肉匠もりやすの経産黒毛和牛ドライエージングビーフの美味しいこと旨いこと! 黒毛のDABはやっぱり経産に限ると思う今日この頃。どう味わってみても未経産、去勢牛より経産牛の方が味わいが深く、香りもあると思うのだ。

2014年8月11日 from ドライエージングビーフ

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埼玉県で高級和牛肉を販売する「肉匠もりやす」さんは、日本ドライエージングビーフ普及協会の会員であり、熟成に関しては協会認定を受けた信頼できる企業だ。そのもりやすでは基本的に黒毛和牛を熟成しているのだけれども、若手スタッフの黒瀬君が経産牛のDABにもチャレンジしている。僕は以前から、普通の精肉でもDABでも、経産牛のほうが断然美味しいと思っているので、買うから送って欲しいと依頼しておいた。

届いた経産牛のドライエージングビーフがこれだ。

 

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個体識別番号をみたところ、長崎県五島市で生まれ、子牛を産んでもらうために飼われていたようだ。しかし、平成25年に売られてしまう。

5年間というのは、繁殖用メスとしてはとても短い。もしかすると成績が悪かったのだろうか。ともあれその後、鹿児島県の鹿屋市にて26年の5月まで肥育される。約7ヶ月の再肥育期間で、標準的だ。その結果、粗ザシではあるがA2後半からA3クラスのサシを有していると視認できる。と畜が5月8日だから、もりやすでの熟成期間は3ヶ月程度となるわけだ。

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二人で食べるので350g程度でいいよ、といっておいたのだけれども、すこしサービスしてくれた模様。

これまでいろいろなDABを焼いてきたけれども、黒毛を焼くのが一番ラクだ。というのは、サシが入っているので相対的に水分が少なく、火入れ加減がリニア(直線的)なのである。これが、赤身ばっかりの短角とかになると、ある時点から一気にブワッと火が入ったりするので、超デリケートなのである。

しかし今回の肉の場合、厚みもあるがサシもかなり入っているので焼きやすい。ごくごく弱火で表面を温めるところから始めて、2回ロング休みをいれつつ火を入れた。

結果、、、

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どうだい、ばっちりだぜ!

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肉焼きシェフをたくさん目の前でみていると、自分でも「ああこうすればいいのか」という文法が身についてくる。役得である。

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で、経産牛の黒毛だが、これがまた素晴らしい美味しさだった!

僕は黒毛和牛をあまり応援していない、というようにみえるだろうけれども、それは「美味しくない黒毛」のことであって、美味しい黒毛は大歓迎である。その美味しい黒毛と言えるのは、いまのところ経産牛の最肥育と、放牧黒毛と、そしてごく一部の特殊血統の黒毛くらいだなぁ。

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経産牛はなにが違うかというと、まずサシがくどくない。冒頭写真のごときサシの入り方だと、通常の25ヶ月程度しかそだてない去勢牛だと、ギンギンくどくて食えたもんじゃない。しかし経産牛の脂質は、なぜかそれほどくどくなく、スッと溶けて口に残らないのである。

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しかし「くどくない」というのは、どちらかといえばマイナス要因がないと言うだけで、それ自体はプラス要因ではない。経産牛には明らかなプラスの美味しさがある!それは味わいの深さと香りのよさである。この二つに関しては、どうしても経産牛のほうが美味しい。

もちろんあらゆる経産牛がというワケじゃない。だいたい、経産牛をおいしくしあげる肉屋さんは、その個体がウマイかどうかをきちんと見極めている。でも、経産のウマイやつは、未経産を上回るというのは、事実だと思う。もし「そんなことはないぞ若造!」という方がいらっしゃったらぜひ、美味しい未経産を食べさせてほしいものだと思う。

ということで、黒瀬君、やっぱ最高だわ。経産牛もっと仕入れて下さい!