2015年11月23日 from 出張
土曜日に香川でオリーブ牛の食べ比べ会をやってきたと思ったら、明日からはくまもとあか牛の食べ比べで熊本へ。もうヘロヘロです。
くまもとあか牛は、黒毛以外の和牛品種の中ではいちばん頭数が多いのだけれども、それにしても黒毛に比べたら誤差範囲というくらいの少数派だ。そして、短角も土佐あかうしも、どこもそうなんだけれども、飼育された地域で味がぜんぜん違う。粗飼料を栽培しにくい場所、つまり山地以外の場所では穀物優先で与えるためか、黒毛っぽい肉質になってしまいがちだ。
やはり阿蘇または阿蘇に近い地域で、粗飼料をいっぱい食べさせて、比較的赤身中心になったあか牛こそが、「らしい味」だと思うと言い続けてきた。
そう、こんな光景があか牛生産のあるべき姿だろうと。もちろん放牧で運動させていると太ってくれないので、肉量がとれない。だから肥育期はある程度牛舎で飼うことも重要にはなっていくのだけれども、それにしても放牧経験を牛にさせることは重要なのだ。放牧経験のあるなしで、肉に含まれる成分がかわるという知見があるのだから、間違いない。
ここは阿蘇の産山村。
このシュッとした井さんの牛が放牧されている地域。彼の家が営む店ではこんな肉を食べられる。
そしてなんとこの組合では、放牧と舎飼いをかけあわせた、半放牧&半牛舎での肥育が実践されている。
それで育ったのがこいつ!
えっ
かなり太ってるじゃん!
実はこの牛、ミラノ万博にいった牛だ。
それと同じ牛舎で育った牛を、明日は食べることができる。それもウェットエージングとドライエージングの双方の食べ比べだ。
予言しておくけれども、これからは「赤身肉」というキーワードだけではなく、「その赤身は何でできている?」ということが問われることになるだろう。
最近の赤身ブームの中で提供される肉をみていると、サシの比較的入っていない黒毛のモモや、A5を目指したのにそこまで行き着かなかった黒毛の肉を出してお茶を濁しているケースがあまりに多いように思う。
それらは最初から「美味しい赤身」をめざしたものではないでしょ?
美味しい赤身とは何か?ということを考えるならば、餌を最適化させなければ意味がない。その際、粗飼料の質を本気で考え直さなければならない。日本でそれを多角的に試験しうる地域は、残念なことに少ない。そのごくわずかな一つが、熊本県である。なにせここでは周年放牧、つまり冬の間も草が生えていて、放牧が可能なのだ。
ということで、明日は貴重なイベントをしてきます。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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