ロンドンから特急で40分ほど、ミルトンキーズという、最近はロンドンのベッドタウンとなっている地域にあるWoad Farmに、ここ最近の乳価闘争(Milk War)の話をききに来た。
駅の周りには新興住宅地が多いが、そこからさらに離れると、あたりは伝統的な牧場が広がっている。その中にウォードファームがあった。
この地域のNFU代表であるナイジェルさんは、4代前のご先祖さまがアイルランドから移住して農場を拓いたそうだ。
インタビューが始まって間もなく、スコーンとティーを出していただく!
ワオ!
まってましたクロテッドクリーム!
日本では望むべくもない、イギリスの美味しいクリーム。
ジャムと一緒にごってり塗っていただきます。美味しい、、、
「これ、おたくの牛乳なんですか?」
「いやみんなそうきくんだけどね、ゴメンうちの乳製品はぜんぶスーパーから買ってきたものだよ(笑)」
もちろん自分たちは農場のロウミルクを飲んだりするけれども、お客さんには色んなリスクがあるので、ということなのだろう。ちなみにここではB&B、いわゆるベッド&ブレックファストという、宿泊と朝ご飯だけを提供するサービスもやっている。
イギリスの酪農家を小規模、中規模、大規模と分けると、EUやイギリス自体の政策が大規模生産者に有利になっているので、小規模農家は大変ということでは、これまでのインタビュー相手と同じことを言っていた。
イギリスでも農家数の減少は深刻で、彼の言葉を借りると、
「酪農家の数が10年ごとに半分に減っている。いまは1万軒になっちゃったよ。そうそう、明日、君たち日本チームの試合がここであるけど(!)、ラグビースタジアムのキャパシティが3万人だから、それよりずっと少ないんだよ。ある程度まで行ったら減少幅は減るだろうけど、、、
うちも娘二人しかいないからね。誰かに貸して続けるかもしれないし、コミュニティ・ミルキングという共同化をするかもしれないけど、まだわからない。」
というようなことを言っていた。
「大規模農家を優遇する政策もあるけど、消費者はそういうのを嫌がるからね。大規模だとどうしても集約型酪農になって、牛舎で集中的に飼うことになる。イギリスの消費者はそういうのを好まないよね。だから、小規模農家も大事にする様にしないといけないと思う。」
この辺のことは北大で書く論文にまとめていきたいと思う。
農場のサイレージをみせてもらう。
やっぱり香りはとてもよいが、小林先生によれば「ちょっとバンカーサイレージの規模が大きすぎて、異常発酵やカビが出てますね」とのこと。でも、中央部の香りはやはりとてもかぐわしい。ちょっと甘めのスグキ漬けの香りという感じである。
あと、ここの混合餌のなかには、小麦の粒が一杯はいっている。
柔らかいので食べてみたが、実に何というかマイルドな酸味に小麦の風味で、イケる(笑)。
牛舎や搾乳施設、バルククーラーなどの設備も20年以上前のもので、古め。ごく一般的な農家という感じで、こういう人がNFUの代表的立場ということには好感もてます。
この子達の顔を見てぴんとくる人いますか?
実はこの子達は、乳用のホルスタインと肉用のヘレフォードのF1。つまり肉牛用の子牛として売られていく子達。日本では黒毛の種をつけますが、こちらはヘレフォードやショートホーンなどいろんな選択肢がある。
この子は、後を継ぐホルスタイン純血のメス牛。運命が分かれますね。
ブラックベリーが色づき始める季節。放牧地の様子も素晴らしい!
草の状態もとてもよい!
ペレニアルグラス中心の植生だそうだ。
最初はぼくら侵入者から逃げていた牛たちが、、、
どんどん寄ってくる!
あっという間に360度囲まれました、、、
牛がいる風景は最高だね。
さて、肉牛好きのみなさん、下の写真の中心にいる牛、わかりますか?
ジャーン! ヘレフォードのオス牛です!
人工授精で種が付かなかったうしに、彼は補完的に種をつけているのだそうです。
きっちり仕事をしておられます。
ちなみに、ナイジェルさん家の居間に飾られているこの絵。
豚のバークシャー種の品評会で一等賞を得たときの商品だそう。この写真、バークシャーの雄豚のイラストなのだ。
その年号をみると!
1893年、、、ナイジェルさんのご先祖様がとったチャンピオン称号である。歴史を感じるな、、、
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