2011年11月 1日 from 出張
伊勢うどん、は非常に特殊なうどんだ、、、ということはもう皆さんご存じだろうが、長時間やわらかく茹でて膨満になった太いうどん麺の下に、たまり醤油のようにとろりとした甘辛いタレが敷いてある。これを混ぜていただくわけだが、本当にこれは三重県の、伊勢周辺でしか食べられていない特殊な郷土の味である。
「まあ三重に来ていただいたわけですから、まずは伊勢うどんかと。わたしが高校の頃からあった店ですから、老舗ですし美味しいと思います」
と、三重県庁のバイオトレジャー事業担当・平野女史が連れて行ってくれたのだ。
いや、この店構えが激シブにいいぜ!
店内、やる気なさそうなお母ちゃん。まだ早かったので閑散としていたが、この後ぐぐぐっと客が入ってくる。
ここの名物は「ごちゃいせうどん」。煮しめた牛肉、お麩、かまぼこにエビ天が載っているという豪華版だ。
しかしその横には、郷土食膳という限定20食メニューがある。こちらは普通の伊勢うどんに手コネ寿司、さめのたれ付き。ちなみに「さめのたれ」はサメの干物のこと。ここのはみりん干しのようだ。
うーん ごちゃいせも食いたいし、郷土食膳も気になる。ならば、、、
こういう場合僕は「どっちも」ということになる。お母ちゃんに「ごちゃいせで郷土食膳お願い!」というと、すんなり「いいよ」とのこと。
手コネ寿司は、まあなんてこたあない手コネ寿司です(笑)
んで、こちらがサメのタレ。
このサメのタレが実に美味しい。サメは独特の食感と風味があるが、まだこのサメは鮮度がいい方だ。鮮度が落ちてくるとサメの身はアンモニアを出し、長期保存できるようになるのだが、ちょっと匂いがきつくなる。このサメのタレはそこまで鮮度が悪くないので、美味しいね。みりん干しバージョンのタレだが、気に入った。
さあそして主役の伊勢うどん。
頼んでみて思ったんだけど、、、具は要らなかったな(笑) いせうどんはやっぱり、うどんを楽しむものなんだと思った。
ぶわんぶわんに膨満になったうどんめんは柔らかで優しい食感。食べ出してすぐ、身体の芯からぽかぽかしてくる。ここのうどんタレはほどよく甘辛で、まとわりつくようなくどさがなくていい感じ。うん、美味しいね!
牛肉の甘辛くしたヤツは、強い味なので伊勢うどんにもマッチ。しかしエビ天はいらんかったなぁ。自分の未明を恥じる。そういえば後から入ってきた、常連風の人たちはみな伊勢うどんそのままのものを啜っていた。
しかし、驚いたのはやっぱり伊勢うどんはこの辺では「普通に食べるもの」だったということだ!この店も繁盛していたが、後でスーパーに立ち寄り、うどんコーナーを観たら、一番大きなフェースに伊勢うどんが積まれている!それも、3アイテムくらい並んでいるのだ。
しかもそれを呆然とみていたら、僕の横からおばちゃんがささっとその伊勢うどんを2つ持っていく! む、おばちゃん、横に売ってる伊勢うどんのタレは買わない。ということは、どうやって食ってるんだ!? と思って即行動。
「お母ちゃん、ちょっと訊いていい?その伊勢うどん、家でタレはどうしてるの?俺も買いたいんだけど、、、」
というと、ニカッと笑ってお母ちゃん教えてくれた。
「あのね、伊勢うどんのツユはミエマンっていう会社のが美味しいから!それこうてかえんなさい」
そうなんだね~、ありがとう!
さて、買って帰りましたこの伊勢うどん。手前はなんと三重県産の小麦100%使用の伊勢うどん。実に意欲作だ。右にあるのがこの辺で最も売れてる伊勢うどんで「みなみ製麺」のもの。左のタレはミエマンだ。
ただなぁ、ミエマンに限らず、棚に並んでいるいせうどんのタレをすべて観てみたが、どれもカラメルで色を付け、アミノ酸で味を付けたものばかり。うーん、、、もう少しまともなのが欲しいところだが、、、
で、お味の方だが、、、 意外や意外、しっかり伊勢うどんだ(笑)!伊勢うどんの玉二種はどちらも違う味わい。三重県産小麦使用のほうはやや輪郭のしっかりした麺で、みなみ製麺は腰が砕けそうにやわらかふんわりタイプ。一般的にはみなみ製麺が人気だろう、それもよくわかる。けど俺は、地元産率高いものを応援したいですね。
ということで、うどんが食いたくなってきたぜ!
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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