ブルックリンで人気のキッチン用品&食品店「ブルックリン・キッチン」にて、マイクロな規模のドライエージングビーフ作りに驚愕!なんと!こんな感じでできちゃうのね、、、

2012年6月26日 from 出張

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二日目はかなりいろいろと回る日程。最初に向かったのは最近人気のスポットであるブルックリン。センスのいいデザイナーやメディア関係者がこの地域に住み始めていて、いい店ができてきているという。その中でもここ「ブルックリン・キッチン」はかなり人気の店だそうだ。

実はこの店との邂逅は非常に大きな意味があって、今回の旅における一つの大きな発見をした場所となったのだ!

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キッチン用品の販売から初めて徐々に扱い品目を増やし、いまでは野菜、果物、精肉、グロサリーも取り扱う。

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そして特徴的なのは、店舗面積の1/3を占めるキッチンスタジオだ。ここで地域の人たちが参加できるクラスがほぼ毎日何らかの形で開催されている。もちろん店の各種イベントもここで行う。この日もクラスがあるらしく、専属らしき調理インストラクタースタッフが三人ほど立ち働いていた。

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この人が創業者の、、、スミマセンお名前失念。あとで確認して書きます。なんとこの方、もともとはテレビ映像のライティングマン、照明担当をしていたという。

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「僕は料理が好きなんだけど、この地域にはあまりいいキッチン用品を置いている店がなかったから、自分で作ろうと思ったんだ。最初はこの料理教室の部屋しか敷地がなかったから、ここにキッチン用品を埋め尽くすように置いていた。そこから増床、増築をしていって物販スペースが拡がって、野菜なんかも扱うようになっていった。肉はミートフックっていうテナントに入ってもらっているんだ。」

この店舗内を観て特徴的と思ったことがある。それは、デリ形態の中食商品や加工食品の割合が意外に少なくて、野菜や卵、肉といった「料理しないと食べられないもの」のスペースが大きいことだ。

アメリカは日本以上に「料理しない人たち」が多いはずだから、本来的にビジネスを考えれば調理済み食品を置いた方が人気を呼ぶだろう。けれどもそれをやっていないことにはポリシーがあるのではないか、と質問をしてみた。

「その通り!まさしく日本と同じでアメリカでも料理をしない人が多いんだ。けれども、僕の店では加工食品を増やすよりも、この素材をどうやって料理すれば美味しくなるよということをきちんと伝えることで売上を増やしていこうと思っている。事実、そういうことが好きな人たちが足を運んでくれるようになっているよ。」 ※ちなみにやまけん意訳です。

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肉売場はこんな感じ。店舗面積の1/5程度を占めているようだ。ご覧の通りかなりぶっきらぼうな肉屋さんといったかんじ。上の写真に写っているのは加工肉サイド。すべて手造りだ。ドライエージングビーフは、この奥の右側のショーケースに入っていた。

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最下段がDABだ。ポーターハウスにリブアイ、ストリップロイン、それに一番左の肉はブリスケの部分だ。

「ここでは生産農家数軒と提携して肉を仕入れている。一頭丸買いをしているよ。生産農家はできるだけニューヨーク近郊の農園としているから、オーガニックビーフではない。けれどもグラス中心の育て方をしているところばかりだ。」

なんとバックヤードの、DABを熟成している冷蔵庫に入れてくれるという!ありがたい!

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そしてこの扉の向こうに、驚くべき世界があったのだ!

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狭いっ!

実に狭くて、そんなに大きくない冷蔵倉庫だ。その右側に、エレクターみたいな棚があって、そこに無造作に肉がどかんどかんと置かれている。

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彼が精肉担当君。特になにを隠すでもなく、いろんなことを教えてくれた。

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「肉は部分肉で入ってくるから、このラックにのせて28日間置いておくんだ。最初の頃、ここを始めたばかりの時は50日以上かかってようやく熟成できるくらいな状態だったんだけど、安定してきたから30日以内で熟成できるようになった。豚も熟成していて、こちらはだいたい2週間くらいかな。鶏肉もやるけど、3日間くらいだね。」

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たしかに中段には豚肉のロースが置かれている。

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厚みのある脂に小さなロース芯。品種は何かときいたらバークシャーだった。

「ハンプシャーやデュロックの時もある。そのときの仕入れによって変わるね」

あー これ買って焼いて食いたかった!

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それにしても、である。こんなもんでいいんだ!?と驚いてしまった。何のことはない、風の回っている冷蔵庫、である。そこに置いとくだけかよ!

この旅でこれからまた同じ驚きに出会うことになるんだけど、先走って書いておくと、アメリカではドライエージングは「魔法」などではない。ごく普通に、置いとけばそうなるという感じで肉の担当者が話しているのだ。

けれども日本では、同じような温度・湿度・冷蔵庫の条件にしても、うまく熟成がかからないことが多々ある。期間はかけているけれども、まったく熟成香のない肉にあたることもけっこうあるのだ。

その差はどこにあるのか?それが新たな疑問になった。このブルックリンキッチンの厨房を見て一瞬、「俺も帰ったらどこか冷蔵倉庫かりて始めるか!」と思ったが、その一瞬のちにはいやいやそう簡単じゃないんだよ、と思い直したのだ。いろんなところが失敗している。日本とアメリカには何か違いがあるはずなんだ。

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ところで売り場にあって「これ買って帰りたい!」と思ったのがこれ。

DABを混ぜたひき肉だ。これでハンバーグ作ったらどんなにうまいだろうね、、、

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DABのコーンドビーフとチキンスモークをふるまってくれた。チキンスモークのあまりのおいしさに一同びっくり! やっぱりアメリカ人は加工肉にはうるさいんだな、と納得。

今回この店に行けたのは大きな収穫だった。それは、「マイクロな規模でまずはできる」ということだ。なんとなく、友達の山口壮一さんのクック&ダインを思い出してしまった。彼は有力な百貨店のバイヤーをしていたのに、ネットのキッチン用品店をはじめ、そしてこないだ葉山にレストランつきの店をオープンした。立地を除けば一番近いスタイルかもしれない。

ああ、日本に応用できそうな店づくりがここにもあった、とうれしくなったのだ。