2012年7月16日 from 首都圏
さて、いよいよクック&ダイン葉山の店舗奥にしつらえられたレストランスペースへと入っていく!
実を言うと、店の案内を見たときに飲食スペースがあるということをきいて、僕は「ああ、山口さん自身がダッチで料理して出すんだろうな」と思っていた。彼はそれくらい朝飯前の腕があるから、ダッチでこんな料理ができますよ、というデモンストレーションも兼ねたショールーム的な感じなんだろう、と軽く考えていたのだ。
ところが、全く違った!ここでは本格的に、山海の幸を全方位的に料理した旨いもんが味わえるのである!
山口さんがこの店をオープンする際に、だれかいい料理人がいないかと相談を持ちかけた人物がいる。ブンさんという人で、山口さんが東急にいることからのビジネス上のつきあいのある人だという。
このブンさん、新潟で有名な居酒屋や料理店を展開している人で、その腕前に山口さんは惚れ込んでいたのだという。で、相談して若手を誰か紹介してもらおうとしていたところ、、、
「あ、おれこれからちょっと時間ができるから、行くよ」
と行ってくれたのだそうだ!
左にいらっしゃるのがブンさん。そうですか、それでカウンターにはずらりと新潟の銘酒が並んでいるのね!?
しかも、店内の黒板メニューには、、、
新潟の中越地方名物である「やきなす」のことが掲示されている! これは期待ができるぜ!
ランチメニューとディナーメニューはすこしずつ違うが、ランチタイムだったので、その中からわがままに選ばせてもらった。
うーむ、、、 こういうの観ると、端から端まで頼んじゃいたくなるんだよね! 第一、開店祝いもしていないから、がっつり食うぜ! ということで夏の葉山ランチとカレー、甲州ワインビーフの赤身ステーキを! とここで山口さんがヒソッとささやく。
「あのね、さっき漁師さんから生しらすが届いたんだよ!生と茹でしらすの二食丼出すからさ!」
マジスカ! ということで計4品いただいちゃいます! 甲州サドヤワインのグラスを頼んだら、こんな素晴らしきおつまみが、、、
これ、サービスしてもらっちゃったみたいだな、、、グチさんありがとう。それにしてもみてくださいよ、僕のブログの過去ログをめくれば出てくる、新潟の味だ!
これは蒸かしナス!中越地方の長岡市周辺では、巾着ナスという大きく締まったナスを竹串がすっと通るくらいに蒸かしてこれを冷やし、カラシ醤油かショウガ醤油で食べるのが夏の風物詩。
ここでは生姜すり下ろしタップリの醤油でいただく。
あっもうこれだけで満足しちゃえるくらいの味! ちなみにこのナスは黒十全ナス。やっぱり新潟の在来品種だ。
もう一つの酒の肴は枝豆。これも新潟県は日本でトップレベルにうるさい地方である。
これが美味しい!ただ枝豆を茹でただけじゃないんだ。ゆであがった枝豆をサヤからだして薄皮も剥き、淡い味の出汁に浸した豆なのだ!もうこれだけで完全なる一品。
それになんとこの店では入荷する枝豆の品種カレンダーがある!
これによれば今きているのは「おつな姫」だ。僕がこの中で食べたことがあるのはグリーン75、湯上がり姫、くろさき茶豆、ぴかり茶豆、みかづき姫くらいかな。まだまだシーズン前半の早生系ですな。これから出てくる湯上がり姫はお薦め品種ですぞ。
「これも食べてよ~」と出てきたのは、またもやナスだがこれは「やきなす」の料理! やきなすはどかんとでっかいナスで、中の果肉は膨満で柔らかい。これをサッと高温で焼いて焼きナスにするのが実に旨いのだ。
手前はなんと焼いたやきなす(←変だね(笑))を煎り酒で味をつけたもの。煎り酒とは醤油が貴重だった時代の調味料で、梅干しを煮きった酒で煮だし、そこに追い鰹をしたもの。これがビタッとはまっていて、旨い!ほのかな梅の香りに鰹の風味が素晴らしいのだ。
うーん、このつきだしを食べているだけで、もう俺はブンさんの料理のファンになった。なんときめ細やかで食べ手の心をくすぐる料理をする人なんだろう!?
「ランチメニューにつけさせていただいているサラダボウルです!」
このサラダにかけるドレッシングが和風とフレンチオニオンの二種、ついてくるのだけれども、これがまた完全に手造りのドレッシングなのだ。
タマネギのすりおろしがたーっぷりあって、液体と言うより半分固体か?と思わんばかりの濃さのフレンチと、、、
実にこってりとした、醤油と油の旨さ・香りが際立つ和風の二種。どちらもランチメニューのサイドディッシュで出てくるとは思えない完成度の高さです。山口さん、ちょっと気合いを入れすぎてるんじゃねーの?旨すぎ。
さてさてこれが夏の葉山ランチ。
一番手前が、新潟は十日町で名物の「ふのり」をつなぎにしたそうめん。それに葉山ひじき・あかもく・わかめの海藻類の酢の物、自然薯とろろ、中谷食品のがんもどきをスキレットで焼いたもの、梅ドレッシングサラダ、葉山ひじきカリカリ梅ご飯につけもの。これで1680円。
そうめんはふのりをつなぎにしているから、つるんつるんとした楽しい食感。これを自然薯とろろとめんつゆ双方につけてすすり混むのが吉!
そして俺が感動したのはこの海藻三種。
ふといのは葉山の地ひじきだ。噛むとブスッとまっすぐな食感が歯に来る!アカモクはネットリねばねばして大好き。ワカメは歯ごたえしゃっきりだ。個人的にこれから、海藻食が重要だとおもっているので、これはばっちりな一品。しかも全部地物だしね。
そしてこいつがなんといってもパワフルな一皿。
スキレットでこんがり焼いたがんもどき! こいつが極めつけに旨い。バリッと焼き上がった皮を破ると、中の具材はひじきにタマネギ、にんじんにゴボウにしいたけナガイモで、すべて生を使っているという。食感はギュッとぎっちり凝縮しているのにホロホロ。スキレットで焼いただけのものがなんでこんなに旨いの?という驚きだ。
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これがクック&ダインで販売している、中谷さんとこのがんもどきと油揚げ。やっぱり焼くだけで美味しいとみんなが言っている!
さあそして、、、
圧巻のしらす丼である! こればっかりは漁港の近くじゃないと食べられない! 生姜醤油をかけて、、、
どうだっ! 生しらすの旨さを識らない人は本当にかわいそうだ。一切臭み無し、意外におしとやかな旨味。ただただ美味しい、、、
と舌鼓を打つあいだに、メインディッシュ登場!
これもクック&ダインのイチオシ商品、甲州ワインビーフのステーキだ。最近、いろんなところで甲州ワインビーフが知られてくるようになったが、そのかなり最初の段階でクック&ダインでは取り扱っていた。ワインのしぼり粕を肉牛の餌に与えることで、深い味わいを追求しているのだ。
ワインビーフはホルスタインに黒毛和牛をかけたF1。そのもも肉をこの店ではステーキにしている。みてくださいこのビシッと決まった火入れ!肉焼きに最適なスキレットの技だ。塩・胡椒の効きもばっちりで、他に何もかける必要がない。美味しいステーキランチだ!
しかもですね、写真撮るの忘れたけど、味噌汁が断然旨い! 油揚げと青ネギのシンプルな味噌汁なんだけど、揚げをこんがり焼いたのが具に入っているのだ。油を抜くんじゃなくて、焼くことで香ばしく油抜きができるわけだ。これも中谷食品の油揚げ。
いや~ 感動的じゃん!
山口さんがさっさかスキレットとダッチで焼いた鶏の丸焼きが出てくるのか、などと思っていた自分が恥ずかしい(笑) 実に正々堂々と葉山と全国の良食材の佳さをダッチオーブンで引き出した、「わざわざ食べにくる価値のある店」である。
夜のメニューはまだおれも食べてないので、参考まで。どうやらアラカルト中心で、スキレットやダッチなど、使っている鉄鍋ごとにメニューが載っている感じだ。もちろんあのがんもどきも。
まだほとんど、開店告知やPRをしていないらしいんだけど、すでに葉山周辺の感度の高いお客さん達が訪れているようだ。
デザートは手作りマンゴープリン。
いや、最後まで料理人ブンさんの腕に感動させられましたね。美味しかった!
ちなみにこの日、眼に停まったキッチンツール達。
これは、ガスコンロに着いてる魚焼きグリルにいれることができる、背の低いオーブン。
うちには魚焼きグリルがないから使えないが、これはナイス。
波形状のグリルパン。意外と安い!
チーズおろしかな、と思ったら、コの字型の刃がビシッと出た、おろすというよりスライスするという感じの道具。繊維が潰れないらしい。
こんないろんなのがある中で、ひさびさにまたコンロ買っちゃった。
これ、ちっちゃいんだ~ 俺の手は人より小さいので、その大きさが伝わらないと思うけど。
イワタニプりムス用のミニコンロ。耐熱クッカー内に入れて持ち運べる小ささだ!
あとこれも気になった、南部鉄の鍋敷き。
南部鉄器はたくさんおいてあります。手にとってみないと買えないもんね!
というわけで、葉山近郊にいる人は今すぐ!そしてそうでない人も、鉄鍋好き、料理好きはぜひ行ってみて欲しい!
ちなみに森戸海岸から本当にすぐです。ぜひ足を運んでやってください!
COOK&DINE HAYAMA
逗子・新逗子駅からバスで10分かからない「風早橋」を降り、そこから徒歩7分。森戸海岸はすぐそこだから、海水浴と組み合わせるとなおベター!
おまけ:
森戸海岸をダイナミックに、、、
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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