ハワイ島コナコーヒーを巡る旅 97年度カッピングコンテストチャンピオン農園 「ダカイン」 の自然派コーヒーに大いに共感する!

2011年10月18日 from 出張

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さてオアフ島にはほんの一泊で、朝からハワイ島へ移動だ。今回の旅の目的の一つが、コナコーヒーのハイグレードな小規模農園を廻ると言うことにある。この旅に連れてきてくれた村岡さんは、レタス巻き元祖の一平寿司だけではなく、宮崎でコーヒーチェーンを経営する人だ。彼がコナコーヒーの世界で信用する、コーヒー専門流通業者でもあるヤスさんが案内をしてくれるということになっているのだ。

ハワイ島は火山活動の痕跡がそのままに残っているような島で、至る所に溶岩が露出している。荒涼とした風景と言えなくもないが、でもそれがまた自然の味わいという風になっている。

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ヤスさんがキュキュッと車をカーブさせ駐車場へ停まる。スーパーマーケットかと思いきや、なんとここがコーヒーの農園直売施設。

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店内に入るとカフェのようなしつらえで、実際にここでコーヒーを飲むことができるわけだけども、ここを運営しているのはコーヒー農園なのだ。

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だから店内には、自分の農園のコーヒー製品のディスプレイがなされている。

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これをみて、なんだか僕は二年前に、今和泉さんご夫妻に連れて行ってもらったナパ・ソノマのワイナリー巡りを思い出してしまった。大小さまざまなワイン醸造元があり、それぞれがテイスティング施設を持って、販売もしている。コナコーヒーもそんな感じで、こうやって農場みずからが小売をしているわけだ。_D700423

「そもそも、コナには600以上の農園があるんですよ。」 とヤスさん。

ええ、そんなに?とはいってももちろん、みんなが大規模農園ではなく、大中小入り交じっている。経営形態も様々で、自分のブランドで売るところもあるし、全部卸売りしてしまうところだってある。ヤスさんは、それだけ有象無象あるコナコーヒーの世界にズポッとはまってしまい、自分の車で曲がりくねった山道を走り、自分の豆を売りたいと願い、技術をもってよい豆を生産する農家と出会ってきた。その中でも、実力のある人たちのところへ連れて行ってくれるというのだ。

その一軒目が農場「DAKINE(ダカイン)」だ。

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小高い山の上、黄色い看板。ここは、もともと地質学者だったテリー・フィッツジェラルドさんが住み着いて、コーヒー農園を営んでいる農場だ。ヤスさんにとってのコナコーヒーの人生が始まった、記念すべき農場だそうだ。

「あのですね、テリーはなんというか、とっても自然体な人です。ヒッピーみたいな感じなんだけど、、、でも、彼の作るコーヒーは本当に個性的で、美味しいんです。」_D700610

という解説を聞きながら、僕は初めてといってよい、コーヒーの樹との対面を迎えていた。

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熱帯植物であるコーヒーの樹にこうやってきちんと向き合うのは初めてのことだ。中学生の頃、プロレス・スーパースター列伝という漫画に夢中だったのだが、その中でアントニオ猪木が、故郷のブラジルでコーヒー豆の収穫をする過酷な労働をしていたというエピソードがあったが、コーヒーのことを考えるといつもあれが思い浮かんでしまう(苦笑)

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テリーの自宅は巨大なツリーハウス兼工場という感じで、周りの環境に完全に溶け込んでいた。

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ここに、ご夫婦と息子さんで暮らしている。奥さんは中国の方だそうで、テリーがアジアで農業指導をしている時に知り合ったそうだ。年の差じつに30歳程度?

それにしても、テリー・フェッツジェラルド氏の魅力的なたたずまいといったら、なかった!

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顔を見ればもうわかるだろう、気さくで、壁のない人物なのだ。ヤスさんは家族のように迎えられていた。

「まあ、コーヒー飲みなよ」

と煎れてくれたダカインのミディアムローストコーヒー。

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これが、最初にして最良の一杯となった! なんとすっきりしていて、しかもパワーのある味!酸味はそれほど強くないが、強い個性を感じる味だ。 じつに旨い。

「自由に工程をみてよ。僕の息子が見せたいっていってるから」

と、テリーの愛息子がエヘンと胸を張りながら、案内してくれた。

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ちなみに村岡さんはすでにダカインに来たことがあるので、おなじみだ。

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農場内には千本以上のコーヒーが植えられていて、収穫は家族と雇用労働者で行う。

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この赤く熟したのがコーヒー豆だ。この甘い果汁をもつ実を噛んでみると、、、

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中から、コーヒー豆の本体が現れる。

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この時点では、コーヒー豆には味はない。焙煎することでしか風味は生まれてこないわけで、どんな経緯でコーヒーが人類に「発見」されたのか、非常に興味深い。

赤くなった実から、収穫が始まる。コーヒー豆の収穫は機械化されているケースも多いが、ここでは手摘みだ。

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プロの手つきは実に早くて、熟したものだけズバッズバッと収穫していく。

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こうして収穫された実から、コーヒー豆の部分を取り出すことを精製というそうだ。

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この機械に投入すると、実と豆が分離されて出てくる。脱穀機のような感じだな。本当は、この精製の方式には三種類あって、ナチュラルとかウォッシュとかいうのだけれど、ダカインがどの方法をとっているのか忘れてしまった。失礼。あとで確認できたら書き直します。

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下の写真が、実のまわりの部分が排出されたところ。これは有機物として農園の土に戻される。

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分離された豆は天日乾燥。

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「いやぁ、豆がデカイよねぇ」

と感心している村岡さん。通常の農園よりも粒が大きいということらしい。

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ところで、通常のコーヒーの実には、下の写真の右側のように二つに分かれた豆が内包されている。しかし、生育の段階でなんらかの作用があったとき、左側のように一つにくっついた状態の豆ができる。これをピーベリーと呼ぶそうだ。独特の風味のコーヒーができて、珍重されているという。

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コーヒー乾燥スペースは、彼の格好の遊び場となっているらしい(笑)

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再び戻り、テリーさんの話をいろいろ聴く。いま彼らが取り組もうとしているのは、自前で焙煎をして販売すること。現時点では、ローストは外部に委託している。奥さんがしきりに「日本メーカーの焙煎機はいくらくらいなの?」という質問をヤスさんにしていた。

やはり自分らの思うようなローストができる環境を持ちたいというのは、自然なことなのだろう。

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それにしても旨いコーヒーだった、、、

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お礼を言って、ここを去ろうとするのだけれども、なぜか息子クンがうちの嫁さんを気に入ってしまったらしく、足にかじりついて離れない。

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お父さんに押さえられる(笑) 遊び相手いないのかなぁ、と不憫に思ってたら、うちの嫁さんが 「ううん、すっごくいっぱい友達いるみたいだよ。学校行ってるっていってたし」とのこと(笑)

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それにしても、ここダカインの農場の雰囲気とコーヒーの味にはびっくりした。端的に言えば好みのコーヒーだ。インパクトが強いわけではなく、「ずーっと飲み続けられる味」。それはもちろん、テリーがおくびにも出さない、生産技術の追求の果てにたどりついたものなのだと思う。

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「さて、それでは次に2010年のカッピングコンテスト優勝者の農園にいきますよ!」

ヤスさんの声がかかる。コナコーヒーの旅は始まったばかりだ。

■撮影データ
カメラボディ: ニコンD700
レンズ: タムロン 28-75mmF2.8