2012年2月20日 from イベント,出張,日本の畜産を考える
さあ、高知にシェフ達を連れて行った編、最終回(の前編)だ!
土佐あかうしに関心を持ってくれていたアクアパッツァ日高シェフ、銀座レカン高良シェフ、カルネヤ高山シェフ、そしてリストランテ大澤の木村シェフの4人を高知に連れて行き、生産者や現場をみていただいた後、実際に高知食材と肉を触ってもらうという企画、二日目の朝は農産物直売所で食材をみて選びつつ、家畜市場へと足を運んだのだ。
馬好きの高山シェフは、家畜市場に違和感を感じてない模様(笑)
出場牛の名簿をみて、どんなポイントで価格が決まるのか、県の公文さんからレクチャーを受ける木村シェフだ。
そしてここで、懐かしの顔に再会!
ピースサインをしているおじさんと顔を隠してる奥さんは、このエントリの近藤ご夫妻! 実はお二人の娘さんは高知県庁の東京事務所に出向してきていて、先日呑んだのだ。その席で「あれがうちの親です(笑)うちの母さん、写真だいきらいなのに、やまけんさんよく写せましたね!」と言っておられたのだ。しかし今期愛は写ってもらえんかったぁ~(笑)
その二人の左で笑ってるおっちゃんは、このエントリの中盤にたたずむ土佐のジュリーこと澤田けんじさんである。
いやー嬉しい。お二人の牛も今日は上場されているというので、注目だ。
子牛のセリの開催に先立ち、生産者さんたちにシェフ達を代表して、日高シェフがご挨拶。
「土佐あかうしはとても美味しい牛です。ぜひみなさんどんどんいい牛を生産してください!」
と力強くお話しをしてくれた!この模様を三局のテレビカメラが追う。やっぱり、産地からみれば、東京のシェフ達が直接見に来てくれるなんてことはあまりない機会なのだ。
そしてセリの開始。子牛のセリはこのように、電光掲示板に体重が掲示される。血統などはあらかじめ配られている出場牛の名簿でチェックしているので、産まれてからの日数で体重を割り、一日にどれくらい大きくなる素質を持っている牛なのか、といったことを素早く判断し、セリ人のスタート価格から欲しいと思えば手元のボタンを押す。欲しい人が多ければセリ値が上がっていく。他にだれも押さなくなったら、取引が決まる。これを「せり上げ方式」という。逆に高い価格から下がっていく「セリ下げ方式」もあるが、この方が安値市場になる率が高いと思う。
もちろん、誰も欲しいと思わなければ開始価格から上がらない。そして、だれかが買いのボタンを押してくれたとしても、出品した生産者が前もって期待していた価格に届かなかった場合は、生産者自身が持ち帰り、ということになる。みていて切ない瞬間だ。
しかし、後で聞いたのだが、今回のセリ価格は総じてよかったらしい。「これもシェフのみなさんがいらして、太鼓判押してくれたからです!」と公文さん。よかったよかった。ちなみに先の近藤夫妻の出品牛は30万円超えの、かなりいい値で売れていた!
こうして子牛は、繁殖農家さんから肥育農家さんへと販売され、これからどでーんと太らせる「肥育」の段階が始まるのである。
さて、そんなこんなで市場でのセリをみた後、ちかくの公民館へ移動。いよいよメインイベントだ!
ご覧の通りの「調理実習室」にて、シェフ達が土佐あかうしを実際に料理する。いやー前代未聞です。でも、調理実習室としては、ガスオーブンも着いてるし、けっこういい設備だったと思う。まあしかしいきなりぶっつけ本番の施設で、鍋釜などの道具も備え付けのもので、いきなり料理をしろってのもシェフ達には大変だ! この旅中、みんな 「どうする明日?何品くらい作るの?」 などとヒソヒソ話し合っていた(笑)
そして結果、もの凄いことになるのである!
あかうしの肉は、三谷ミートから事前にオファーされていたものがどかーんと到着。
それに加えて、昨日から廻っていた生産者さん達のトマトや日向夏、そして産直市場で買い集めた野菜などが積まれる。
アクアパッツァ日高シェフが作って下さるのはなんと4品!
銀座レカンの高良シェフは
カルネヤ高山シェフは
リストランテ大澤木村シェフは
うーむ、、、 みんなすげーがんばり過ぎじゃない!? といささか不安を覚えながらも料理開始!
木村シェフがスープをとっている。
昆布と貝類でとった出汁をリゾットに使うようだ。
肉に塩を振る日高シェフ。
レカンの高良シェフが掃除しているのは、、、ああああああああ、強力の肉だ!
「ほうらヤマケンさん、右側の強力の肉と左側の通常の肉、脂の色が全然違うね!」
ほんとうだ!右の強力の肉は、脂の色が粗飼料中心のため、黄色みがかっている。ちなみに、肉の断面積が違うのは部位が違うから。右はサーロイン、左はリブロースです。高良さん、美味しく焼いてね~
カルネヤ高山シェフの周りには、地元の人たちが興味津々で集まってきていた。愛嬌あるキャラクターだからなぁ。彼が手にしているのはなんとハチノス!
通常、土佐あかうしの内臓って入手できないんだけど、今回はフレッシュなものが手に入ったのだ!
高山君の手つきをジッと見守る二人の男。ふたりとも高知市内の料理人です(笑)
「いやーマジで参考になります!」
ぜひ高知ならではの料理を展開してくれ!
それにしても日高シェフの動きが速い!誰よりも早く、皿数を作っていく!
フライパンに入った四方竹(しほうちく)は高知ならではの食材。これを水煮したものを、朝の産直市場で手に入れておられたのだ。選び方をその場にいたおばちゃんに聴きながら、、、この旅以前から思っていたことだけど、日本の有名なシェフ達の中でも日高さんて本当に人格者だ。有名な方なのに、場の雰囲気をご自分で作っていって下さる。識らない人にもドンドン話しかけてくれる。きっと気苦労は多いだろうに、本当にありがたい方です。尊敬しております、マジで。
ふと高山君のテーブルに行くと、なんと先ほどの、土佐のジュリーこと澤田さんのマダムが、すり鉢でなにやらあたっている!
「いや実はこっちで名物のにんにくの葉のぬた味噌を作ろうと思ったら、このお母さんがみてられないって手伝ってくれて、、、(笑)」
マジ!? いやもう最高! 澤田マダムがスリスリして本物のにんにくヌタ味噌が仕上がろうとしているのである。
ふうむ、と関心しながら見つめる高山君。そこへ塩麹投入。
なんと、この塩麹入りのニンニクヌタ味噌を、4つわりにしたランプ肉にまぶしてマリネ!これぞ現地の味との融合だ!
おっと、高良シェフが肉塊を、、、あ、これは強力のサーロインじゃないか!
金ぐしで内部温度を確認。すみませんホント、民生用のオーブンでやいてもらって、、、
でも腕のいいシェフはやっぱり、どういう設備でも素晴らしい料理を作れるのである。
木村シェフが、ハツの塊にローズマリーを載せて焼き始める。もちろん外側に軽く焼き目をつけるだけで、あとはオーブンへ投入。
さすがにカノビアーノ出身、野菜使いはおてのもの。
そして、レバーにも絶妙な火入れがなされました!
日高シェフの料理も着々と進んでおります!
そうこうしているうちに、高山君のさきほどのランプが焼き上がってきた!
高山シェフ、冷菜の準備にとりかかっております。
高山シェフは、次なる皿へ。「鍋物やりますよ~」 実は事前に、すじ肉を煮込んでおいてくれないかというオファーが。本番の3時間では柔らかく煮込めないからね。その下準備をしたのは、畜産課の公文氏です(笑)
旨そうなポトフの準備が進む!
木村君も、得意な野菜のソースを調整中!
日高シェフも盛りつけに入った!
さて、こうしてできた料理群は、、、次のエントリで!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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