この世の結びつきというのは本当に不思議に精密にプログラミングされていて、驚いてしまう。前にも書いたとは思うけど、なぜかまた奇妙な符丁のような出来事があったので、、、
僕の実家は埼玉県の北本市というところにある。正直言ってな~んもない場所である。埼玉県人以外は北本市といってもわからんだろう。中山道の宿場町だったところで、大宮駅から高崎線で18分ほど北上したところにある。名物は特にない。幼い頃は銘菓 十万石まんじゅう が名物だと思っていたのだけれども、ある時これは隣の隣にある行田市に本店があることがわかり、大きなショックを受けた。北本ってマジで何もないじゃん!
いや、実は北本市はまだまだ緑が多くて荒川の河川敷の眺めもよく、僕は好きな地である。
しかしそれだけじゃなく、北本市には素晴らしいカメラマンがいる。しかも極めつけに狭い範囲内にそれが密集しているのだ、、、
dancyu特別編集「そば」名人 ― 読む、観る、手繰る。「せいろの輝き」ここにあり (プレジデントムック) | |
宮下 裕史 プレジデント社 2010-12-15 売り上げランキング : 13436 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
このムック、dancyuに連載されていた、蕎麦の名店をかの宮下裕史さんが書くという内容なんだが、写真が実にじつに秀逸。蕎麦の写真を撮らせたらこの人にかなう人っているんだろうか?というのが、伊藤千晴さんだ。もともとグラフ誌「太陽」のカメラマンをしていた方で、いまも週刊文春などさまざまな雑誌で料理を中心に撮影しておられる。
僕は、dancyu誌上で岩手の短角牛の探訪ページを書かせてもらったことがある。その際に同行するカメラマンさんが千晴さんだったのだ。取材当日、現れた千晴さんはとても複雑な、浮かない顔をしていた。
「あのね、、、実はつい昨日、俺と共同で事務所を借りてるカメラマンの高橋昇が死んじゃったの。長年の友だし、おれも心の中で号泣してるんだけど、いろんなヤツからおれに電話がかかってくるし、その応対もしなきゃなんないわで、大変なんだ。けど今日の撮影は抜けられないしね。だから、ちょっと景気の悪い顔してるかもしれないけど、勘弁してください」
高橋昇さんといえば、あの開高健「オーパ!」の写真を撮った人じゃん!ひゃあ、それはおおごとだ。親友の死の直後に、遠方の仕事に出なければならないとは、、、やはり頻繁に携帯に電話がかかってきていて、休み時間には葬式の案内などに忙殺される千晴さんだった。
その千晴さんの撮影スタイルを観て、本当にビックリ! その頃はメインに銀塩カメラをつかっていたわけだが、ニコンのF100だったかな?つまり最上級機ではない。にやっと笑いながら、
「俺はこれで撮ってんの。十分だよ。」
しかし、そこからがすごい! 単焦点レンズを装着し、三脚に着けて構図を決めた後、とんでもなく大光量のストロボを焚くのだ! ええっ こんな距離からこんな光量で焚くんですか?それって絞りはいくつくらいで、、、?
「絞りはね、レンズのいける最大絞りだよ!」
うわーーーーー そんなのみたことなかったぜ! しかも手前に△△を置いたり○○をつかったり、、、今思えばすごい叡智が秘められた撮影現場だった!
一泊二日の短角撮影は充実したもので、めでたく完了。新幹線に乗っている最中も千晴さんはものうげだった。そして東京駅でお別れ。最後、ふと僕が聴いた。
「千晴さん、どこにお住まいなんですか?」
「ん、北本市ってとこ」
えっ、、、
ええええええええええええ?
俺も実家は北本だよ!? どの辺ですか?俺の家は●●3丁目、、、
「あら、おれんちは●●2丁目だわ」
ええええええええええええええええええええええええええ?
もしかして、近くに●●ストアっていうスーパーがありません?
「あ、その隣の隣だよ。」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
なんと僕の実家は、伊藤千晴家から家4軒のところに位置していることが判明したのである、、、お互いに驚愕しながら別れ、うちの親に電話したら、、、
「あんたそれ、清子(妹です)が中学校の時に一緒に登校してた●●ちゃんのお父さんじゃないの?」
もう、言葉も出ない、、、
そんな関係なのである。と、ここまでなら「運命って面白いねぇ」で終わる。まだ先があるのだ。僕の実家の斜め裏に、僕と同じ山本という家がある。そこの長女のまりこちゃんは僕より年下で、小学校時代に集団登校する際、一緒に行っていた(と思う)子だ。
このまりこちゃんが、今をときめく女流フォトグラファーなのである!
■ご参考 ソニーNEXのカメラトーク
http://www.sony.jp/ichigan/extension/girls/vol1/
つまり、ほんっとに狭い範囲内に、カメラマンが3人居る! まあ、僕をいれていいかどうかはちょっと判断に困るところだけど、いちおう仕事で写真も撮るということでお許しいただけると、表題の通りカメラ三人衆!などと言えるわけである!
この写真は今年の正月に北本で奇跡的に三人が集まった時のものだ。写真はまりこちゃんのパートナーである八幡宏君の手による。
とまあ、こんな個人的に驚く話があるわけだけど、、、なんでこのタイミングで書いたのかというと、つい先日のこと。
GWで実家に帰ったのだけど、一泊しかしないし、時間もあまりないのでゆっくり会えないし、今回は千晴さんに連絡はせんでいいか、と思いつつ、実家の自転車でスイーっとその辺を流してると、、、
「おう、やまけん!」 と声がする! あっ なんとちょうどいいタイミングで野外にいるわけ!?千晴さんが家の前でBBQやっていたのだ。んで、ビールをいただきつつ四方山話。じつは、写真撮影は僕が千晴さんにいろいろ教えてもらうが、デジタルの、PCとか現像ソフトの使い方は僕が教えている(ところもある)のだ(笑)
んで、またお会いしましょうと別れて、、、その3日後。ニコン銀座サービスセンターで、カメラのセンサーについたゴミをクリーニングしてもらうために朝一番で並んでいたら、、、
「おう、やまけん」
そこに千晴さんが居た、、、(笑) おなじくセンサーのクリーニングにきていたのだ。もう笑っちゃうしかない。
そんな、興味ない人にはまったく意味のない話。けど、俺には本当に奇跡のように思えるんだよね。いつか三人で、北本市で、写真展できないかなぁ、、、千晴さん5割、まりこちゃん4割、おれは1割という割合の展示数でいいから(笑)
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。