2013年5月30日 from トルコ Republic of Turkey
さて話はさかのぼるが、汐留ロイヤルパークタワーにて絶賛開催中のトルコ料理フェアのために来日したIsmail Ay(イスマイル・アイ)シェフとNecat Çuhadar(ネジャット・チュハダー)シェフをもてなすために、広尾の和食「山藤」に連れて行くことにした。
日本の優れた野菜に川魚、畜産物を食べさせようと思ったらここだ。技巧を前面に出すよりもシンプルさとストレートさを前面に押し出しているから、ここでスタートを切れば日本の素材のもちあじを理解してくれると思うからだ。事実、ネジャットもイスマイルも帰国前に「あのヤマフジに連れて行ってくれたから、その後に行ったレストランのレベルを的確に判断することが出来たよ」と言っていた。参考までにどこに行ったか聴いたら、某大手が展開するチェーンの和食屋で、「雰囲気はいいが食事は最悪だったよ」とのこと。俺もあそこはないだろ?と思っちゃった。
さて、その時、半年ぶりの再開時にネジャットが僕に差し出したのがこれ。
うっわーーーーーー
メフメット・エフェンディのコーヒーセットじゃん!
すっげー嬉しい、、、ありがとう、ネジャット!
ご存じと思うが、ヨーロッパにコーヒーが拡がるのは、オスマン時代のトルコを経由してのことだったそうだ。けれどもドリップ式のコーヒーとは違い、トルココーヒーは粉を鍋に入れて沸かし、粉を沈殿させて飲む方式をとる。そのために欠かせない鍋、ジェズベがこのセットに入っているのだ。
これがセット内容! ジェズベにデミタスカップ二つ、そしてメフメット・エフェンディの粉コーヒーが入っている。
これがジェズベ。熱伝導の異様に良さそうな鍋である。
僕もほんの一時期バイトをしていたオールドビーンズのコーヒー屋さんでは、これににた銅製の鍋で、抽出したコーヒーを温めて出していた。あれはジェズベではないのかなぁ。
そして、メフメット・エフェンディのマーク入りのデミタスカップ。
トルコのカップは装飾的なものが多いが、これはおどろくほど簡素にして美しい!
さて、肝心のコーヒーの粉も入っている。
メフメット・エフェンディ社はコーヒーの老舗大手メーカーだそうで、半年前の訪問時からその名は耳にしていた。トルコの街には自家焙煎コーヒーの店がそこここに見られるのだけれども、メフメット・エフェンディも小売展開をしていて、5日前に市場でみた店舗には、外に20人ばかりの行列ができていた。やっぱり大人気のブランドなのだ!
トルココーヒーの粉はとにかくパウダー状というくらいの細挽きだ。
沈殿式だから上澄みを飲むんだけど、熱いうちに飲むのだから、とうぜん粉は液体と混ざり合ってトロンとしている。それも美味しさのための要素なんだろう、だからパウダー状なんだと思う。
ありがたいことに日本語でもマニュアルがついているので、これに従って煎れてみる!
まずはついてきたデミタスカップに水を入れて、それをジェズベに注ぎ入れる。
次に、カップ一杯にティースプーン一杯の粉を入れる。
そしたら火にかけてかき混ぜる。かき混ぜることで泡を立たせる必要があるらしいんだけど、これがよくわからん!ああ、今回もコーヒー煎れるところは見なかった、、、なにやってんだ、俺。
マニュアルには「沸騰して泡が立ってきたら、泡をスプーンでカップに分ける」と書いてある。しかし俺のジェズベにはあんまし泡が立っとらんではないかい!うぬぅ、、、
まあ仕方ない。そんで、最後は沈殿物もろともカップに注ぎ入れる。
ちなみに僕はブラックで飲むが、トルコではかなり多くの、というかほとんどの人が砂糖を入れて飲む。注文時に「サーデ」といえばブラック、「オルタ」といえば少し甘い砂糖入り。すんげー甘い砂糖入りというのもあったはずだけど忘れたごめん!
こうして煎れたコーヒー、泡立ちは少なかったが、美味しい!
いわゆるネルや布でコーヒーの油脂分や雑味の元となる粉を濾しながらドリップしたものは、まさに「抽出」というにふさわしい抽象的な味わいがするのに対して、こちらは「そのまま!」という感じ。苦みより濃い旨みと酸味、香りが渾然一体になっている。最初は「ん?」と思うかもしれないが、3回のめばもう慣れて美味しさを感じるようになるはずだ!
今回、いわゆるドリップコーヒーはほとんど飲まなかった。だってトルコでは確実にトルココーヒーの方が旨いんだもん。ちなみにトルコでもスタバは展開されていたけど、トルコ市民にはトルコで生まれたコーヒーチェーンのほうを贔屓にしているらしかった。残念だね、タケ!とはいえスタバにもかなり人が入っていたよ!
上澄みを飲み終わり、もう粉っぽくてのめねーやとなったら、ソーサーを上にのせてそのままひっくり返す。これで冷たくなるまでおいておいたら、中の模様をみてコーヒー占いだ。もちろん僕にはわかりません(笑)
これで美味しいトルココーヒーを煎れられる!
本当にありがとうね、ネジャット!大切に使わせてもらいます。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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