【完全版アップ】大阪・心斎橋のフレンチレストラン「ドゥ・アッシュ」にて国産丸をいただく! 中田シェフはもちろんイケメンでもあるのだけれども、それ以上に骨太の料理人であった!店のホスピタリティに思わず惚れそうになった昼。

2011年7月22日 from 出張,日本の畜産を考える

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京都で放牧関連の研究会に参加するのと、きたやま南山での国産丸を食べる会へ参加するために移動。どうせならその前に、同じく国産丸を仕入れてくれた大阪は心斎橋のドゥ・アッシュにいこうと思っていたのだ。

ちなみに僕は地理がかなりいいかげんで、いまだに日本海側の各県の並びがよく思い出せないくらいなんだが、今回も「あー 京都に行く途中だから大阪に寄っていこう」と思ったんだけど、東京から行くと大阪は京都より先にあるんだった!あー、遠回りしたんだなと思いながらいそぎ心斎橋へ向かったのであった。

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ドゥ・アッシュとの出会いは、辻調グループ校の卒業生向け冊子の対談企画だ。ドライエージングビーフ(DAB)についての対談を載せたいということで、さの萬さんのDABをこの店で調理してもらい、食べながら対談するということだった。

「ドゥ・アッシュ、、、聴いたことあるなぁ」

と思って調べてみたら、ビンゴ!日経レストランのシェフコンテスト企画で、スッポンのハンバーグという意表を突く料理で見事優勝していたのがこの店の中田シェフ。その記事を読んでいたので記憶に残っていたのだ。

大阪にいる友人に聴いたら「ん?ドゥ・アッシュ?ちょっとビジュアル系のマダムが集まる店やろ?」という反応だったので、そうなのかぁ?と思ったのだけれども、実際に足を運んでみたら実にがしっとした料理を出してくれる店だった。とにかく肉焼きは非常に上手なシェフで、技術的に難しいDABの火入れをきっちり旨くこなしていたのだ。以来、赤肉サミットにも来てもらえて、さちの肉まで買ってもらっていた。今回も国産丸を買っていただいたので、これはぜひ行かないとネ!という感じだったのである!

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店内に入るとスタッフの人達がニコッとしながら「特別席です」と言ってバーカウンターに座らせてくれる。さんさんと陽光降り注ぐテーブル席がメインスペースなんだけども、僕が写真を撮りやすいように配慮してくれたようだ。遠慮無くばんばんフラッシュを使わせてもらうことにした(笑)

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プルーンのお酢をベースにしたアペリティフ。酸味もすっきり美味しい。しかしこの席にいると、支配人さんがサーブしてくれてしまうので、ちょっと緊張!でも、作業のために通るスタッフの皆さんが「国産丸のお肉、ホントに美味しかったです!」などフレンドリーに話してくれるのでものすごく居心地が佳かった!

前菜三種。この店の前菜はどれも凝っていて、しかもきっちり地域食材を入れ込んでくれる。

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上が宮崎産ゴールドラッシュの焼きトウモロコシとアイスクリーム仕立てのポタージュ。

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この時期、大阪の市場でもゴールドラッシュは宮崎産が強いらしい。アイスクリーム仕立てのゴールドラッシュは滑らかに甘く、スーパースイート種のトウモロコシ特有の糖分を活かしている。その横に添えられたつぶつぶの蒸し焼きコーンを噛むと、歯触りのプチッと感を思い出すという仕掛けだ。

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このキッシュはなんと岩手県花巻市からの山菜を焼き込んでいる!

「当店でもできることから応援を、と思いまして、、、」と支配人さんがおっしゃるのを聴いて納得。バーカウンターに、なぜか岩泉町の「龍泉洞の水」やら、大七酒造の純米酒などが置いてあるのだけど、これは被災地応援だったわけだ!

「龍泉洞のお水は、お客様に持って帰っていただいてるんです。とってもお喜びになられます」

いやいやこれは岩泉町も喜びますよ。よく知る産地だけに、大阪でこんな応援をしてくれていることに感謝。そして、キッシュには青ミズまで入っており、しっかりと塩を効かせたおかず味で美味しい!

そして、感動しちゃったのがこの前菜なんだよなぁ。

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ソテーしたフォアグラの上に載ってるのは、、、そう、鰻である!

「土用の丑の日ですから、、、今日のまかないもおそらく鰻です」とおっしゃる!マジ?まかない食いてぇ!

この一品がですなぁ、実によかった。鰻にフォアグラまで必要だったかどうかはともかく、この鰻、じんわり脂が浮き出していて、関西だけれども地焼きではなく蒸し上げた感じ。そして、皮目を中に巻き込んで、片側の身をカリンカリンに焼き付けている!

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この部分のパリ感があたかもバリッと火をあてた皮目のよう、いやそれよりもっとバリバリしていて、クリスピー感が心地よい。これは逆に直火ではここまで仕上げるのが難しい。フライパンに押しつけて焼き上げるからこそ出来る、デフォルメされたクリスピーなのだ。そして、写真では背後に隠れちゃったけども、マンゴーソースとの相性もよし。小品だけれどもこの鰻にはちょっと心動かされてしまった。

「次はイカそうめんです」

と言うので、ウソだろと思っていたら、本当にイカそうめんが出てきた!

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剣先イカとそうめんカボチャのガスパチョそうめんだ!

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ガスパチョにはニンニクが入らない上品な仕上げ。

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なかなか楽しいことしてくれるよね!

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しかもナイフ・フォークじゃなくて、箸が出てきた(笑)

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フレンチなのにずるずると啜らせていただきました(笑)

さて、満を持して国産丸の肉である!

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今回、中田シェフが最初に顔を出して話した際に言っていたのが「国産丸のオスっぽい強さを活かすには、柔らかな火入れよりもガンッと強く火を入れて、肉汁も対流するような感じで出したいんです。」ということ。おお、これは小池君とも同じような考え方だ!

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相変わらず見事な火入れです。で、このような肉の場合、みなさんならどういうふうにナイフを入れますか?もちろん僕は脂から縦にすーっと刃を入れます。それを観ていた支配人さん、

「やっぱり! お客様が脂を残そうとされることが多いので、私たちも『くどくないので、ぜひ脂つきで召し上がってください』とお話ししています。」

とのこと。そう、今回の国産丸は脂が実によい感じ。くどさはゼロ、さちの時よりもあっさりしてまろやかな味がある。バリバリの小池君は「黒毛っぽい」と言っていたのだけれども、僕はそこはあまり感じなかったのだ。国産丸の脂はかなり、いける。

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ご覧の通り繊維が太いので、ガシッとしたかみ応え有り。噛むと肉汁が染み出てきて、ほどよく入った脂も溶けだして鼻と舌を刺激してくれる。うん、狙い通りです。中田君、ありがとう!

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「赤肉サミット、行けるのは嬉しいんですけど、周りが凄いシェフばっかりなので本当に緊張するんですよ、、、」

いやいや、君もイケテルから頑張って!

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ちなみにこの店のシェフパティシエさんは、先頃開催された日経レストランのメニューグランプリで準優勝したそうだ。優秀な血統(系統?)ですな。

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それにしてもスタッフの皆さんが実に素晴らしかった。仕入れた地域食材はすべて必ずサービススタッフもしっかり食べて食材の知識を仕込む。普通のこと、だけども、それをしっかり出来るところはそう多くない。途中、奥のテーブルに説明でもっていく持っていく大阪なにわ野菜の毛馬キュウリを皿にだしていたので、素材についてしらばっくれていろいろ尋ねると、きちんとした説明をしてくれた。

それに、やっぱり思うのだけれども、大阪って東京の飲食店よりぐんと安い。僕は「日本の食は安すぎる」を書いている立場なのであまり安いということを訴求したくないのだけれども(笑)、でもこの店のコースは安い。今度しっかり、スッポンのハンバーグを食べられるデグスタシオンのコースを食べに来ようと思う。

皆さんに別れを告げ、心斎橋駅に向かって歩き始める。しばらくすると後ろから「やまけんさーーーーん!」と言う声が。なぬ?と思って振り返ると、写真右のサービススタッフの片山ちゃんが走ってきて「このお水、持っていってください!」と龍泉洞の水を。その光景が映画のワンシーンのようで、思わずガッとその腕をつかんでこのまま連れて行っちゃおうかと思ったんだが、なんとか抑制しつつ京都に向かったのである。

PS 京都に向かった、、、は、正しくは「その後、阪急三番街にてインデアンカレーのレギュラーピクルス大盛りを食べて、京都に向かった」というのが真実です(笑)