2012年7月10日 from 日常つれづれ
これだけ長くブログをやっていると、色んな人からメールをいただく。
おっとメールだけじゃない、こないだは地元のスーパーでレジに並んでたら「やまけんさんですよねっ読者です」と女性が声をかけてくれた。ありがとうございました!
で、実は一ヶ月前くらいに印象的なやりとりがあった。イタリア在住の女性からメールをいただき、またイタリアに来るときはぜひ寄ってよというありがたきお言葉をいただいたのだ。そのやりとりの中で、「放射能学に詳しい夫としては、子供を連れて日本にいくのはちょっと」という一文があったのだ。
そういえば、僕はまだEU圏の人たちが日本の放射能の状況についてどう思っているのかを効いたことがない。ドイツ人の友人夫妻が居て、福島原発の事故後、真剣に「うちの一部屋に住ませてあげるから、夫婦でおいで」と言ってくれているのだけれども、まだ行ってない。
ちょうどいい機会だと思って、日本の放射能についてその夫君はどう考えているのか、きいてくれませんかね?とお願いしたら、存外に詳細なものを送っていただいたのだ。この場を借りて感謝! ただしご迷惑がかかるといけないのでお名前は伏せますね。
以下、関心のある人はぜひお読みください。ただし、この内容についてあーだこーだ言われても、僕も対応はしかねますので、あしからず。これは海外からの一つの声である、ということのみです。
これを読んで僕がどう思ったか、もここには書きません。けれどもとても示唆的でした。では、、、
さて、日本の放射能の件ですが、夫にあらためて聞いてみました。
まだ日本語はまだまだなので、すいません。私のほうで彼の言った内容をまとめてみました。1.「もうどこの地域もダメ」ということは全然ないそうです。
ヨーロッパもチェルノブイリ後には放射能汚染されていますが、それでも広い地域で既に農・酪業は再開されているとのこと。つまり、日本も100%ダメということはなく、もう既にヨーロッパでは「少しの放射能汚染は仕方ないよね」と受け入れられてきた、ということを考えると、日本もそれにならって、「これくらいだったら、仕方ないよね」と基準を作って少量の放射能を受け入れることも、悪くないんじゃないか、と。(もう「放射能のない地域なんて、ほとんどないんだから、今更大騒ぎする事実じゃないよ。放射能事故がないのは、アフリカくらいだけど、アフリカもウラン炭坑のあたりは、原発事故はないけど直接汚染されてる可能性が高い。だからアフリカもクリーンじゃないし」by夫)チェルノブイリと福島原発の被害を比較した記事があります。
http://allegedlyapparent.wordpress.com/2012/03/06/part-2-ongoing-fukushima-daiichi-npp-nuclear-disaster-overview-march-11-2011-one-year-later/
このページの最後のほうに、同縮尺で汚染地域を比較したマップがありますが、それをご覧いただければ、日本の被害はそれほど広範囲ではないことが分かります。(「大部分が太平洋に流れたからねえ、ある意味よかったね、でも魚には気をつけないとね」by夫)2.フードチェーン
さらによく見ると、ヨーロッパの汚染地域はフランス東端までかなり広いです。ただ、ご存知と思いますが、フランス・イタリアは農業輸出大国なので、その産業がだめになっては困る、そのためには、汚染の事実をなるべく大事にしたくなかった、というそれぞれの国の思惑があるそうです。ただ、オーストリアの一部では、汚染度が高いため、まだ牛の輸出が禁止されている地域があるそうなのです。
これは、植物よりもそれを食べる動物のほうに、放射能物質が濃縮されるためだそうで、そのことを考えると、福島周辺でも、農作物はセーフ率が高く、酪農業のダメージは大きい、ということになるでしょうか。ただ、夫いわく、「でも、いずれ食べれば体に蓄積されるものだから、野菜のほうが安全といって野菜ばっかり食べていれば安全、ということはないよ、フランスもイタリアも、まだまだ農作物の放射能汚染が騒がれるのを嫌がっているから、もしかしたらまだ知らない被害があるかもしれない」
また、魚は、どこで餌を食べてどこを泳いできたのか、トラッキングが難しいので、お肉よりひょっとして危険?とのことでした。(「ボクだったら、魚よりも、「多少汚染されているけど安全ですよ」っていうお肉のほうを食べるよ。魚は未知数が高いから、やだなあ。どっちを取るかは、好みだけどね。日本のカラオケで食べた、ロシアンルーレットたこ焼きみたいなもんだよ」)by夫)そういえば、そんなものも食べました。お皿のたこ焼きのうち1つにわさびが入っている、というものでした。
なお、近隣産地のお話がありましたが、夫いわく、流通禁止にする枠が大きすぎるのだそうです。
上のほうででてきたマップを見ると複雑に入り組んでいます。
(別資料:http://www.unscear.org/unscear/en/chernobylmaps.html)
「@@市@@町単位よりも、もっと細かく、お宅はOK,お宅はダメ、と個人の敷地ごとにやるのがフェアだろうね。隣同士だったとしても、山のふもとなんかで、
雨の流入量が多い畑は、より汚染されている可能性が高いんだから。逆に、雨があまり注ぎ込まなかった畑は、たぶん汚染度も低いし」by夫
(これでも、まだまだ大雑把、ということになります:http://www.nnistar.com/gmap/fukushima.html)コストかかりますよね。それから、そういった「お宅はOK,お宅はダメ」情報の公平性・信憑性と、それらの農家の作物が市場に流通した際に、最後までトレーサビリティーが保てるか、というのが、大きな課題だそうです。
ヨーロッパでは、放射能の話はもう出してほしくないので、代わりにその問題を「有機栽培」の話とうまくすり替えてブランド化しています。つまり、「A村は放射能汚染度が比較的高いです」というネガティブ・キャンペーンをするのではなく、「(放射能汚染されていない)B村で完全有機栽培で育てました」という商品をブランド化する、というものです。BIO製品として、イタリアをはじめ、いろいろな旅行先のスーパーでも、普通にみられました。こういう工夫も日本に必要かもしれません。それから、ストロンチウムの話は、内部被爆に関わってくるお話ですね。
夫いわく、「既に体内に取り込んでいる放射性物質の量を知ることは現テクノロジーでは難しく、つまり内部被爆の量も計れない、つまり、分からないところが多い。確かにストロンチウムも注目したい物質だけれど、セシウムを検出したということは、放射能物質がそこまで飛来した、ということを示す事実なので、セシウム摂取を避ければ、ストロンチウム摂取も同時に避けられる。というわけで、今のところはセシウム摂取を極力避ける対応で十分だろう」とのことでした。長々とお返事書いてしまいました。
やまけんさんは流通関係の業者さんとお仕事をされているということなので、心労も人一倍と思います。農家の方々も、この問題には相当困惑・混乱されているのでは、と思います。(「メディアは、経済に不利な情報に関しては、いろいろ不親切だからねー」by夫)
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