とうとうこの企画が実現したのか、、、担当者のキエツさんに心から拍手喝采を送りたい。こんなに真面目なコンビニおにぎり商品、今までに無いぜ、と思うのだ。
数年前まで週刊アスキー誌上で連載していた「旅三昧」の読者さんなら、熊本編でローカルコンビニ「エブリワン」を取材したことを覚えておいでの方も多いだろう。エブリワンは九州にだけ展開しているコンビニエンスストアなのだが、飲食に関して言えばかなり僕が好印象を持っているチェーンだ。
本当なら、コンビニおにぎりなんて応援しない。でもね、このエブリワンの商品は好きなのですよ。なぜなら、店内調理がベースになっているから。店内調理、つまり工場で生産された商品を持ち込む方式ではなく、店内のバックヤードで調理して陳列するスタイル。エブリワンは並み居るコンビニの中でも店内調理の幅が広いことで知られている。
特に有名なのはパンだ。
「エブリワンが出店している地域では、パン屋さんよりエブリワンに食パンを買いに行く人が多い」
といわれるくらい、店内で焼き上げたパンのクオリティは高い。某大手パンメーカーにいた人がここのチェーンの要職についているので、それも当然だ。
で、パンだけではなく、弁当・惣菜商品もかなりインストア調理をしているのだ。その象徴的存在と勝手に僕が思っているのがこれ。
ばくだんおにぎり、である。ひとつのデカイおにぎりに複数のおかずがぶち込まれた、ガテン系の男ならぜったいに食べたくなるこいつ。いまや色んなコンビニでこの手の商品をみることができるが、僕の記憶ではエブリワンが最古のばくだんを出しているはずだ。
こんな大きさで、、、
こんな感じに具材がはいってる! これは、卵で巻いた変則バージョンの、炒めスパムに昆布佃煮のやつですな。いまはないバージョンだと思う。
店内調理だと、工場出荷商品よりも賞味期限を短く切るため、pH調整剤等の使用量を抑えることができる。だから僕はこの商品をよく買い求める。
前置きはそのくらいにして、、、
このブログでもなにげによく出てきている熊本県人といえば、キエツさん。エブリワンの弁当MDを務めてきたのだが、しばらくまえに異動で、はれてこの店内調理シリーズをみることになったのだ!
やったー! じゃあ、ぜひばくだんおにぎりで「くまもとあか牛ばくだん」を作ろうよ!と無責任な話をしたら、「本当にそれやりたいんですよ」と。
そこから僕は熊本に行くたび、あか牛関連の視察にはできるだけキエツを誘うことになる。だから、阿蘇の産山村で国産飼料100%のどえらい取り組みをしている井信行さんのところにも一緒に行った。
そして、阿蘇のような山間地ではなく、平場で牛飼いをしている那須さんのところにも一緒に行った!
でも、でも、やっぱりコンビニがこうした国産の肉を使うと言うことは、単価的に非常に難しいのだ。ちなみにコンビニで牛肉商品があったら、ほぼオージーとかニュージーの肉が使われているはずです。
「正直なところ、コンビニ店頭で売れる価格帯で国産の牛の肉を使うのは非常に難しい、けれども僕は生産者を叩くようなことは絶対にしたくない!」
というのがキエツさんの心だ。
そしてこのたびの朗報は、正規のルートで、変な価格叩きをすることなく、くまもとあか牛の肉を使ったばくだんおにぎりを商品化できた!ということなのである!
レギュラー商品としてではなく、「九州味巡り」というキャンペーンの企画商品として出るので、ほんとうに1週間限定。商品名は「熊本あか牛焼肉ばくだん」。
これがちょっと残念なところで、銘柄牛としてのあか牛の正式な名称は「くまもとあか牛」なのだ。「熊本」が漢字なので、ちょっとだけ違う。まあでもそれはとるに足りないこと。
価格は、ばくだんおにぎり史上最高値となる280円。
「正直、この価格でいいんだろうか、という思いはあるんですが、熊本が誇るあか牛を使えた事は満足してます。」
いや、そのくらいしていいんじゃないの?
「内容は、たれ漬けしたあか牛を店舗で焼成して、白菜高菜漬けとピリ辛のきくらげを合わせました。白菜高菜とピリ辛きくらげの食感がアクセントになってます。できたては旨いですよ~。」
実はさっきキエツさんと電話で話してちょっとビックリしたのだけれども、このあか牛ばくだんおにぎり、構成の原型はぼくが提案したものだった(笑)
僕はこう言ったのだ。
「あか牛を甘辛く煮染めた感じにして、高菜漬けと、あとは青トウガラシの味噌漬け。これを一本入れて、味と香り、食感のアクセントにすると、でかいおにぎりでも最後まで飽きずに食べられますよ」
その言葉をキエツさん、かなりまともに受け止めてくれたらしい。
「実は青トウガラシは試作で作りました。マジで旨い!めちゃくちゃ合うんですけど、どうしても原体が大きすぎて、商品に入れ込みにくいんです、、、」
ということで食感の強いキクラゲをピリ辛にしたものが入ったそうだ。そうですか、俺は自分が話した夢のようなおにぎりができただけでも十分に嬉しいですよ。
この商品、タレに漬けた肉や高菜などを店に納品し、焼成は各店舗で行い、手握りをして完成する。本当に手造りなのである!これを食ったら、工場出荷のおにぎりはもう食いたくなくなるはずだ。
ということで、、、 九州地方の、エブリワンが近くにあるみなさんは幸せだ。これを食べることができるんだから! 期間限定で、しかも一店舗で出す量もかなり少ないらしいこのおにぎり。ぜひ見つけたら手を伸ばしていただきたい。このおにぎり、魂が入ってます。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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