宮崎北部から川南町へ。畜産大賞を受賞した宮崎第一ファームの直営店「ゲシュマック」のハム・ソーセージの品質は確かだ!そしてカレーが旨い、、、

2012年1月12日 from 出張

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さて宮崎県北からだんだんと宮崎市内へとルートをたどってきたこの旅もようやく終盤。口蹄疫で大変な目にあった児湯郡川南町へと入ってきた。

2010年4月に発生した口蹄疫の終息から、1年と4ヶ月が経った。その間、東日本大震災や福島第一原発の大事故など、大きな事件が多発したため、口蹄疫のショックを少し忘れてしまったという人も多いだろう。けれども宮崎県はまだ完全には、口蹄疫渦から立ち直っていない。

というのは、殺処分対象地域内の家畜(牛・豚)はすべてゼロになってしまっており、牛など肥育に25ヶ月程度かかるものは、まだその発育途上である。豚にしても、養豚業者さんが持っていた種豚はすべて殺処分したわけで、いちからやりなおしになっているわけだ。

今回訪ねたのは、その渦中であった川南町で養豚を営む宮崎第一ファーム。その直営店となるハム・ソーセージ販売の「ゲシュマック」だ。

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このゲシュマックをきりもりする山道洋平さん。お父さんが養豚をやり、その豚をひきとって加工肉にするという連係プレーだ。

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洋平さんは食肉の専門学校に進み、その後厳しい修行で有名なハムソー生産者さんのところで学ぶ。そして、本場ドイツのミュンヘンのマイスターのもとでも修行をするという、実に素晴らしい経歴をもっている。だから、このゲシュマックのレシピはドイツ仕込みなのである。

そして、この方が宮崎第一ファームを営む、山道義孝さん。

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じつはこの宮崎第一ファームの養豚経営は、畜産の世界ではかなり有名。天皇杯や畜産大賞といった賞を受賞されている。

しかし、口蹄疫によって全ての母豚・肉豚を殺処分し、埋却することになってしまった!

「正直、先が見えませんでした、、、せっかくいろんな賞もいただいていたのですが、、、でも、そこから補償の話も出てきて、なんとかやり直そうという気になって、頑張ってやってきました。まだ今日お出しする肉は100%というわけじゃありません。母豚と種豚を変えざるをえなかったので、私の目指す味ではないんですが、水準以上ではあると思いますので、どうぞ召し上がって下さい」

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さあ出てくる出てくるハムとソーセージ類! やはり養豚と食肉加工を切り離すことはできない。消費者はあまり想像できないだろうが、食卓に上るいわゆる「テーブルミート」としてより、豚肉は圧倒的にハム・ソーセージといった加工肉になる割合の方が多い。もともと日本で主流の豚肉はハムソーに向いた肉質の豚なのである。

でも、それじゃあどんなハムソーが流通しているかといえば、ひどいものだ。ドイツで始まった、保存食としてのハム・ソーセージ、フレッシュな味、熟成された味を楽しむものとは違い、冷凍肉にいろんな添加物を加え、味も香りも風味もすべて人工的な調味料でつけたものばかりが跋扈している。

そんな状態に辟易している舌に、このゲシュマックのハム・ソーセージの味はビビッとしびれた!

本物だぞ、おい!

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ソーセージに詰められた、ふわふわに乳化した豚肉の舌触り。これは、冷凍肉を練り肉にしたものからはぜったいに生まれない!素晴らしい!

レバーペーストも絶品。ここの豚は佳い育てられ方をしているようだ。

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いや素晴らしい技術ですよ!と洋平さんにお伝えする。ホント、ここのウインナーと市販の安いウインナーを食べ比べてみて欲しいものだ。並べて食えばすぐにわかると思うぞ。ゲシュマックのソーセージには余分なものが入っておらず、豚肉の味とその健全な細胞の舌触りでできているということが。

これはねぇ、餌がポイントなんですよ、と義孝さんが仰る。

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「うちではコーンをほとんど豚にやりません。マイロ(コーリャン)を中心に、麦、焼酎醗酵カスなどを与えています。マイロをやると、旨みのある肉になるんです。コーン中心だと匂いが出て、いやなんです」

おお、マイロ中心ですか!それほど安くない原料だけに、マイロ中心とは恐れ入りました。

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このスペシャル配合を与えて育てた豚が、「あじ豚」というブランド名で売り出しているものだ。ただし、先述のとおり、今そだてている豚は、まだ100%ではないということだった。この訪問は3ヶ月前のものなので、いっそうチューニングが進んでいるものと思う。

実際、この日いただいた豚肉で、ハム・ソーセージ類は極めてハイレベルで美味しいと思ったのだが、豚肉料理をいただいたものについてはまだ、味の乗りが万全ではないと思ったものもあった。

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あじ豚のしゃぶしゃぶ。

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端麗な味わい、、、端麗はいいのだが、味の押しだしが少し足りないと感じた。

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スペアリブのローストも、またしかり。とてもフレッシュな肉なので、ブリンブリンの食感はよいのだが、深みがまだ出ていない感じだ。

そして、とんかつ。

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食感から、素直に育ってきた豚だということが分かる。

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実に健やかに育った肉なんだなぁ、と思う反面、やはりテーブルミートとしてのポテンシャルは少し落ちていると感じたのだ。全体的にすこし早出しする傾向にあるのだろうと思う。肉の味わい自体はもう少し乗せた方が、旨みも醸成されるはずだ。マイロにはそういう、遊離アミノ酸を増す力があるという風に、飼料メーカーの柏田君からも聴いている。

いやでももちろん、それは重箱の隅の話だ。全般的に観れば高品質な肉である。ただ、僕の琴線に触れたのはハム・ソーセージ類だったということ。ハムソーは圧倒的に、肉の鮮度や細胞の健全さ、保水性などが重要な世界だ。このあじ豚は、原料豚としては超・一級品なのだと思う。そうじゃなきゃあんなに清浄な味わいのハムソーはできないだろう。

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直売コーナーは大繁盛。養豚経営をしていて、こうやって店舗売りでかなりの量を売ってしまえるというのはすごいことだ。

僕もいろいろ買ってしまった!

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でも、写真にとらなかったのだけれども、、、ここの豚肉カレーが実に最高。スペアリブだったか、すじ肉までトロトロに煮込んだ塊がはいった、レトルトではなくポリパッケージに入ったもの。それほど期待していなかったのだが、帰って温めて食べてビックリ!旨い!今度行ったら10パック買う!

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ゲシュマックの製品も、フーデリー店頭で買えるはずだ。宮崎在住で川南まで足を運べない人はぜひ覗いてみて欲しい。

さて、そんなわけで長かった宮崎県北ツアー終了! 宮田リエちゃん、本当に先導してくれてありがとうございました。大感謝!

そして今年も宮崎とは深く深~くつきあうことになりました。頑張ろう宮崎!