2012年3月 6日 from 出張
札幌駅とすすきのの中間地点を少し離れたところに、「またつ」がある。札幌で旨い魚を食いたいときに僕が行く店だ、といっても、ホクレンの寺尾さんが連れて行ってくれるのだけど。
「えっ また『またつ』でいいの?うーん、他んとこ考えてたんだけど、そんなに気に入った?」
と言われながら、三度訪れた。たった三度か、と言われるかもしれないが、一年の半分程度を方々に出張している身で、同じ店に二度行くチャンスはなかなか無いのです。出張先で三度訪問したっていうのは、僕にとってはかなりのリピート率。
しかしながら昨年末に訪れたとき、食べに行くよと電話を入れたらなんと、断られたのだ。
「今日はいい魚がまったく市場に入ってないんだよ!出せる魚がないんだ、、、」
えええ、そんなこと言わないで、、、と思ったんだが、納得できる素材がないなら仕方がない。ということであきらめた。またつで豚丼つくってくれてもよかったんだけどね(笑)
んで、今回、市場休み明けの月曜日は外し、満を持して連絡。
「いい魚あるよ!」ということで、ようやく再訪できたのである。
大将も女将さんも元気! ちなみにこの店の名前である「またつ」だが、網走にある「またつ水産」が女将の実家であることに由来する。従って、札幌の水産市場にいい魚が無くても、網走からすごくいいネタが来ることが確約されているのだ。
ただし、この素晴らしい店を堪能するためには事前予約が不可欠だ。
「一人で板場を回してるからね。飛び込みできていただいても、仕込みができてないから、料理を出すのに時間がかかっちゃうし、万全の体制で臨めないんだ」
これは仕方のないこと。その分、確実に旨い魚料理を食える!
まずはカニづくし!
実は最近、僕も甲殻類アレルギーになってしまったらしく、エビを食うとじんましんが出てのたうち回ることがある。けど、冷凍じゃないいいものなら大丈夫というケースもあるので、ここは食った。もちろん、何も出なかった!(喜)
先の貝とタラバかにの足はこの蒸し物の蒸籠の上に置き、火の通ったところでさっといただく。
刺身で食べられるせんどのかに足を、ぬくまった程度の温度で食べる。独特のタラバのぬらりとした食感、すっきりした旨味が美味しい!
そしてまたつの名刺にそのイラストが描かれている、ハッカク。
刺身にひくと、とろんとろんととろけるような舌触りに、奥行きのある風味。横の赤身はイワシ鯨。サシのない赤身なのに溶けていく!イカ刺しにはとうぜん、山わさびてんこ盛りで。
そしてこの日のメインは、、、
ニシンの塩焼き!
「このニシン、刺身で出そうかと思ったんだけど、甲殻類アレルギーとか言ってるし、体調万全でないならやめとこうとおもってね。でもね、子持ちニシンはね、焼いたのが旨いんだよ!もうホワッホワに柔らかい身と、数の子の旨いのがねぇ!」
と大将が言うとおりで、このニシンの塩焼きには心の底から驚いた!
もうね、身肉がほわっほわなんですよ!ホワッホワ。はかないほどに柔らかくて、実に繊細な味わい。小骨が多くて食べにくいけど、そんなのどうでもよくなる夢のような美味しさだ。
それと、数の子の食感の秀逸なこと!
塩蔵していない数の子を焼いたら、こんなにも素敵な食感なのか!ザリザリという塩蔵かずのことはちがい、ドリドリッという食感と言えばいいんだろうか?いや伝わらないな。とにかく「生」ということがよくわかる食感に、なによりすえていないリーンな風味。腹一杯になりつつあったのに、一匹丸ごと食べちまった!
実はこのあと、ご飯ものも用意してくれていたんだけど、満腹!そうしたら「夜食にしなよ」と、素敵なちらし寿司をつくってくれた。
これがまた、絶品、、、
大好きだよまたつさん。また札幌来たときには、旨い魚を食べさせてね!
ごちそうさまでした!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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