九州でビシッと引き締まったいい醤油を造る若者居たり!糸島のミツル醤油醸造元 城くんの奮闘と「生成り2012年」ヴィンテージの旨さに唸る!

2015年3月23日 from 出張,食材

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Nikon D800 50mmf1.4 f1.4 1/250

先月、スーパーマーケットトレードショーでドライエイジングについての講演をしたのだけれども、その時嬉しい出会いがあった。講演が終わって各ブースをひやかし、そろそろ帰ろうかと思っていたとき、出口付近で呼び止められたのだ。

「やまけんさんですよね!?よかったぁ~、今日はお会いできないかとあきらめてたんですよ!」

福岡県の糸島で醤油醸造業を継いだ、城慶典くんという若者がいるということは、「富士酢」の飯尾醸造・飯尾くんからきいていた。

「すんごく真面目で、しかもいい醤油を造るんですよ!いつか行ってみて下さい!」

と言われていたのだ。

じつは九州でいい醤油に出会うのは意外に難しくて、スーパー店頭にはアミノ酸やカラメル色素、サッカリンやステビアがぶち込まれまくった混合醤油がメインで並んでいる。

それを言うとだいたい「この辺じゃ昔からそうだから」と地元の人たちは言うのだけれども、いったいそれはどのくらい昔から?昔はそんなのなかったんだから、戦中・戦後でしょ?と言いたくなる。東京で醸造を学んだ人たちが九州に帰り、なんとかキリッとした本醸造醤油を造ろうとしても、店頭でなかなか売れない。しかたなく、混合醤油を造るというケースが非常に多い。ちなみにこれは伝聞ではなくて、僕自身が九州の醤油メーカーの複数の関係者から直接聞いている話ですからね。

そんな中、蔵としては混合醸造の商品も造りつつも、ただしき本醸造をしようと試行錯誤しているのが、ミツル醤油の城君なのである。

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事務所の裏手にある蔵では、昔から残されていた木桶とか買い足したのが並んでいる。まだ彼が帰ってきてから3年目?なので、仕込んでいるのはごく少量だ。しかも各年のものが少量ずつ、ねかされている。

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仕込んで1年目の桶、2年目の桶、3年目の桶と、だんだんにもろみの色や状態が変わっていく。

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醤油で醤油を仕込む、いわゆる再仕込み醤油にもチャレンジしている。

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このように、さまざまな醸造年度のものが混在しているので、彼の醤油はビンテージが明記されている。

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「生成り(きなり)」というネーミングで、2010年とか2011年とか、2012年とか。これは面白いよね。というのは、通常の醤油は味が銘柄によって安定していて、その目標となる味に向けて濃度などを調整する。しかしミツル醤油の「生成り」は、年度によって熟成度合いもあるけれども、それ以上にぜんぜん味が違う(笑)

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年度ごとに味見をしてみたのだけれども、もうぜんぜん個性が違っているのだ。

「あ、実は原料や麹も変えたりしているので、、、一年に一回しか作れませんので、実験できる機会があまりないのが玉に瑕なんです。まだそういう意味では試行錯誤中でして、、、」

というのだが、これはこれで面白い。ワインに当たり年があるように、醤油もビンテージによって味が違うというのも楽しいではないか!

また、ここは醤油をベースにした調味料がまた美味しい!

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写真にある「橙(だいだい)ポン酢」と「いりこだしつゆ」は出色のできばえ。もちろんアミノ酸はおろか、酵母エキスも使いません。それなのに旨み十分、清々しい風味。特にいりこだしつゆは四国・九州地域の人たちが大好きないりこ風味が効いていて素晴らしい。はじめて九州のだし醤油で旨いと思うものが出たという感じだ。

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このもろみ商品も旨いので、後日書きたい。

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あまりにイイので、商品MDに関わっている熊本のホールスクエアにて、このミツル醤油の商品を販売することにした。できれば九州に点在するよい調味料類を結び合わせて、オリジナル商品も造っていきたいな、と思っている。城君、ぜひ協力して下さい。

いやー ホントに旨かった! お邪魔しました!

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Nikon D800 24-70mmf2.8 35mm f2.8 1/250 –0.7