2012年8月 9日 from 日本の畜産を考える
■岩手県二戸市の稲庭牧野で育つ「ひかり」ちゃんと、母牛「ひつじぐも」(後)
■北海道釧路市音別町で育つ「ひかり」ちゃん
とても嬉しい知らせが北の大地から届いた。
「やまけんさんの短角牛「べっぴん」号が7月29日に元気な女の子を音別で出産しました!」
マジ?昨年から僕の牛は女の子づいてるなぁ(笑)
僕が所有している母牛は、岩手県二戸市の母牛「ひつじぐも」と、北海道の足寄と音別に牧場をもつ北十勝ファームの「べっぴん」の二頭。この子達が、毎年子を産んでくれている。
実は3月、岩手県のひつじぐもちゃんが無事、第五子を出産してくれた。昨年生まれたのはメス牛で、「いなほ」と名付けたのだが、この子は肉にするのではなく、子を産む母牛として保留することにした。そうしたら、今年もメスが生まれたのだ。それが、冒頭の写真だ。妻といろいろ考えた末、この子を「ひかり」と名付けた。
そして本日、北十勝ファームで牛の面倒を見てくれている中村ちゃんから連絡があった。
...不思議なんです。
べっぴんさんの子は、放牧地でも逃げない。。
去年の大地もそうだったのですが、今年の子も私が触っても大丈夫なんです。
写真撮り放題なのでありがたいことなのですが。普通、放牧地で生まれた子は、早ければ生後2日目には人を見るなり
「ピューッ」と逃げるものなんです。なぜでしょう?
べっぴんさんが人間を全く恐れていないことが、お腹の中にいるときから
子供に伝わっているのでしょうか??現に、他の牛がべっぴんさんの子に近づくと、べっぴんさんはその牛を攻撃します。
でも、私が子牛を触っているときは、私のにおいを嗅いで、
「なんだ、あんたか。」みたいな顔して草を食べに行くんです。
親子ってやっぱり似るんですね。やまけんさん、べっぴんさんの第2子(女の子)の名前をつけてあげてください。
よろしくお願いいたします。
しかし、このとき実は彼女の中で、名前はほぼ決まっていたのだ。
べっぴんさんの子についてですが、生まれたときに、こんなストーリーが
ありました。(「ひかり」の名前の由来)わたしが音別の場内を車で走っていて、ふと牛群をみたら...
「べっぴんさんが子供を連れて歩いてる!」
車を降りて近づいていきました。
その子はなんだかキラキラしていて、それを見た私の心まで輝きました。
「ひかりちゃんっ!」
思わず抱きしめてしまいました。子牛をみてから5秒くらいの出来事です。
それから勝手にひかりちゃんと呼び続けていて...
もしお気に召せば、使ってください。もっとすてきな名前があれば是非名付けてあげてください。
繁殖牛か肉牛かはまだわかりませんが、どちらにせよ
健康で大きく育ってほしいと願ってこの子のお世話をしたいと思います。北十勝ファーム 中村 梢乃
いやぁああああああああああああああ
こんなふうに書かれたらもう「ひかりちゃんでいいよ!」となりますよね!
はい、ということでひかりちゃんです。二人のひかりちゃんが、私のところに来てくれました。本当に感謝したいと思います。ありがとう!
ちなみに、岩手にいる「ひかり」を訪ねたのは5月後半のこと。
そぼふる雨の中、二戸市役所の杉澤君とともに牧野に登り、ひかりを探したのだ。
視界の悪い中、耳標番号をたよりに15分ほど探して、、、
みつけた!
この子がひかりちゃん。つくづく可愛いねぇ、、、
ちなみに、昨年うまれたいなほちゃんは、こんなに大きくなりました(笑)
年の頃、女子高生ってかんじですね。
すっかり冷えてしまった身体を温めるために看守小屋へ。
「やまけんちゃんの牛、台帳にちゃんと載ってるからね」と杉澤君が牛の登録台帳をみせてくれた。
本当だ、載ってるぜ! この後、毎日牛の面倒をみてくれているベテランの看守さんが僕に驚くべきことを言ってくれた。
「あんたんとこの牛、俺に売らないか?」
これ、凄い名誉なことなのだ、、、以前にも書いたが、実はひつじぐも号の血統は、県のおりがみ付きの超優良血統である。ひつじぐもから生まれる子牛はみな体格良好、素晴らしい肉質になってくれている。
看守さんはそれを毎日まのあたりにしている。なまなかなことでは自分の牛にしようというのはいないだろう。それなのに、僕のひかりに目をつけてくれた。
実はこのときまで、「前年にいなほが生まれて、母牛候補は足りているし、この子は肉にするかぁ」と思っていたのだが、それは辞めることにした。ありがたい優良血統なのだ。ひつじぐもが産んだ女の子はすべてこれからは母牛にしようと決めた。
岩手の「ひかり」と北海道の「ひかり」。この子達がどんな牛に育っていくのだろうか、楽しみだ。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。