2011年6月28日 from 出張
この視察ツアーでは、夕食はリザーブされているけれども、朝・昼飯はそのときに応じて各自がセレクトする。昼は視察ツアーのバスで移動中なので基本的にはFIXなので、事実上、フリーで食べるのは朝飯となる。だから朝に何を食べるかは非常に重要!
三日目の朝、ロビーで宮田タケトラと顔を合わすと、にひひひひという顔で言うのだ。
「あのですね、朝から本番的な店に行っちゃいませんか? 分厚いパストラミはさみまくりの”カッツ”という店で喰って、そこから数ブロック歩いたところにピクルス専門店があったりして、楽しそうなんですよ。」
え、マジ? 朝からパストラミサンドなんて、、、そんな肉っぽいもの、、、 全然入るぜ! ということでタクシーを拾って移動。
”KATZ’S That’s All! ” というキャッチが実にカッコイイではないか!空も晴れて雲がダイナミック、実に最高な朝である。この店は最初、店内に入る際にチケットを渡される。このチケットに、カウンターで注文した時にその内容を書き込んでもらい、最後にチェックアウトして出るというシステムだ。チケットを無くしたらズボン脱がされて調べられる、そうだ(笑)
この写真むかって右側の一列のテーブルは、ウエイターがフルサービスをしてくれる。左の二列はセルフで、自分でカウンターにいってほしいものを注文するという仕組み。
メニューには色々と興味いや食欲をそそる品書きだらけだ。主役のパストラミサンドウィッチ(一番右上)はバンズがライブレッドで15.75ドル。それなりの価格だね。本格的なコーンドビーフもすごく好きなんだけど、「パストラミはコーンドビーフのまわりに胡椒をつけたものですよ」ということで、この店の売りであるパストラミを選ぶ。
しかしよく見るとその隣列下にあるREUBEN SANDWICHというやつをみると、パストラミ50EXTRAと書かれている。これはもしや、パストラミを普通の50%増量してるってことか?うーむ、識ってたらこれを頼んだ(笑)
とりあえず列にならんで、パストラミサンドウィッチを注文してみる。案外すんなり。マスタードつけるか?サワードピクルスいるか?というようなことを訊かれる。普通の英会話はまったくもって出来ないのに、そういうことはなんとなくわかる(笑)
ライブレッドを半分にカットし、具を挟んでいる間に「これでも食いな」とばかりに小皿に薄く切ったパストラミを入れてくれる。日本でたまにあるパストラミと何が違うかっていうと、まず第一に温かい!口に入れると柔らかで、ソミュール液に漬け込んだ肉特有の香りが立ち、そして水で煮た時の水分がジュンと気持ちよく染み出てくる。
パストラミって美味しいね!
ほい、できたぜ! とくれたものは、、、
山のようにうずたかく積まれたパストラミを申し訳程度の厚さのパンが挟んでいる。そして別皿でキュウリのサワードピクルス。 いやー たまらないプレゼンテーションだぜ!
みてよこの肉の量!笑っちゃうくらいだぜ。このパストラミが先にも書いたようにやわらかーい。
こんな風に半分でカットしてる断面をみると、まったくもって厚みが均一でない。これが重要なんだよな。不揃い、不規則さに偶然の旨さがあるのである!
とりあえずバグッと頬張ってみる。
あたたかでしっとりとしたパストラミは存外に柔らかく、歯が通っていく時にブジュっと控えめに、細胞内のソミュール液と肉汁の混ざり合ったのをほとばしらせる。
コーンドビーフとは、一定濃度の塩や砂糖、香草類を溶かしたソミュール液に牛肉を数日~1週間程度漬け込み、完全に内部までソミュール液の塩分が浸透してから水で塩抜きをし、その後、タンパク質がバキンと固まらない程度の低温で煮たものだ。ソミュールの効果で、細胞内の組成が若干変化し、生の牛肉を煮たものとは全く違うテクスチャーと食感になる。
やー それにしても美味なり! シットリ柔らかく、モロッと崩れゆく肉。これ、部位的にはどこだろう?
「んーこれ、形と大きさからして、ブリスケじゃないですかね?」というのは肉の卸である平井君。そうだね、これブリスケだわ!肉の芯にはサシがはいらない、赤身部位のブリスケ。それに胡椒をまぶしているんだろう。
それにしても、このピクルスとの相性抜群。ピクルスってこういうものと組み合わせるために発展したのね!という感じだ。パストラミからはそれほど脂!という感じを受けないのだけれども、でもやっぱりキュウリピクルスをカリンとかじると、もやっとした肉喰った感が少し中和され、爽やかになる。そんで、また食い続けられる。
たまーに、テーブルにあるマスタードを肉の間にチューッと注入して食べるのがまた旨い。ケチャップもタメしてみたけど、こいつには合わない。パストラミの塩気とマスタードと、ピクルスの酸味で食べるのが黄金律だ!
これは、タケトラが「気になってたんですよ~」といってオーダーした、肉団子スープみたいなやつ。ユダヤ系の食べ物らしい。
この肉団子(たべかけですが)が、いわゆるミートボールではなくておでんの練り物的な、ふんわりしたしんじょみたいな感じ。それにスープも優しい味わい。人間の欲望を明瞭に具現化したかのようなパストラミサンドの強烈さとの対比に驚く。しかし、斜め向こうのテーブルのおっちゃん二人はパストラミとこのスープという布陣でもくもくと飯を食っていた。
食うタケトラ。
ひらすら食う!
正直、おまえのどん欲な食欲は俺以上だと思うぜ。それにしても、この日に限らず、タケトラのNY案内は最高。スーパーの経営者ということもあるが、やはり米国視察には頻繁に訪れているのだそうだ。もうNYは庭みたいなもんで、歩いていろんなところへ行くし、地下鉄もすいっと乗ってしまう。その手にはiPhone!これほどiPhoneの恩恵を受けているヤツも珍しいだろう。今居る場所の近くで話題の食品店を調べたら、GoogleMapで位置を確認、そしてナビゲート!
それですんなり着くことは少なくて、だいたいの場合は「あれっ地図だとこの辺にあるんだけどなぁ」ってのが多いんだけど、でも便利だ。おれもソフトバンクじゃなければiPhoneにするんだけどなぁ、、、
さて、なんとなくパストラミサンドだけだとツマランなぁ、と思ってメニューを見ていてKNOBLEWURSTというのが気になった。クノーブルブルスト?さっとタケトラがiPhoneで調べる。このiPhone中毒者が!、、、いやいや、ありがたいです。
「あっ これですね。なんか、スーパーガーリッキーソーセージって書いてます。すごいですねこの表現(笑)」
ほんとだ、スーパーにガーリッキーなんだな。すっげーニンニクなんだな。おし、食おう。
ぶっといソーセージをベイクしたやつを縦半分にカットしてパンに載せ、ザウアークラウトをのせマスタードを塗ってサンドウィッチに。
こんなかんじ。
いやーこいつもなかなかに旨い。本場ドイツだともっと肉にく肉感!てのが感じられるはずなんだけど、アメリカのソーセージは意外と練り物っぽい、滑らかすぎる舌触りだ。このソーセージもやっぱり柔らかい。けど、ガーリックの香りがあとから立ち上って、なかなか消えずに口腔内に残留するのである。におい半減期は1時間といったところ?なかなか凶悪だぜ。
それと、これはオプションだけど、グリーントマトのピクルスも置いてあったので注文。
いや旨い!
グリーントマトはもっと日本でも食べられていい食材だよね。農家のためにもなるんだが、、、これをピクルスだけじゃなくてぬか漬けと粕漬けで食いたい。
いやぁ、それにしても旨かった!カッツのパストラミサンド、感動。それとともに、なんで日本には旨いコーンドビーフとパストラミがないのか、失望。それも、できたての温かいのを食わせるところがまったくない!食肉加工品の規制が厳しいからかなぁ、、、パストラミサンドを日本で実現できない理由が規制にあるんだったら、おれは規制仕分けの評価人に、今度こそは自分から手を上げてなるぞ。そんな規制は撤廃してやる!なーんちゃって。
ひさびさのB級というかC級感ただよう朝飯で、スピードついちまったのであった。
このWebはいわゆるグルメではありません。味や価格だけではない「よい食事」とは何かを追求するためにひたすら食い倒れる記録です。私の嗜好に合う人しか楽しめないと思いますがあしからず。
本サイトの著作権はやまけんが保持します。出版物・放送等に掲載される場合はご連絡を下さい。トラックバックはご自由に。