2013年9月16日 from カメラ
先日、都内某所で新しく発表されたE-M1を触る機会に恵まれた。しかも同時発売になる標準ズーム14-40mmを装着して触り、なおかつマイクロではないフォーサーズ時代のレンズも装着してしばし刻を過ごした。ゆえあってその模様を撮影できなかったので、テキストのみのレビューとなるけれども文中の写真は全てOLYMPUSのWebより)、ご容赦。
OM-Dの現行機種であるE-M5を所有している僕だけれども、このE-M1はまったく別次元の完成度のカメラだと感動してしまった。E-M5を使っていて素晴らしいと思いつつ、「ここがこうなればなぁ」と思っていた部分が多々あった。それが解消されるのはもうちょっと先だろうと思っていた。しかし、こんなにも早くその改善がなされ、予想以上の出来になってくれるとは想像していなかった!
まず、EVFの見え方がスゴイ。OLYMPUSのOMやPENシリーズはミラーレスなので、光学ファインダが搭載されていない。PENの場合は外付けのVFシリーズというファインダーを着けることができるが、僕はこのオプションとして着けるファインダーが気に入らない。その点、E-M5に搭載されているEVFは組み込み式であり、自然に眼をそこに押しつけることでカメラの安定性がまし、撮影に集中できた。見え方もそう悪いものではなかった。
しかし!今回のE-M5に搭載されているEVFはスゴイ!しばらく前にPEN EPー5とともに発売された外付けファインダーVF-4と同等品であるらしいが、ピントの山が見えまくりなのである。E-M5ではさすがにストリートスナップ時にマニュアルで合わせようという気にはならなかったが、これならできる!
しかも、この時は試さなかったがフォーカスピーキング機能が搭載されている。フォーカスピーキングとは、ピントが合掌している位置が強調されて見える機能で、これがあればどうやってもピントがどこに来ているかわかる。リコーのGXRには搭載されていたので、これでマニュアルフォーカスで合わせることができていた。それがOLYMPUS機でもこれから実現するのだ。素晴らしい、、、
さてE-M5を長時間使ったことがある人ならわかると思うが、E-M5の背面ボタンはかなり操作しにくい。それは小型のボディに色んなボタンを乗せ、しかも防水防滴ボディにするためのシーリングをしているせいか、ぐにょぐにょした押下感になってしまっているのだ。押せているのかどうなんだかわからないような感触。
それがE-M1では、ボタンのサイズこそ変わらないものの、押下感が通常の一眼レフ機とそう変わらない、サクサクしたいい感触に! それを近くのOLYMPUSの中の人に言ったら、パッと顔を輝かせて「そうなんですよ!わかっていただけましたか!すっごく苦労したんですけど、、、」と言っておられた。ユーザーの声は伝わっていたんだな、とちょっと感動。
■14-40mmf2.8は神レンズかもしれない!
そして、今回のもうひとつの目玉であるM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROというレンズ。こいつぁ スゴイの一言です。35mm版換算で24-80mmという使いやすい焦点域に、f2.8通し。昔からOLYMPUSは、よくある24-70mmというズーム域にこだわらないメーカーだった。僕がE-3を使っていたときに使用していたのも12-60mm(35mm版で24-120mm!)というレンズだったが、広角から中望遠まで使えて、相当に重宝したものだ。
今回は24mmから80mmと控えめに見えるが、70mmだとちょっと足りない、もう少し長いのが欲しいという場面は多いので、これはありがたい。しかもですね、このレンズの目玉は「すごーく寄れる!」ということなのです。公称でなんと20cmまで寄れる!
望遠端にしてマニュアルでずんずんと、撮影用に並べられた小さなチョコレートを写そうと寄っていったのだけども、、、え?どこまで寄れるの!?と驚いてしまった。大概の場合、メーカーは最短撮影距離を少し多めにとって表示するらしい。うん、おそらくこのレンズもそうだ。20cmより明らかに寄れている。そして、簡易マクロと言ってよいくらいの描写! そのチョコレートに着いていた糸ホコリがよく見える見える。
僕は正式発表前に「きっとこのレンズにも簡易マクロ機能が着くだろう」と予想を書いたけれども、スイッチが必要な「簡易マクロ機能」ではなく、普通にマクロ的に寄れてしまうと言う超絶な仕様になっていたのだ。本当にビックリした。
ちなみに僕が取材に行く時のレンズの最低限の構成は、標準ズーム(24-70mm)にマクロ(90mm)の二本だ。しかし、このレンズであればマクロは要らないかもしれない!?
実際、いまE-M5を携行する際に使用しているZD35mmf3.5マクロは、35mm換算で70mmf3.5である。ということは、今回のレンズで置き換えられてしまうということなのだ。いや、もちろん描写を観てみなければわからないけどね。
ちなみに、中の人によればこの14-40mmは「HGレンズとSHGレンズの中間のグレードです」とのこと。HGはハイグレードで竹、SHGはスーパーハイグレードで松と呼ばれている、レンズのグレードだ。SHGはF2.0とかの凄すぎるグレードになるので、HGで十分なんだけど、その中間nというのだから、おそらく35mmマクロよりはいい絵が撮れるのだろう。はやく撮って比べてみたい。
ちなみにこのレンズ、たったの382gである。キヤノンとニコンの24-70mmf2.8は約800gに約900g。劇的な差なのである。もちろんフルサイズのカメラとレンズで条件はまったく違うし、出てくる絵も違うのだけれども、それをわかって使用するならこれは本当にすごいスペックだ。
OLYMPUSの一眼レフ規格であるフォーサーズ時代のレンズをZDレンズといい、ミラーレス機になってからのマイクロフォーサーズのレンズをMZDレンズという。
OLYMPUSの昔からのファンは当然、ZDレンズを使っていたわけで、いまでも手放さずにいる人が多い。かくいう僕も、50-200mm、50mmマクロ、35mmマクロ、25mmを手元に残している。それは代替が効かないほどの銘レンズであったり、いまだに同じ焦点距離のレンズがMZDで出ていないから、だったりする。
マイクロフォーサーズ機にZDレンズを装着する際にはマウントアダプターを介して使用することができるのだけれども、一眼レフ機が採用する位相差AFという機能を使うことはできず、コントラストAFという機能を用いることになる。ZDレンズの多くは位相差AFを前提に設計されており、コントラストAFではジーコ、ジーコといったりきたりでなかなかピントを合わせてくれなかった。これならMFで合わせる方が楽だということになるのだが、先にも書いたとおりEVFで合わせるのは結構疲れるものでもあった。それでZDレンズ保有者は焦れていたのである。
しかし今回のE-M1では、撮像センサーでAFを合わせてしまう像面位相差という方式を取り入れることができた。これで、ZDレンズを着けたら像面位相差、MZDレンズを着けたらコントラストAFという切り替えを自動的にし、どちらも早いAFが可能になった。
MZDレンズを装着しても像面位相差AFになると誤解している人もいるようだが、説明を聞いた限りではMZDレンズではコントラストAFで駆動するのが現状のようだ。どうせならMZDも像面位相差にすればいいのにと思ったのだが、おそらく現段階ではMZDではコントラストAFの方が早く駆動するのだろう。
会場で50-200mmを着けて合わせてみたが、愛用していたE-3と同程度の速度が出ていると実感した。これならまったく問題なく使えるじゃんか。牧野で歩く牛も撮れるはずだ!まあ、なんといっても野生動物の撮影で世界的権威である岩合さんが作例を寄せているくらいだから、大丈夫だろう。
画像持ち帰りができなかったので確認できなかったんだが、ちょっとスゴイ機能が搭載されているのだ。その一つが、絞りすぎたときに画像がもやっとしてしまう回折現象を抑える機能。これが、RAW撮影でも反映されるのかどうかが非常にわかりづらいんだけど、画期的だと思う。
あと、Wifi経由でスマホを使ってライブビューシャッターを切ったりできる機能。PENでは一つの撮影モード(オート)に限定されていたが、マニュアル・絞り優先・シャッタースピード優先など全ての撮影モードに対応してくれた。これはブツ撮りの際にかなり役に立つだろう。
ということですげー楽しみだ。某雑誌でいつもどおり(笑)、本機のレビューをすることになった。掲載は10月中になるが、楽しみにしていてほしい。
なお、本稿に使用した画像はすべてOLYMPUSの公式Webから使わせていただいています。はやく自分の撮った写真で紹介できるようにせっつきますね。
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