国産丸の出荷 お別れののち、新しい命である「いなほ」が食べる牧野の放射線量を測りに行った。

2011年6月 8日 from 出張,日本の畜産を考える

 

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月曜日、二戸に到着すると、私服姿の杉澤君が待っていてくれた。

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二戸市浄法寺支所の畜産担当をずーっとやってきた彼は、この春から二戸駅に隣接した役所の部屋で商工観光課に異動となった。残念だけど、彼の仕事が「生産」から「普及・振興」に移っていく訳で、本質的には変わらない。これからもヨロシクね。

しばらくのち、久慈市山形村から、国産丸を育ててくれた柿木君が到着。

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遠回りしたんでねぇの?と訊くと「うんにゃ、雫石で開催されてた市場に出荷してから来たんだよ」 えええ、久慈市から雫石にいって、そんで二戸?それは重労働だ、ほんとにお手数かけました。

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国産丸は750キロくらいにはなっているとのこと。運搬車には彼一頭だけが残っていた。

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道々いろんなことを話す。中でも話題は放射能のこと。南風が吹いてくる時期になったので心配ではある。しばらく前に盛岡管内のある地点で放射性物質が観測されたのだけれども、その後は数値は低く落ち着いているという。それで、実は今回の大きな目的として「線量を測る」というのがあった。このために、ガイガーカウンターを入手した。親友のカガヤが知り合いになったというとある代理店さんから、ウクライナのTERRA社の製品を割安で購入させていただくことになったのだ。

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二戸駅前はこんな感じ。都内の江東区より低いですね。

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山形村の短角が出荷されている大地を守る会でもきちんと線量を計測した上でないと出回らないようにしたらしい。それにしても皮肉な話だ。カッキーがつぶやく。

「いままで俺たちは国産飼料を100%食べさせているから、安心してくださいと言ってきたのに、今回の話はそれをぶちこわしにしちゃったんだよ」

本当にそうだよな!輸入飼料だから安心、ということにならないようにも、きちんと測るべきは測る。基準値以上なら消費者の口に入らぬように廃棄、生産・流通関係者には損害をきちんと賠償というスキームはきちんと出来なければならないと思う。「第一次産業ばかり補償されてずるい」という人がいるようだけど、第一次産業はたべものを作る産業なのだから、他産業と同列に考えられてはいけないものだと思う。そもそも矛を向ける先はそもそも事故を起こした側であるべきなんだから。

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と畜・解体をしてくれるスターゼンに到着。登録証という、牛の戸籍謄本にあたるものを提出。

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事務所にて、と畜申請書を書く。

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10桁の個体識別番号、生産者の住所など、そして「何を食べさせたか」の概略。これで受け渡しの書類が完了。

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と畜前に牛を係留する場所へトラックを着け、国産丸をおろす。

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国産丸は、朝から長距離のトラックに乗らされてきたので、すっかり疲れてしまって座り込んでいた。住まなかったなぁ、、、

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不思議なもので、さちの出荷の際には涙が出そうだったけれども、今回は心が静かだ。国産丸の半身分は、被災地の人たちに食べてもらうごちそうになる。君の美味しさで、被災地の人たちに少しでも力をあげてください。

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ありがとう、国産丸。柿木君、100%国産飼料で彼を育ててくれてありがとう。

昨年に引き続き、国産丸のロース意外の部位を7月上旬に、焼き肉セットとしてお届け予定です。今回は150セット程度になると思います。飲食店さんで希望部位があれば連絡をくださいね。

そして我々は、牧野に登ったのである。(つづく)