山形県朝日町にしかない、生じゃ食べられないまっずいリンゴをめぐる、エコール辻 国立校とタルトタタンの物語。このリンゴで作るタタンがいと旨し! そして、学生達が作るお菓子・パンを買うことができるアトリエの素晴らしさ その2

2015年11月 9日 from 食材

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アトリエ・辻・東京。ここは、エコール辻 国立校の横に立つケーキとパンの販売店だ。ここに並ぶ洋菓子とパンをつくるのは、卒業年次に達する、技術を磨いた生徒さん達だ。そして店に立つスタッフも生徒さん達。三重県の「まごのて」を思い出すが、生徒さん達がみずから切り盛りするショップなのである。

 

■アトリエ・辻・東京
http://www.tsujicho.com/att/

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ちなみに要注意! この店、営業する日が実に少ないので、興味があるひともWebのカレンダーをしっかり観てから足を運ぶこと!

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なにせ授業ですからね、、、

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清潔な店内に、パンと洋菓子が並んでいる。

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ガラスの向こうでは、いままさに洋菓子が作られている!

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「おかげさまで、地域の方達も、営業日に来てくれるようになってきました。授業の一環ということもありますが、ここのケーキやパンは、一般からみるとかなり良心的な価格になってると思います。」

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「例えばこのヴェラベッカというお菓子、ドライフルーツにナッツがほとんどなので、原価がむちゃくちゃ高いんです。一般の洋菓子店なら2000円とか、ヘタをすれば3000円くらいになるかもしれません。1500円じゃホントは利益は出ないんですけどね(笑)」

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「やまけんさん、お好きなもの、食べて下さい」

えっ マジで? それではお言葉に甘えて、僕の大好きなシブーストとチョコエクレアを!

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いや、、、 このお菓子の完成度の高さ! びっくりしましたね、、、

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この丁寧に作られたシブースト、美味しい! 「いえいえ、ちょっと表面のカラメルの焼きが薄いですね。もっと焼き色つけないと」とおっしゃるが、旨いものは旨い!

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チョコエクレアも、クリームが濃い! 原価かかってます、、、

そうこうしている間に、あのリンゴに火が通った!

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「ほんとにね、水分が出にくいリンゴなので、こうやって焼いて、砂糖の味を入れるのが適していると思うんですね。」

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このぐずぐずになったリンゴを押していって整形。

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その上に、パイ生地をパタンと乗せて、、、

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しっかり押して空気を抜く。

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これをオーブンに入れて、いよいよ最後の焼成、完成の工程!

学生さん達も最後の工程だ。

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「さて、焼き上がったものは、いったんあら熱をとって冷蔵庫に入れて冷やします。それでペクチンがかたまって、形になるんです。それをこれから抜きます!」

と大川先生。 ”抜く”とはいったいなんのこと?

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冷蔵庫から出したきんきんに冷えたタルトタタンの鍋に、じんわりと火を当てていく。

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こうやって丁寧に5分ほど、鍋はだにくっついている部分だけを温めて糖分とペクチンを溶かし、鍋から抜きやすくするのだ。

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それでは、、、

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えいやっ!

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ホッと!

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やったぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!

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これがタルトタタンである!

「これに、最後の一手間です。」

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綺麗に粉糖をかけて、、、

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ガス火で熱したコテを、、、

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ジュワッとなっ!

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じゅじゅじゅじゅじゅ!

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こうやって、表面に綺麗な焼き目がつくのである。

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か・ん・せ・い! 完成だぁあああああああああああああああああ!

いやもうほんと、これがタルトタタンなんですね。 しっかしびっくり、リンゴパイってパイ生地6割、リンゴ4割くらいかと思ってたけど、タルトタタンってリンゴ9割に生地1割くらいなのね!
もう、これほぼリンゴのお菓子です。

だからこそ、タタンに合ったリンゴが要望されるというわけなんだ。

「日本のリンゴはそのまま食べると美味しいけど、洋菓子には向かない。そのジレンマをどうやって解決するのかは難しいですが、朝日町のリンゴに出会えたので、とにかくこれを使ってタタンを作ることで、探求してみたいと思っています。」

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「それはそうと、ぜひ食べてみて下さいよタルトタタン!」

えっマジですか、いいんですか、嬉しいっ!

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ご覧下さい、やっぱりリンゴ9に生地1だわ。構成要素はほぼすべてリンゴ!

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バターと砂糖と熱の入った山崎リンゴの部分をいただく。トゥルッとやわらかく、そして粒状感がちゃんと残っている舌触り。そして、こんなにクタクタになっているにも関わらず、酸っぱさが残っている! この酸味、紅玉の比ではない。

そして、砂糖の味とリンゴの素の味の境界線というのだろうか、それがよくわかる。このリンゴで作る限り、砂糖は欠かせない。通常の日本のリンゴだと、あまさがリンゴにあるのでぼやけてしまうのだと言うことがよーくわかった。

美味しい。フランスで食べたタルトタタンとはまた違う味わいだが、このタルトタタンは日本でここでしか食べられない(それは確実にそうだ)タルトタタンである!

ごちそうさまでした、、、

他の教室では、実際の店舗のシミュレーションとして、造った料理を生徒がサービスして、生徒が客として食べる実践授業をしていた。

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ああ、ぼくも何度か「料理人になりたいなあ」と思ったことがあるので(いまでも)、くすぐられてしまう。こんなところで勉強できたらなぁ、、、と。

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充実した気分で先生方に別れを告げ、帰途につく。

いま、ちまたの飲食店業界では人手不足が深刻だ。とにかく働き手がいない。だから、エコールのような料理学校に学ぶ生徒さん達にはようようたる未来が拡がっているといえる。

頑張れ未来のシェフ・パティシエ・ブーランジェたち!

そして山崎先生、朝日町のまっずいリンゴをこんなに美味しく菓子にして下さってありがとうございました! あの週アスの記事を読んで連絡してきてくれたあの日の奇跡を、私は生涯忘れません、、、