2012年3月 9日 from 出張
今回の岩手行は、県南の平泉と県中の盛岡で一日ずつ。平泉に向かう前、前沢の牛博物館のとなりにあるロレオールへ。3月に入って少し暖かくはなったが、すっかり雪景色である。
自動ドアの前で、伊藤シェフが待っててくれた(笑)。震災後からよく会うけど、店できっちりメシを食うのは久しぶりだ!
この日はフランス大使がこの店に来ると言うことで、奥の席がセッティングされていた。おまかせで食べるわけだけど、おかげさまでフランス大使メニューがこちらにも来たようで、ホロホロ鳥の全部位食べができる!(笑)
鳥が焼き上がるまでサラダバー。ランチ時は周辺の奥様方で賑わう店なのだ。
さあそこに来ましたホロホロ鳥!
分かるだろうか、モモ肉を中心に、手前には胸肉、右手前はレバー、心臓、砂肝そしてキンカン卵まで一皿に載っている!
オールスターだね、まさに。
ホロホロ鳥はなんといってもデリケートな肉質で、火入れをうっかりしすぎると途端にバサバサの不味い肉になってしまう。だから、胸肉の火入れは慎重にしなければならないんだけど、特徴的な皮と脂の旨さを引き出す必要もあって、これが難しそう。
でも、この日の火入れはばっちりだ!実にジューシーかつ、旨さの活性化も最大になっている。
レバーは限りなく白レバー?クリーミーでもちろん臭みはほとんどない。
キンカン卵も楽しく美味しい。
実はこの火入れは、鋳鉄製の南部鉄器でされている。岩手県を代表する工芸品でもあるが、伊藤シェフはフレンチのキッチンに南部鉄器を持ち込み、ほとんどのメイン食材をこれで調理しているのである。ココットやダッチオーブンなど、鋳鉄製の鍋は多々あるが、ここは岩手なんだからと南部鉄器を使う。そこに魂があるし、その組み合わせでしかできない料理もある。
このホロホロもすべて南部鉄器で火入れ。全部位を別々に火入れしているのだろう。モモ、内臓、胸それぞれがびったしの焼き加減だった。
実はこの店の南部鉄器をすべて納品しているメーカーが及源(オイゲン)鋳造という会社なのだが、その社長さんがこの日、対面の席でご一緒させていただいたのだ!
及川久仁子さん、彼女の会社の南部鉄器はいま、欧米やアジアで引っ張りだこだそうだ。調理用の鍋だけではなく、客席に出す皿もこの鉄器でやっているところがあるそうだ。素晴らしい!
そういえばこの日のサラダバーに出ていたご飯も南部鉄器釜で炊いたもの。
これがまた旨かった!
さて伊藤シェフから「これも食ってみて!」ときたのが子牛肉。
あまりに小さいサイズだったので子羊と間違えそうになったが、実に魅惑的、フレッシュな食感。淡いうま味、ジューシーな火入れで素晴らしかった!
この素直な筋繊維。ぷよぷよという感じ。しみ出る肉汁は透明感にあふれている。
子牛は本当に不思議な肉だ。成牛とは全く違う世界観。実は腎臓も着いていたんだけど、これがまた驚異的に美味しい。この個体、ブラウンスイスとホルの掛け合わせ、だったかな?とても美味しくいただきました。
そうこうしてるうちにホロホロ鳥生産の石黒さんも登場。この二人は、フランス大使に鍋と燻製をプレゼントする役があったそうだ。思わぬ再会に喜ぶ。
ご馳走様して出ようとしたら、ロレオールの壁に落書きが、、、
よくみたら、震災後の沿岸部への炊きだしに駆けつけたシェフ達のサインだ! あ、瓢亭たまごって書いてる。ってことは高橋義弘氏も書いてるなぁ。
あった(笑)
「あっ! やまけんさんに書いてもらってねえ!」
と気づくが時間がないのでまた今度。という、久しぶりのロレオール行きでした。
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