手を入れてこない分、量を盛り込みました!というかんじである。
セロリとマッシュルーム、ペコリーノチーズのサラダ。
これで1000円、、、ペコリーノががっつり乗ってるんだけど!(笑)
青森県産馬肉のタルタル!
これが、スケールよく分からないかもしれないけど、盛りがイイ! でっぷりと盛りつけられているのだ!
どうもこの店、僕の好みかもしれません(笑)
ツブ貝が美味しいよ!と言われていたので、お薦めに従ってツブ貝のポルケッタ。
おおぶりのツブ貝がいったい何個入っているのか(笑) ひじきみたいに絡んでいるのはフェンネルの葉。
これまた素晴らしい鮮度、そして殻についてるトマト煮込みもべろべろチュウチュウ舐めてしまう。これにパスタで一皿になるじゃん!
三浦の根菜のアンチョビ炒め。うわさの自家製アンチョビがしっかりきいている。
自家製サルシッチャは半分に開いてしっかり焼いたもの。豚肉があまり寝かせていない感じでブリンブリンな食感だ。フレッシュな肉は熟成したものとはまったく違う美味しさと爽快感がある。あまりスパイスは入れず塩コショウだけです、という感じのシンプルなサルシッチャだ。
そして今日の衝撃。
豚のレバーペースト。って、どんだけ盛ってるんだよ!
ちいさい鉢にすりきりで入ってくるかと思いきや、このボリュームです。これひとつで赤いワインがしっかり呑めてしまうボリュームとお味。美味しくて楽しいねぇ、、、
ちなみにグラスでお願いしているんだけど、実にいろんなバリエーションで提案してくれる。ホールスタッフさんも肩の抜けた感がありつつ、的確なアドバイスがイイ!
豚バラのポルケッタも、厚みがあってでかいのがドーン(笑)
甘辛い感じの焼き付けたソースおいちい! そろそろかなり胃が一杯に、、、という女性陣(二名)がいうので、仕方なく麺で〆るか。
スパゲッティ エビとからすみを、大盛り目でお願いといったらこんなのが出てきた。
からすみかけ過ぎ!エビ一杯入ってる! こいつがもう、、、
激烈にうまい! ここ、とりあえずエビの仕入は最高だね、鮮度よく甘い身肉、健全なプリプリ感!そしてボッタルガの麺への辛み方パンパなし!
「あー、ボッタルガはですね、だいたいふたつかみ分鍋に放り込んでます。その方がうまいですからね」
うまいよっ! すっげーうまい! だけどさ、この値段(1700円)でいいのかい!?
「この辺のシェフ仲間で集まったとき、原価率を言い合うんですけど、みんな28%とかが普通なのに、うちは40%超えてるんですよね、、、おっかしいな、計算してるんだけど、大丈夫なはずなんだけどな、、、」
その算数のままでぜひ今後もやっていただきたい。つぶれない程度にね!
そしてこの日の白眉がじつはこのパスタ。 「スパゲッティ ポマローラ」だ。
メニュー観たときからちょっと気になってた。
「ちょっとめずらしいんですけど、セロリやにんじんなどの野菜を大きめに切って炒めて、トマトソースと煮たものを、鍋でパスタとからめるんじゃなくて、茹で上げた麺の上に載せるってやつなんです」
イタリアではふつう、ソースとパスタを絡めてくるけど、この一皿は日本の喫茶店ででてくるような、麺の上にソースが載ってるタイプだという。それ、ちょっと興味あるなあ。
というのは、こういう場合、ソースによほどうま味があって濃さがないと、満足な味にならない。どんなの!?
これがですね、、、
べらぼーーーーにうまい! 本日ベストの驚きと美味しさ!
ざらざら感溢れ、麦の粉が溶け出してる感じの、カキモトいわく「クラフト感満載のパスタですね!」の太麺が、濃いトマトのグルタミンさんと合わさって、実に実に実に素晴らしく美味しい世界観を創りだしている!
「はい、おいしいんですよね、これ。」
と淡々という小串シェフだが、いや実にこの人美味しいポイントをはずさない! 業界の人達が店を閉めた後、ここに寄って呑んでいくというのがよく分かる!
お値段も決して高くありません。
最後のティラミスまで激盛り(笑)
美味しゅうございました、、、
やっぱりイタリアンは愉しさが命だね!Aちゃんもカキモトも心の底から愉しんだいい夜でした。 ごちそうさま!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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