2014年7月21日 from 出張
山口で仕事がはいったので、前泊で広島に泊まることにした。竹鶴酒造の杜氏であるタツヤンこと石川達也に、広島酒場巡りを指南してもらうためだ。でも、どうせいくならということでその前に一軒、寄るところができた。それが広島の老舗レストラン「アラメゾンオガワ」である。
僕はFacebookのリクエストは、なんらかの形でメッセージをくれる人には、気まぐれにだけど応えることにしている。ある日、このアラメゾンオガワの長峯さんからメッセージとリクエストが来た。
いつもブログ、興味深く読ませて頂いております。食品偽造の記事に関しては本当にその通りだと思います。 ブログを通じて折笠さんのじゃがいも、石黒さんのほろほろ、短角牛、土佐あかうし、放牧黒毛和牛とたくさんの食材を知ることが出来ました。ありがとうございます。
えっマジで!?
うちのブログで採り上げた食材をいろいろ仕入れてくれているらしい。しかもお店のWebをみたら、いまメインで使っている牛肉が土佐あかうしのようである。
これは行かないとな、、、と思っていたのだが、ちょうど僕の「広島で前泊」というのに反応してメッセージをくれたので、これ幸いと伺うことにしたのである。
お店に入ると、まず一番入り口側のテーブルの上に、こんな本棚が!
僕の主要著書ぜんぶ置いてるじゃないか!ありがたいことです。
右がメッセージをくれていた長峯さんで、左はシェフの貞広直美さん。実はこの店、およそ35年の歴史があるのだが、お二人は初代シェフの小川さんから店を引き継いだお弟子さんなのである。貞広さんが料理を担当し、長峯さんがパンなどを担当しているという関係だ。
「フレンチがベースですけれども、パスタも出しますし、気楽にたべていただくようなお店なんです」
と言うのだが、石川タツヤンにきいたところ「あそこはズーッと続いている、広島では本当の老舗的な存在」という。やはりそういう位置づけの店なのだ。
その長峯さんの焼くパンだが、これがまた素晴らしい。100%国産小麦(熊本、滋賀、北海道のもの)を使用し、牛乳は地理的にもそう遠くない木次乳業。酵母は地元のある人が採種した自家天然酵母を使っているという。
ちなみに訪問した時間は15時ちょうど、営業は終わっている時間だ。だからパンだけ焼けているのを買って、タツヤンとの集合場所に行こうかと考えていた。しかし、まだ1時間ある。ちょっとつまめるものがあれば、、、作ってくれる!?
「あっ ええ、もちろん大丈夫です!」
ということで急遽、すぐ作れる料理も出してもらうことに!
それにしてもこの店本当に気軽に使える価格帯です。ていうか安くないか!? だって土佐あか牛のステーキ2000円。ポーションを聴いたら「150g程度ですかね」だそうだ。それ、安いですよ!
ということで、すぐに出そうなものをいくつかチョイス!
■福山の大村さん栽培のトウモロコシのババロア
バイカラー(二色)コーンのババロア。甘いだけじゃなくしっかり味を愉しませてくれるフレッシュなババロアです。美味しい。
■地ダコのマリネ
おおーう、、、 なんとたっぷり盛り込まれた地物のタコと丁寧に湯むきされた大玉トマト、そしてバジル。これがまた美味しい! タコは生からしっかり揉み込まれているが、揉み加減が絶妙で、食感を殺しすぎてもいないし、固すぎもしない。クリョンクリョンと心地よい弾力を愉しめる。
大玉トマトもしっかりと味がある。味があるのは当たり前と思う人もいるかもしれないが、夏のトマトは早く育ち、水分を含みすぎるので、味がしっかりしないものも多い。この店は野菜に関してはとにかく吟味して、農家さんから直にとっているものが多いようだ。
■自家製マヨネーズのポテトサラダ
メニューにポテトサラダがあれば、僕は必ず頼むことにしている。だって、老舗レストランのポテサラだよ!? 自家製マヨネーズだよ!? と直感した通り、素晴らしいのが出てきた!
ええ、美味しいです。絶妙なマヨ加減、紫タマネギの刺激と絶妙にポテトが合います。これで550円て、東京なら居酒屋値段プラスαですよ!
■霧島豚の自家製ベーコンのソテー
実は、30分くらいでさっと食べないといけなかったので、早くできるものは何だ~と思って観た中で、ベーコンならもうすでにできてるものだしナということで頼んだのだが、、、 これが大正解!
塩漬けした豚を温燻で仕上げるベーコンをソテーするわけだが、このベーコンが分厚くて、しかも驚く程にホクホクと柔らかく、まるでコンフィしたかのように繊維がほぐれるのだ。僕もベーコンは何度も仕込んだけれども、こんなほぐれかたにはならんけどなぁ、、、
この写真をみればその意味もおわかりだろう。
このベーコン、猛烈に美味しい!
「あ、でもこのナスが一押しなんです! 岡山の小林さんという生産者さんの丸ナスなんですけど、あんまり美味しいので、、、」
とシェフが言うだけあってこのナスがトロトロさっくり、肉のように満足感のある美味しさなのである!
そして、これがまた実にサイコーに美味しいパン!
手前の一切れがオレンジピールの入ったもので、奥がプレーンタイプ。このパンだけでものすごーく薫り高く、美味しい! 実はパンは買わせてもらって持ち帰ったのだが、うちの嫁が「何コレ!?美味しい!」と絶賛。
いやー ブラボーな店だね! 時間のないなか、すっかり堪能させてもらいました。
広島の飲食シーン、限られた店しか知らなかったけれども、また一つ良心的なお店と出会うことができた。次回は夜、ゆっくりと楽しみにいきたいと思う。
長峯さん、貞広さん、どうもありがとう!またお会いしましょう。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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