2012年4月22日 from 出張
もうこれから出なければならないので一枚だけ。
兵庫県の但馬地方、豊岡から美方郡美方郡香美町村岡地区へ。
標高が高く寒いため、まだまだ桜の美しい、閉ざされた山間の地。ニコニコと温和な前田八十一(やそいち)さんが待っていてくださった。
但馬で「前田さん」と言ったら、この時点でおそらく肉牛業界のひとは「ぴんっ」と来るだろう。黒毛和牛の祖の祖である但馬牛(たじまうし)はこの地から出ているが、江戸の末期から明治にかけて生きた前田周助さんという方がいた。近隣からよい牛を買い集め、閉鎖育種という手法を独自に編み出して、必ず優良な子孫が産まれるようにする。その血統の牛の系譜をみれば、どこまでもよい牛が続くという様が蔓(つる)に生った実のようであるため、「つる牛」と称することになった。
そのつる牛の元祖である「周助蔓」の前田周助さんのご子孫がこの方なのである!
いやー感動しちゃいましたね。俺はまさに歴史上の人物のご子孫に会っているのだ、と。興味ない人には全くわからないかもしれないけど、、、上の写真で利右衛門さんというのが周助さんだ(周助というのは幼名だそうだ)。
この地域では、民家には牛一頭がかならず居た。田畑を耕すのにエンジンがまだなく、牛耕を行っていたのだ。牛は大切な宝であり、神様のごときもの。だから、この辺の家の造りは玄関を入って一番いい場所に牛の居るスペースがしつらえてあったという。
「ほれ、その玄関の向こうに牛が居ました」
えええええええええええええええ ここにですか!
本当にぞくぞくする、、、
残念ながら八十一さんはずーっと前に、和牛繁殖を辞めてしまわれた。しかし、こんにちの黒毛和牛の隆盛はここから始まっているのだ。
ということで、日曜の本日も朝からこの辺を巡ります。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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