2011年11月11日 from
伊勢うどんの「山口屋」にて、天ぷら・牛肉・お麩・かまぼこを載せた「ごちゃいせうどん」を美味しくいただく。県の平野さんが「おかげ横町の茶処で、在来茶を出す店があるんです」というので、ぜひ行こうということに。
おかげ横町は伊勢神宮参拝客で賑わう門前の横町だが、そのど真ん中ではなく駐車場に隣接したところに、「伊勢茶処」というのがある。
店の目つきの鋭いお母ちゃんが「うちのお茶は全部在来種のお茶なんです」という。つまりヤブキタやオオムネといったポピュラーな品種ではないということだ。
在来の茶ということは、その親木は数十年を経ているはずだ。はたして、樹齢100年の茶というのもあった。日本の果樹や茶は、20年くらいで改植してしまうことが多い。長く植えると生産性が落ちるからだが、味的には長い方が枯れて自然なうまさが出てくる。
ヨーロッパでもリンゴなどの果樹は長く植えた木の方がよいとされる。日本はそうではない。残念。
さてこの樹齢100年のお茶、実にいい味わい。静岡のやぶきた茶のようにアミノ酸が濃いうまさではなく、どこまでも軽く深い味わい。これもまたよい茶だと思った。
茶を煎れて応対してくれた岡田さんというお母ちゃんが実にいい感じ。「わたしらはもう、やぶきたとかのお茶は美味しいと思えないんです。化学調味料みたいな味がするし、、、でも、うちのお茶の自然な味は、なかなかわかって
もらえません」という。現代人が呑むPETドリンク茶はキリン生茶など筆頭に、アミノ酸の強い味づくりをしているから、それになれてしまい、濃い旨みに慣れてしまっているのだ。けど、牛乳なんかでもそうだが、本当に自然状態に近いものは淡い味がする。放牧酪農の牛乳しかり、グラスフェッドの肉しかり。濃いのがいいことという観念は
間違いだ。
さて、もうひとつ、釜煎り茶があるというのでいただいてみた。九州では「グリ茶」と呼ばれる釜煎り茶。かと思ったらちょっと違うという。これも在来の茶を、収穫後に手でもみ、天日干しにして煎ったものだという。え、生茶葉を手もみして乾燥するって、それは中国の半発酵茶と同じでは?はたしてそうだった!
茶葉は発酵して茶色になっている。
熱湯で煎れるという、そうだろう発酵茶だからね。ほうじ茶のごとき茶色、口に含むと控えめな、しかしあきらかに花のような香り。半発酵茶である。飲み終わった後の茶器から香ってくる残り香が実に美しい。感動してしまいました。おかげ横町、駐車場に名店ありだ。
そして車は一路、あのり漁協へと向かっている。
(10月19日のエントリに写真を追加してアップしています)
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