2014年8月19日 from 首都圏
■オリンパスE-M1 12-40mmf2.8
いやー 素晴らしい夜でした。レストランとはドラマチックなことが起こる劇場なんだね。
銀座レカンの高良シェフには、高知県に来てわが土佐あかうしである強力・優男の肉を焼いてもらったり、その後は岩手など東北の食材にスポットをあててもらう会をしてくださったりと、その男っぷりにやられ続けてきたわけです。
■4人のシェフが高知で土佐あかうしを料理した、、、家畜市場のセリ見学の後、シェフ達は高知食材とこうやって向き合ったのだ! 完結編
http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2012/02/4_13.html
で、うちの会社と仕事をしていただいたことのある人はご存じの通り、長年僕の右腕というか、この人がいないとまわらない!という存在だった奈良井女子が、イタリアンの佐藤護シェフとご結婚。シェフが初のオーナーとして立ち上げたトラットリア・ビコローレ横浜の運営に専念するために今年度初めに辞められたわけです。
で、その際に「最後、どこか行きたい店でお疲れ様会やりましょう、どこでもいいよ」と言っておいたのがまだ履行されていなかった。んで、奈良井さんから「ぜひレカンでお願いします!」ということになったわけです。
高良シェフも奈良井さんのことはよーく識っていただいているので、事前にお願いもしておいたところ、期待以上の感動をいただいたのでした!
■アミューズブーシェ パプリカのムース、函館産のムラサキウニ、オマールのムースの三層仕立て
■もうひとつのサプライズアミューズ キャビアと毛ガニのサラダ仕立て ブリニ添え
これ、まずこのレカンマーク入りの缶であることに感動してしまうわけですよ(笑)。
キャビアの強い塩の利きとやわらかなカニの風味、ブリニのほんわかさが実に隙なくまとまるのです。
■芥子のみをまとったクロアワビのフリット 桃のクーリと共に
時間をかけて柔らかく火入れしたクロアワビに芥子の実が表面に出るように薄膜をかけてフリットした一品。アワビは柔らかすぎず心地よい弾力を残しており、芥子の実のこうばしさとプチンとした触感、これに爽やかな桃のクーリと緑色のルッコラ・セルバチコのソースで立体的な味わいになる! 実に美味しい。
■黒トリュフと茸のタルティーヌ
南半球にあるオーストラリアはいまが冬、そこで穫れたトリュフの香りが実に蠱惑的だ。セープのソテーとタルト皮を一緒に口に入れたときの幸福感が!トリュフにあまり惹かれないうちの嫁さんも「美味しい!」と言っていたのだからネ。
合わせるワインはなんとグルジア!なんともこっくりした野趣ある強い香りが、土ものであるトリュフによく合います。
■長崎県産キジハタのブレゼ デュグレレ風
ぼくが一番好きな魚であるキジハタ! この高級魚の火入れがまた実に素晴らしかった!肉のごとき深い満足感を与えてくれる触感、絶妙な弾力でほぐれる繊維感。そしてデュグレレ風ソースの酸味、香草の香り、そして最後にこれでもかとのってくる早まつたけの風味。文句なしです。
■小鳩のヴェッシー包み マールドブルゴーニュの香り
さて高良シェフのスペシャリテ、クラシック中のクラシックです。
ヴェッシーとは豚の膀胱、これに食材を入れて蒸し焼きにするという、化学繊維がまだできていなかった時代に水分や香気を逃さずに火入れする革命的料理!
中身がみえず、料理人がよくやるように指先で肉を押し、火入れの加減をみるということもできない。しかも調理対象はちょっとのことで火がズガッと通ってしまいリスクの高い小鳩!
ヴェッシーを割った後、速攻のはやさででデクパージュされてきたのがまた素晴らしい。
火入れバツグン!さすがは高良シェフチームです。ぱさつきなし、かといって生っぽさもなし。ヴェッシーならではのジューシーな肉の仕上がり。胸肉の血の風味濃く、マールを煮詰めた濃厚なソースを得ることで、素晴らしい風味が燃え立ちます。
いやーここまでで余裕で2時間くらいかかってるんだけど、ここは劇場、まだまだ道半ば!(笑)
チーズを思い思いに堪能し、、、
メートルドテル様によるクレープシュゼットの儀を堪能!
本番のデセールワゴン。
そして、奈良井さんへのサプライズ、っていうか俺たちも識らされていなかったスペシャルサービス!
奈良井さん&佐藤シェフご結婚おめでとうケーキ!
もうみな、高良シェフにめろめろであります!
「いやー なんか業界の友人がビコローレに行ってる写真をfacebookに載せるわけですよ。そしたら、アレッ?奈良井さんなんでここにこんなに映り込んでるの?ってね。(笑)」
高良さん、ぜひビコローレにも寄って下さいませ。きっとこの二人が心からおもてなしすると思います。
食後のコーヒー、なのにすごい宝箱が登場!
やばい、ヤバイです。この箱にいったい幾らかかっているのか、想像してしまった!最上段はLEDでゼリーを透過光にしているわけですからね!
この一つ一つのお菓子が、レカンのアトリエで作られているわけだ。
最近、若い女性編集者と話をすると、20代の女性をレストランに誘ってくれるのは40代以上のオヤジばかりなのだそうだ。同年代はお金がないのでレストランには行かず、居酒屋か家のみになる、と、、、うん、昔なら俺もそうだったな。
しかしやはりレストランにはレストランでしか味わえない味とサービスがある。コストパフォーマンスという言葉を単に「安さ」としてしか捉えていない人が多いと思うが、そこをはき違えてはいけない。
お店によって提供される世界観すべてがどのように成り立っているのかを想像した時に、表からみえはしないが、確実にかかっているであろう膨大なコストがある。それを清々と支払ながら世界観を維持し続けている店に、ふさわしい対価があるのである。
年に数度はレカンで食事ができるようになりたい。それがふさわしい人間になろうと決めた夜だったのでありました。レカンチームのみなさま、ありがとうございました。大変に満足した夜でした!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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