撮影:シグマ DP2Quattro
京都の若手生産者集団ブレンドファームはここでも紹介したと思うが、学校給食の出荷生産農家として食い込み、子供達に対する食育を真剣に取り組んでいる。食育はいままで非常にソフトな、「校庭でジャガイモ植えましょう」とか「生産者さんの畑でふれあいを」的なものが多かったと思うが、僕はもっと過激な食育をすべきだと考えている。
というのも、テレビをつければ忌野清志郎のあの名曲に乗せて、家族団らんも夫婦水入らずの食事も、コンビニ惣菜でいいんです、恥ずかしくないんですよというCMばかりが流れている。国民的好感度女優が台所でトントントンとやりつつ粉末だしや濃縮だしを使ってるのが流れる。ほんの20年前までは基礎調味料を自分でブレンドしてすき焼きや鍋、炒め物を味付けしていた主婦が、いまでは最初から「すき焼きのタレ」「キムチ鍋のもと」などの複合調味料を、いったい何が入っているのかという疑問もなく使って家庭の味にしている。
つまりこの国では資本をもってプロダクトを売る側の情報ばかりが垂れ流しになり、それは表向きの教育よりも強烈な印象となって子供や若者の心に染み渡る。そうして日本の食べ物は、買って来たお惣菜になり、自分で味を創るということができない家庭ばかりになっていく。
中国鶏肉問題やシシャモ問題が騒がれているようだけれども、そんな表層的な話はどうでもいい。というより、僕が「日本の食は安すぎる」を書いて世に問うた2008年から、本質的にはなにも変わっていないのである。
この状況を変えるために生産者がなすべきことは食育、それも過激な食育だと考える。講演などでも繰り返し話すのだが、あまり伝わっていないようなのが実に悔しい。ではどんな食育が「過激」なのか、ということは申し訳ないが書けない。講演聴いたことがある人ならわかるだろうけど、言い過ぎといわれるはずなので自粛する。
そんなことを若手生産者むけの講演でぶつけたら、このブレンドファームの連中はものすごく真摯に受け止めてくれた。その場で盛り上がっただけではなく、京都での集まりで僕の投げかけたテーマをちゃんと受け止め、今後の努力目標の中に組み入れたという連絡があった。
この若手農業者たちの行方は、ずっと観ていきたい、というか、なにか一緒にやりたいなぁと思う。ということで今日は送られてきた白岩君のスイカとメロンを撮ることにした(笑)。こんなんでゴメンよ白岩君。
キューピッドメロン、赤ちゃんの頭のような可愛らしい、ころんとしたメロン。こうしたメロン類は市場では「雑メロン」などというくくりで扱われるが、どれも個性的な味わいがして好きだ。
で、割ってみた。いやこりゃ雑メロンじゃないね、実に立派に甘やかで豊かな香りのメロンです。美味しい!小さいがコクもある。肥培管理が上手なんだろう。このコクはどんな資材で出しているんだろう、興味ある。白岩君ありがとね!
シグマDP2Qで、外部ストロボを使用し、ブツ撮りの一番ベーシックなライティングである「天バン」で撮影した。こんな小さい画像だとよくわからないと思う。こういったシンプルな写真でDPシリーズの究極の解像感は伝わらないだろうなぁ、と思ったが、等倍画像を見ると、驚くほどにスイカの表面のテクスチャーがリアルだ。例によってシャープネスはかけずにJPG化しただけの元画像を下記に置いておく。
■スイカの元画像
露出モード: M-マニュアル露出
ISO感度: 100
ホワイトバランス: オート
カラーモード: スタンダード
シャッター速度: 1/100 秒
絞り値: F7.1
測光モード: 評価測光
フォーカスモード: AF-S-シングル
焦点距離: 30mm ( 35mm換算 : 45mm)
■メロンの元画像
露出モード: M-マニュアル露出
露出補正: 0.0
ISO感度: 100
ホワイトバランス: オート
カラーモード: スタンダード
フラッシュ: 非発光
シャッター速度: 1/100 秒
絞り値: F8.0
測光モード: 評価測光
フォーカスモード: AF-S-シングル
焦点距離: 30mm ( 35mm換算 : 45mm)
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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