さて、その前に書いておかなきゃいけないこと。1月17日に出荷された「強力」ですが、東京にその肉が入荷しております。赤身肉を食べられるのは牛込神楽坂の「カルネヤ」、内蔵肉はぜーんぶ同じく神楽坂の「神楽坂しゅうご」に配送しております。どちらも要予約。「強力(ごうりき)の肉、食べたい!」と言ってくださいね。
さてさて、その強力が居なくなって寂しいであろう優男(やさおとこ)にふれあってもらうために、高知県畜産試験場へ4人のシェフ(アクアパッツァ日高シェフ、銀座レカン高良シェフ、カルネヤ高山シェフ、リストランテ大澤木村シェフ)をお連れしたのです。
ちなみにこの旅は、テレビカメラ入。実は珍しいことに僕の密着番組がつくられようとしています。
ちょうど青草を干しているところ。みな、まじまじとみつめます。
「あれ、何にするの?」「え、食べるの!?」
食材には百戦錬磨のシェフ達も、こうした畜産の現場に触れることはそんなに無いのです。あ、でもカルネヤ高山シェフはかなりの畜産通。なぜかというと、馬キチだから(笑)
さて、対面した優男がでかくなっててビックリ!
あらーーーー 11月に来たときとは、身体の充実がまったく違う!ズドッと肉がついたぁという感じだ。
みなさん、ぜひ優男に触ってやってくださいね、というと、みな最初はこわごわ、そして「あったかいね」と興味深そうに触ってくれる。
やっぱり優男は眼が優しい!可愛い顔してます。
「やっぱり相棒(強力)がいなくなってから、優男はちょっと寂しそうですよ」
と、彼らの世話をしてくれている尾石さんと松崎さんが言う。そう、牛は群れる動物であり、一緒にいた顔がいなくなると、精神的に不安定になるという。とてもデリケートな子たちなのです。
さて、強力も優男も、いっぱんに肉牛肥育で使用される配合飼料をほんの少ししか食べさせない。配合飼料は濃厚飼料とも言われ、米国産コーンの挽いたのや糟糠類などの穀物中心のカロリー満点な餌だ。それを抑えて、地元でとれる青草や乾草を中心に育てたらどうなるだろう?というのが今回の実験なのである。
上のバケツの、刻みワラの舌にある粉っぽいのが濃厚飼料。通常の肉牛に与える分のざっと1/3だ。
それに、多量のワラ。
乾草と青草。乾草は野ビエというヒエの一種で、四国地方にしか自生しない、いわば在来品種。これを食べて育ってくれれば、四国ならではの牛の味になるじゃん!というのが今回の主眼なのだ。
しかし残念ながら今回の野ビエのサイレージ(発酵飼料化)はちょっとうまくいかなかったというか、香りなどが今ひとつのらなかったとのことで、優男達の嗜好に合わなかったらしい。あんまり食ってくれないという(笑)
でも、こうした餌に含まれる香り成分は、味に影響するんですよ、と話すと、シェフたちはくんくんと香りをかいでくれた!みよこの真摯な態度!
優男と一緒にぱちり。この優男の出荷は、2月後半になります。今回はでかいから肉の量も多い。こんどは一般の方々にも食べてもらえるようにしますよ~!
つづく
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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