2013年1月 8日 from トルコ Republic of Turkey
さてトルコのイズミル編二日目である。まだ二日目の朝なのである。この日はトルコにとって、そしてイズミルにとって大変重要な日。それは、トルコ建国の父であるケマル・アタチュルクの命日なのだ。イズミルにはケマルの生家があることもあって、ケマルを敬愛する人が非常に多い。この日は朝から広場で式典があるらしく、ものすごい人出だった!
エリフが横で言う。
「私にとってもケマルはとても大切な人!多くのトルコ人がいまでもケマルに感謝し続けているの。」
ケマルが息を引き取った時刻、町のサイレンが鳴る。交差点の中に入っていた僕らの車もそこで停車、他の車も全て停車する。そして外へ出て空を見上げる。通りに面したのマンションの部屋という部屋から人が出てきて、サイレンが鳴り続ける中、黙祷をしていた。
(僕も黙祷していたので、カメラを構えたときにはすでにみなベランダから引っ込んだ後でした(涙))
トルコ人は、とにかくあらゆる面で人情深い人たちだ。もちろん人によってレベルの違いはあれども、そのレベルが最小限の部分でも、日本の人情より一段階情けが深いような気がする。
今回のトルコ行きを主催してくれたのは日本のトルコ大使館なのだが、ここに和田さんという日本人職員がいらっしゃる。この和田さん、高校時代からトルコとの出会いがあったらしく、それからずっとトルコに住み、数年前に日本に帰ってきてトルコの仕事をしているとの由。その彼女が、しみじみとこう言うのだ。
「やまけんさん、トルコという国は、私たちを裏切りません」
この言葉が、トルコに渡る前はなんともよくわからなかったのだけれども、来てみて一日でよーくわかった。本当にトルコは情けの人たちの国である。
さて、本日の朝食はホテルから小一時間ほど走った郊外にある「パトルジャン」というお店へ。お店というか何というか、海辺にある景観も含めたリゾート施設といった感じの場所だ。
ちなみに「パトルジャン」とは野菜のナスのこと!
屋外のテーブル席にもかなりグループ客がつめかけている。この日は休日で、ケマルの記念日でもあるからだろうか。
外のテラスがリゾートホテルのような呈だったのでてっきり中に入ってもそんな感じだろうと思ったら違った!
中は日本の座敷のように、あぐらをかいて座る場になっているのだ!
ああ、これも日本人には実になじみ深い感じ。畳が絨毯になったようなもんで、落ち着くことこの上ない。
そしてこの店の売りが、、、石窯焼きのパンなのだ。それも、この邸内の奥で、目の前でおばちゃん達が焼いているのである!
うひゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こんなライブ風景、メッタに観られないでしょ!
発酵した生地をひょいひょいと伸ばして、釜の中の鉄板においていく。
熱源は薪である! こんなにぐわんぐわん燃やしている、つーことは鉄板もかなり厚いのだろう。
こうして焼き上がったパンが、すぐさま食卓に並ぶ!
なんとなんとなんとなんとなんと!
パンが好きな人ならこの光景、たまらないでしょう!?
ちなみにこの丸形パンはこの店スペシャルのものだけれども、パンの種類はちがえどもその周りの要素(ジャム、バター、蜂蜜、サラダ、チーズ、オリーブ、チャイ)は典型的なトルコの朝ご飯の要素である。イズミルとイスタンブールにおいては、どこへいってもこれらの要素が並ぶ。
日本であればご飯に味噌汁、漬物に納豆か卵みたいな感じだろうか。
別アングルからもう一枚。
この写真の中左、蜂蜜の皿にうかぶ白っぽい塊がある。これが「カイマック」というもので、今回のトルコで初めて僕はこの存在を識ったものだ。
こ・れ・が… もう極楽浄土のごとき美味しさなのである!
どうやらヨーグルトを作るとき、上部に溜まる脂肪分を集めたもののようで(厳密には違うかもしれないが)、つまりクリームが発酵しかかったような状態のものらしい。しかしクリームと言うよりはもう少し粘度が高く、つやっつやの舌触り。それ自体は無味に近いが、繊細な乳の香りに超・上質な乳脂肪の旨みがあって、これと蜂蜜やジャムの甘さが加わったとたんに、卒倒しそうな美味しさに変化するのである!
もうね、パンが美味しいことは当然ながら、この蜂蜜カイマック攻撃にすっかりやられてしまった!アシスタントカメラマンを務めてくれた青木君も「いったい何なんですかこれ!?」と声を上げまくっていた。
このカイマック、すごく足が速い食品らしくて、日本には輸入されていないそうだ(あるかもしれないけど、僕の周りの人はそう言ってた)。うん、これは日本で食べるもんじゃない、またトルコへ行って食べたい!
さて、トルコの粉もの攻撃はまだまだ続きます。
(続く)このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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