さあて、いよいよ料理が並ぶ時間がやってきた! とその前に、これまでの経過を見ていない人のために、つながってるエントリを時系列で並べておきます。話の流れが分からない方はこの順番でご覧あれ。要約すると、東京の4人のシェフ達が、高知県に土佐あかうしと様々な食材に出会う旅をしに来てくれたというお話しです。
さあ、先頭を切って出てきた料理は、銀座レカンの高良さんの手によるものだ!
■土佐あかうし牛すじとフルーツトマト、小夏のにこごり
あらかじめ、高知県庁の公文さん宅で煮込んでおいたすじ肉のスープにゼラチンを入れて、煮こごり風にした前菜だ。
あか牛のすじ肉は実に素性のいい、コテコテしすぎない上質なフォンがとれる。それを活かしてくれた一品になった!
お次は、リストランテ大澤の木村シェフが作った、内臓肉料理!
■ハツとフルーツトマトの低温ロースト、春菊と菜の花のソース こなすの煮浸しとカブのフリット添え、土佐ジロー全卵
美しいねぇ、、、うっとりしてしまう。 ハツの塊への火入れもお見事だ! さっきのグリーンソースは春菊と菜の花か。この青みもすべて、直売所で買ってきたもの。
「こんなすごい葉物野菜をみて、何か作りたくならないシェフなんかいませんよ!」
という気持ちをこめてくれたかのようだ。
さてお次は日高シェフによる、大物一撃!
■リブロースのタタキサラダ 柚子生姜風味 (+小夏、きんかん)
ああ、薄く切っていたリブロースはこのためのものだったんだ!
普通の黒毛和牛のA4クラスのリブロースをタタキにしたらとても脂こくて食えたものではないが、土佐あかうしの脂はすーっと溶けて消えてくれる。だから、こんな繊細な果物や葉野菜と一緒にしてもバランスがとれるのだ。
さあそして、カルネヤ高山シェフの一品!
■土佐あか牛フィレ肉のカルネクルーダ(魚醤、小夏、土佐ジロー黄身)
カルネクルーダはいわばタルタル。土佐あかうしのフィレを叩くんだからそれは旨いだろうが、ここに高知の魚醤を投入し、小夏で風味付けをし、そして池上さんとこの土佐ジロー卵でまとめている。知り得た食材をバンバン使ってくれるのが嬉しいね!
まだまだいくよ、日高シェフ!
■ハチノスのカリカリと四方竹のトマト煮
四方竹とハチノス、見た目がけっこう似てる!?ハチノスのクニョンという弾力と四方竹のコリコリ感がマッチしてる。
さあそして高良シェフがなんかすごいことしてる!?
■フィレ肉のポトフ
ええええええええええええええええええええええええ
ポトフにこんなぎっしりフィレ肉が詰め込まれたのって、みたことないよぉ!これが出てきた時には場内どよめき!
さてカルネヤ高山シェフは先ほどのハチノスを、これまた九州の味、酢モツ風にサラダ仕立てに!
■土佐あか牛ハチノスの酢モツ風サラダ エゴマとワラビ和え
その横で、日高シェフが美しき一品を仕上げてくる!
■バラ肉と菜の花、いちご、文旦のクリームソースペンネ
えー 実は私にとっては、この一皿が今回のベストです。美味しかった、、、クリームであえた文旦のほろほろ崩れる食感、加熱されたイチゴの風味は、トマトのようにペンネに寄り添ったのでした。
さて木村シェフが貝類から出汁を取っていたのが、ここに結実!
■レバーと菜の花の「天空の舞」リゾット 早摘みトマトのグリル添え
臭みの全くない、旨さしか残らないすばらしきレバーの火入れ。リゾットも力強く、地元の米をほどよいアルデンテに仕上げている。添えられたグリーンのトマトのグリルがこれまた旨い!
そして銀座レカン高良シェフの三皿目!
■ランプと葉タマネギのソテー
葉タマネギ!そう、高知はネギ科植物の葉が旨い地域なのである。ランプとの組み合わせ、美味しゅうございます。
さあそしてあの、カルネヤ高山シェフが高知のマダムをかり出して作ったニンニクヌタでマリネしたあいつがやってきた!
■土佐あか牛イチボのヌタ仕立てローストビーフ 小夏の白菜ロール添え
これ、あっというまに売り切れた!マダム達がよってたかって食べる! 「まー こんな味になるのねぇ~」 これ、ぜひ地元メニューに取り入れて欲しい!
日高シェフの4皿目!やっぱり麺が食いたいという欲望にちゃんと応えてくれる方です。
■肩ロースのしゃぶしゃぶ フレッシュトマトとほうれん草と小葱のリングイネ
さあ、この間、銀座レカン高良シェフが寝かせておいてくれた「強力」の肉が、、、出てきた!
「やまけんさんね、赤身の肉は火入れがすごくデリケートだから、こうやって焼くんだよ!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
みて下さい、ぐるぐると対流していた肉汁がやや落ち着きかけて肉の繊維にしっとりなじんだこのロゼ色!
ありがとうございました高良シェフ。貴兄のオトコに私は惚れました。ちょっと火入れしすぎて堅くなっちゃった強力の肉にガックシきてた私をみて、俺が焼いてやろうと決意していただいたその心、一生忘れません。
僕の隣で、強力を育てた尾石チーフがこの肉をひとつまみ口にほおばり、そして言った。
「ああああ、私、これなら希望がもてる!初めて食べた土佐あかうしの味ですわ。赤身の味に特徴がある!こういう方向性もあるんやと、いま初めて分かりました!」
ああ、よかった! 強力は高良シェフの力を借りて、羽を広げてくれたのだ!
いや、もう皆様に感謝。あえて一つ一つの料理の感想を述べることはしません。だって全て渾身の力作。みれば美味しいってわかりますよね。本当にこれ、事前には軽~く打ち合わせしただけだ。料理人のみなさんが触発しあい、化学反応を見せてくれた。
しかし!
実はこれ、たった3時間の出来事!飛行機に乗る時間が迫っているので、移動しなきゃ!でもその前に、シェフから一言ずつ、、、
この後、ビシッと〆るべき高知県庁の公文氏は泣いた(笑)。 さあ全員集合!
空港へ行き、僕はこの後すぐに大阪の伊丹へ飛ぶので、東京に戻る組とはお別れ。なんと、彼らが搭乗しなければならないタイミングで、NHKがこのイベントのことを放送しはじめた!
なんだよ~!と笑いながらシェフ達がご搭乗。
みなさま、本当にありがとうございました。実は帰京後、4人のシェフ達は店でさっそく土佐食材を使ってくれている。ぜひ、アクアパッツァ、銀座レカン、カルネヤ、リストランテ大澤へ足を運んでいただきたい。志の高い、すてきなシェフ達が居る。
これだから、産地とシェフの橋渡しはやめられない。これからもその関係性を築くお手伝いをしていきたいと心から思ったのだ。高知県のお世話になった皆さんにも大感謝!ありがとうございました!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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