2014年1月15日 from 食材
ある誌面に書いたので、投稿。 冬のトマトが美味しいシーズンになってきている。トマトは夏の作物だと思われがちだけれども、それは「ハウスで加温もせずにバンバンできる季節だから」というだけの話であって、いわば「量的な旬」といえる。
けれども、梅雨の水をたっぷりと吸って、長い時間強い日照を浴び、暑さにさらされる中、果実は味わいを貯めるまもなく肥大してしまう。水気たっぷり、あっさりした味わいのトマトが夏のトマトの味なのだ。ま、それは夏の人の身体が求める味わいだからそれでいいのだけれども。
対して、冬のトマトは日照時間が短くなり、乾燥気味になり、気温も低くなるため、じっくりじっくりと育つようになる。そうすると、糖度もアミノ酸も蓄積されていくので、味の濃いトマトに生ってくれる。その代わり、夏と比べると小玉傾向で皮もすこし固め、締まった果肉のトマトになる。また、ハウス内で加温するので、環境負荷はたかくなる。
ま、いってみれば冬のトマトは「味の旬」であり、贅沢品なのだ。
この写真をみると、線がぎゅぎゅぎゅと走っている。夏場のトマトはこんなふうには滅多にならない。ちなみにこれは長崎有機農業研究会、略して長有研という生産者団体の農家さんのハウス内で撮影した。
この時期は長崎や熊本など西の産地のフルーツトマトが多くなる。暖かくなってくるとだんだんと東へ移動し、夏場は北海道の上の方に移動していく。さて、今年のトマトの作柄はどうでしょう?
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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