2015年5月20日 from 日本の畜産を考える
2007年から、岩手県二戸市で短角牛のオーナーになっている。とはいっても、家畜としての牛は農家認定がないと実質的には飼えない(共済等のからみ)ので、僕はお金を出して農家さんに育ててもらうという形。同じようなことはそうそうはできないので貴重な取り組みをさせてもらっている。
初代の母牛「ひつじぐも」は乳房がすべて乳房炎でふさがってしまったのでおととし、お肉にしていただいた(素晴らしかった!)。そしてその二女である「いなほ」を後継の母牛としている。ひつじぐもの良い点を受け継いでいて、大きな子を産んでくれている。ここ3回、連続して女の子を出産してくれていて、今年生まれた子をどうしよう、肉にすべきか後継牛にすべきか真剣に悩んでいる。
さて、いなほは母牛なので、年中飼うことになる。今の時期から秋までは牧野に放され、放牧で子牛を育てながら、同時に放される種オス牛と恋愛をして(笑)、次なる子を宿す。草が枯れて雪が降ると、餌がなくなるので里におろし、牛舎で飼う。いま、二戸で新しく畜産農家になった槻木さんのところで預かってもらっている。
その、昨年10月からの請求がきた。一日600円の世話代で計算している。以前は400円台だったのだが、ここしばらく全世界的に穀物が高騰しており、なおかつ円安ということもあっての値上げだ。
このように生産している人達はかなりのコストアップなのだが、出口である肉の販売価格は、これほどの牛肉・ステーキブームにもかかわらずそれほど上がっているわけではない。だから、いま肉牛の繁殖・肥育の双方の農家が辞めようとしている。
消費者が牛肉をご馳走であると再認識して、もう少しまともな価格で買ってくれればこんなことにはならないのだが。腹が立つのは、輸入の割安なUSビーフを法外な値段で出す店が多いことだ。ある意味、便乗商法っぽいところがある。
日本の伝統的な品種の牛肉が今後どうなっていくのか、静かに岐路にたっている。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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