高知県で来週開催の土佐あかうしサミットに向けて、OGINOシェフにモモの見事な火入れ技法とバラ肉の創作料理を披露していただく!

2015年10月15日 from 食材,首都圏

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来週月曜日、高知で土佐あかうしの生産者やシェフを集めてのサミットを開催する。なんでわざわざ高知でかというと、土佐あかうしにはいまちょっとした問題が出てきているからだ。その問題とは、、、

サシが入りすぎた土佐あかうしが増えてきているということである。

え?

サシが入ると格付けも価格も上がるからいいじゃないか、と受け止める人が多いだろうが、それはどうだろうかというところ。土佐あかうしは5年前まで見捨てられたような存在で、価格が低迷し頭数がドンドン減っていた。そこで、美味しい赤身肉としてのブランド確立を目して全国の料理人に向けPRを行い、その美味しさを識った人たちからの強力な引き合いがあってどんどん人気が上昇。いま、高知県内の黒毛和牛よりも、あかうしの方が人気が出てきているという状況にまでなった。

すべては「ほどよいサシが入り、赤身肉の味もよい」というバランスのよさが受け入れられた結果だった。

しかし!

数年前、高知県が誇る畜産試験場で「桜栄(さくらさかえ)」というスーパー種牛が誕生する。こいつは、もう少し前なら熱狂的な拍手をもって迎えられたに違いない、サシがはいりまくる性質を有している。この桜栄がの成績が発表されたとき、育種担当だったM氏は、おもわず

「あっちゃー、、、そんな成績出ちゃった?」

と複雑なことばを漏らしたという(笑) そりゃそうだ、サシと増体を追求していた流れから、土佐あかうしの魅力は赤身肉の美味しさだという流れに変わったところで生まれてきたサシ系の種牛だったからだ。

もちろん、桜栄の誕生だけではなく、肥育農家さんの意欲が増したり、技術が向上したりといういい意味合いの結果でもある。

しかし、肝心のマーケットから「こんなにサシは入らない」「これじゃ黒毛と変わらないよ」「あかうしのよさが見えない」という声があがっている。少なくとも僕の識るシェフの多くはそうだ。土佐あかうしの味に惚れ込んでステーキ専業の店を開店したあるシェフなど、「もう他を探さねば」ということをいい、昨年開催した赤肉サミットで食べた十勝若牛の味に感動して、「これからはこちらも扱います」と言って実際に仕入れている。

皮肉なことに、高級牛肉の証(あかし)である霜降り度合いが高くなったことで、土佐あかうしとしての魅力が薄くなっているということなのだ。

そこで、その現状を農家さんや関係者さんに識ってもらい、今後のあかうしの牛作りをいまいちど見直していこうというのが今回の主旨なのである。もちろん、格付けが高いほうが生産者の手取額も高くなるわけだから、一方的に「もっと格付けを低くしなよ」ということはできない。けれども、このまま産地としての評価が落ちていくのはもっとマズい。引き合いがあっての土佐あかうし生産なのだから。

そういう複雑な問題にこれから挑みます。ということで、サシがバリバリはいった肉と、ほどほどのサシの土佐あかうし、黒毛和牛、短角和牛の4種を食べ比べます。肉を焼くのは「やっぱり肉は赤身でしょ!」の荻野シェフ。

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この日は料理人さんにむけて動画で肉の火入れを解説するため、動画の撮影。フライパンとオーブンというオーソドックスな設備で、バッチリな火入れを披露してくれた!

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もちろん撮影者の役得、美味しくいただきました。

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今回のモモ二部位に関してはとてもいい状態で、美味しかった。けれども、もうひとつ創作料理をお願いしてあったのだが、それに使うバラ肉がもうすさまじいサシだったのだ。

「これはもう煮ても焼いてもダメです」

と途方に暮れながらも、オリジナルメニューを造ってくれました。

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こちらは「料理通信」でレシピ公開される予定で、OGINOのショップでも購入できるようになる予定なので、お楽しみに。

ということで準備だ。 あ、ちなみにもうサミットへの参加申し込みは締め切ってます。もう入れませんので、今回は県内とその周辺の人達中心でやります!