2011年6月21日 from 出張
宮崎の旨い店情報を教えてくれるソースは無数にあるのだけれども、なかでも稀代の食欲王である宮田タケトラは、僕の志向にビシッと合う店に連れて行ってくれることが多い。フーデリーという宮崎県内最強の高級スーパーを展開している彼の店に行くと、僕も大好きな商品ばかりが並んでいてデジャヴのような感覚を覚える。ほんとうに好みが似ているのだ。
その彼が「やまけんさん、ここイチオシなんですよ!実家が漁師だから、いつも新鮮な魚が来る店なんですけど、魚以外の料理も旨いッス」と言うのだ。それは旨いんだろうなぁ、ぜひ行こうじゃないですか!
ビルの5階にある「のみくい家 たけ」がその店だ。
店の前には活けエビや魚が無造作に!
すでに常連の宮田夫妻と一緒なので店の写真も撮りやすい。この店、このチャーミングな姉妹が切り盛りしている。
ビックリしたのは、出てくる料理がすべてきっちり美味しい!というとあまりに普通の言い方だけれども、けっこうどうでもいい居酒屋でよく出くわす甘くて緩い味付けではなく、綺麗に輪郭が整った、素材感を活かした抑制の効いたほどよい味付け。
でもそれだと宮田タケトラ的ガッツリ男の食欲を満たすことはできぬ。上質な技術で、洋風なガッツリメニューを出してくれるというのもここの魅力なのだ。
突き出しの、イカの沖漬けとフライ(具はワスレタ、、、)。突き出しに揚げ物が出てくるのがにくい。
宮崎の盛りのトマトとオニオンのバジル風味サラダ。
そして待ってましたのお造り。
実はこの日は風が強く、シケが続いて漁ができず、いい魚がないという。しかし、出てきた魚はすべてハイクオリティ。だったら、ベストコンディションの日はどんなお造りがでるのか、ドキドキである。
畜産の飼料業者をいとなむK氏が悶絶して喜んだのが、この小さなイカを串焼きにしたもの。
ぷりんぷりんくにんくにんという食感が心地よく、甘辛いタレの風味が酒を誘う、、、
そしてクライマックスは、このドミグラスソースのかかったコロッケ!
これが最高に旨かった、、、
完成度の高い、あっさりしていながら十分にコクのあるドミソース。宮崎恐るべしである。
しかし、ほんとうの感動はこの後に待っていた。
これ、「あくまき」の揚げ出しである。あくまきとは、南九州で食べられる郷土食で、餅米をちまきのように竹の皮などで巻いたものを、なんと灰汁(アク)で煮て餅化するというものだ。竹皮を剥くと餅米が灰色っぽいなんともいえない色に染まり、しかも強アルカリの液体で煮るわけだから、温泉の硫黄臭を10倍くらいに濃くしたような香りがまわりに満ちる。食べてもやっぱり硫黄っぽい香りがするけど、これが不思議と旨い。ふつうはきなことか蜜とかかけて甘く食べるものだ。
そのあくまきを、なんと粉を振ってからりと揚げ、熱い出汁で揚げ出しにしている。もちろんしょっぱい味付け。
「えっ 俺宮崎県人だけど、こんな食べ方初めてだよ!」とタケトラも驚く。この料理が実に絶品。あくまきの新しい食べ方、これはスゴイ!
ということで、久々に宮崎で再訪したい店ができた。また行きたい!できれば時化てない海の日にネ。
ちなみにこの店のいいところは、すぐよこのビルが「スナック美和」の入ってるビルであることだ。
当然この日も、美和ママに癒されたのでした。
そして翌日、くまもとあか牛を巡る旅に出たのである。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
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