2014年5月 8日 from 首都圏
5月末までの毎週金曜日は、日本大学生物資源学部で非常勤講師として朝から夕まで授業だ。
フードコーディネート実習という授業で7回だけ僕が授業をしている。超ハードなスケジュールで、90分×2=180分の授業(あいだに休み時間10分)が1コマで、これを午前の部、午後の部とやる。激務である(笑)
朝9時から授業なので8時には学校に入りたい、とすると僕が今住んでる東五反田からだと、朝6時40分頃に家を出て品川駅までトコトコ歩き、東海道線で藤沢駅乗り換えの小田急線で六会日大前というルートになる。
授業をとっているのは70人×午前・午後なので140人程度。この授業はフードコーディネーター資格をとりたい人向けのものなので、実習室で行っている。180分話すだけでも疲れるのに、それが午前と午後の2本も続く。教員てすごいなあ、と思って他の先生にその話をしたところ、
「そんな授業、すごく特殊だよ。ふつう僕たちは一日に多くて90分の授業2本くらいだよ」
といわれた(笑) そう、この授業は特別なのだ。でも、とてもやりがいがある。この授業を立ち上げた先生方の志がとても高いのだ。
ちなみにどんな授業をしているのかというと、僕の回のシラバスはこんな感じだ。
1. 「たべものの味の方程式」
野菜や果物、畜肉や卵・牛乳といった第一次産品については、とかく素材として全て同じモノと割り切ってしまいがちだが、同じ味が一つとしてないものだ。その味わいがどのように構成されているのかを考え、全国の在来野菜や郷土食材などが持つ意味を確認する。
2. 「たべものはどうやって生産・流通されているのか」
たべものは消費者の手に渡るまでにさまざまな段階を経ている。それがフードチェーンと呼ばれるつながりだ。農産物、加工食品、飲食サービスなどに関わるフードチェーンのそれぞれにどんな役割を持った人がいて、私たちの手にたべものが運ばれてくるのかを理解する。
3. 「食品・飲食サービスの”価格”を考える」
「安ければ安いほどいい」と思いがちな食品や外食での価格だが、食品や飲食サービスの適正価格はいくらなのかを考える。身の回りのスーパーや飲食店の価格を調査し、それによって事業者はどの程度のリターンを受けているのかを推測する。
4. 「食の倫理を考える」
欧米では倫理的消費(Ethical Consumption)と呼ばれる消費形態が広がりをみせている。日本でも三つのキーワード「環境」「健康」「倫理」が重要な意味を持ちつつある。日本でも倫理的消費を広げる道がないか、イギリスの雑誌Ethical Consummer誌を題材に議論をしていく。
5. 「食品・飲食サービスを企画する」
これまで学んだ内容を元に、実際に食品の製造企画または飲食サービスの企画をグループワーク(GW)で制作する。企画書は事業計画として銀行にプレゼンすることを念頭に、コストや売上、利益計画まで算出する。
6. 「美味しい料理写真の撮影」
食品や外食のビジネスではプレゼンをする必要がある。その際に大事なのが食品を「美味しそうにみせる」技術である。ケータイのカメラが普及しネットメディアを個人が使える現在、最低限の写真撮影技法を身につけておく必要がある。この講義の技術を用いてGWプレゼン資料を作成すること。
7. 「GWの発表と料理写真の撮影 講評」
GWプラン自体の講評に加え、撮影されたビジュアル等についての講評も行う。
とこんな感じだ! これに加えて、可能な限り各回で「食品の食べ比べ」を実施している。第一回目はたまごの食べ比べをし、先週はお酢とお醤油のテイスティングを行った。
きょうびの学生はいいかげんだろう、と思う人もいるだろうが、どうしてどうして僕から観るとかなりいい感性を持っているし、食べ物に対する興味も強い子達が集まっていると思う。
お酢と醤油、一般的に普及している商品と、高品質な造り方をしている商品を比べるのだが、なかなか学生の反応がおもしろい。例えば、香りや匂いに対する感覚が僕らとちょっと違っていて、僕らが「むわっとする匂い」と感じるものを「香ばしい、ハーブみたいな匂い」と肯定的に感じていたりする。摂取する食品や環境が変わってきているからだろうが、新鮮だ。
ちなみに明日の講義では地鶏肉とブロイラー肉を食べ比べる。どんな反応を見せてくれるのだろうか、楽しみダ。
さて、何もない限り、帰宅するには行きと同じルートをたどる。このとき、藤沢駅でどうしても腹が減ってしまったので、なにか腹に入れることに。けど、構えた飲食店に入る気はあまりしない。そこでひさかたぶりにJR藤沢駅構内にあるカレーステーションへ。
僕が嫌いな会社の一つであるNRE(日本レストランエンタプライズ)の傘下にある店だが、藤沢駅のカレーステーションはけっこう昔からあって、出てくるカレーも実になんというか素朴感あふれるもの。けど、よくある業務用ルーそのまんま味というより、もっと抜けた感じの味で気に入っている。しかもコロッケカレーを頼むと、ポテトコロッケとクリームコロッケの二つが乗ってくるのだ。というのをひっさしぶりに味わった。
そして階段を下りて、嬉しくなっちゃった!
まだあったのね、大船軒!
とはいえ、ここもNREの資本がはいっちゃってるのだが、、、
なんでNREが嫌いかと言えば、JR東日本の駅構内に出店されていた独立系の立ち食いそば・うどん店をほぼ一掃し、系列のチェーン店にしちまいやがったからである。駅ナカが儲かるからやってるんだろうけど、それが多様性を持ち、美味しいといえるものであるならいい。しかし、NREが開発したそばうどん業態はことごとくマズイ! 麺もつゆもてんぷら類の油も、ぜーんぶ不味い。 ちなみに弁当類はもっとひどい。NRE弁当は一切食いたくない。
そんな中、もともとある店舗を吸収した系で、その暖簾が残っている店舗はまだそれなりといえるものがある。大船軒もその一つだ。
たまねぎ天ぷらそばにかき揚げと温玉プラス。みてくださいよこの濃そうなつゆ!関西風におもねっていないのが素晴らしい。
そば麺は昔からボソッとしてて旨くはない。が、それでいいのである。立ち食いそばは蕎麦にあらず。立ち食いそばという単独のジャンルなのだから。立ち食いそばの世界ではてんぷらは魅力的な調味料。これを溶かしつつ、たまごを絡めて食べるように出来ているのであります。
いやなんとも懐かしい美味しさ、いや適度なまずさである(笑)
明日の昼は、いつのまにか六会駅前にできていたペルー料理屋で食べる予定です。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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